強力なアンチエイジング効果を有する新規クロレラ株 京都府立医科大学 免疫・微生物学教室 岸田綱郎 超高齢化社会の到来にともなって、老化による脳の機 能低下を防ぐ手段が求められている。クロレラは、健 康維持を目的としたサプリメントとして長らく服用さ れてきており、安全性は確立しているが、実際に健康 によいとの実験的根拠は多くない。そこで我々は、多 くの新しいクロレラ株を野生株から樹立し、その遺伝 子解析を行なうとともに、老化促進マウスに服用させ、 アンチエイジング効果を評価した。その結果、老化に ともなう記憶力低下、活動性減弱、不安反応等を目覚 しく向上させる作用をもつことを見出した。 松田 修 実験の計画 クロレラ成分入り 飲料水 (4ヶ月) 老化促進マウス 記憶力 (受動回避テスト) 元気力 (O.Field.テスト) SamP8マウス J005に含まれる成分が記憶力を向上させた ステップスルー式 受動回避テスト装置 図.7 健康・長寿関連新技術説明会 ステップスルー式受動回避テスト装置 電気パルス くぐり穴の開いた 仕切り 暗室 明室 明室と暗室が通路で繋がったケージを準備し、明室の方にマウスを入れる。マウス は本能的に暗室を好むが、マウスが暗室に入ると不快な電流が流れる。その後マウ スを通常の飼育環境に戻し、10分後と24時間後に再び同じ明室にいれる。電流のこ とを記憶していれば、できるだけ明室に止まろうとするので、明室に滞在する時間 で記憶力が分かる。 * 300 明室滞在時間 電極 電極 記憶力 電気パルス発生装置 発生装置 * 200 24時間後 100 0 普通水 A社製 J005 老化促進マウスに、 A社製クロレラまたはJ005株の抽出液を飲ませ、 4ヵ月後に記憶力維持の指標として受動退避テストを行なった。明室滞在 時間を計測し、記憶力維持の指標とした。電撃呈示24時間後に再び同じ 明室にいれても電流のことを記憶していれば、できるだけ明室に止まろ うとするので、明室に滞在する時間で記憶力が分かる。 オープンフィールド(O.Field)テスト J005を服用させると、マウスの活動性が向上した 200 100 * 10 5 3 J005 2 A社製 J005を服用させると、マウスの不安が軽減した 不安 ストレス ストレス指数 15 1 普通水 老化促進マウスSamP8に、S社製クロレラ、またはJ005株の抽出液 を飲ませ、4ヵ月後にオープンフィールドテストを行なった。 20分間で移動した区画数をカウントし、活動性の指標とした。 不安指数 J005を服用させると、マウスのストレスが軽減した * * 300 0 マウスは新奇な環境においてやると環境の探索行動を行う性質をもつ。マウスの活 動力が低下していたり、不安が大きいと行動抑制が起こり移動量は減少する傾向にあ る。その性質を利用して、マウスを写真のような10cm2の区画に区切られたフィール ド内に投入後20分間の移動区画数をカウントすることよって、マウスの活性力と不 安を検討することが可能である。またマウスは不安が強いと脱糞数が増加するので 20分間の脱糞数をカウントすることで不安感を検討することができる。 * 400 区画数 20分間で移動した 活動性 500 2.5 * 2.0 * 1.5 1.0 0.5 0 1 普通水 2 A社製 3 J005 老化促進マウスSamP8に、S社製クロレラ、またはJ005株の抽出液 を飲ませ、4ヵ月後にオープンフィールドテストを行なった。 20分間の脱糞数をカウントし、ストレス指数を計算した。 考察 0.0 普通水 A社製 J005 老化促進マウスSamP8に、S社製クロレラ、またはJ005株の抽出液 を飲ませ、4ヵ月後にオープンフィールドテストを行なった。20 分間で移動した区画数の変化率を測定し、不安指数を計算した。 マウスの活動性・ストレス順応性が有意に増強し、記憶力も有意に向上していた。本 研究の結果は、J005株に含まれる成分が、マウスの全身的な老化を阻止し、また 脳血管の傷害を抑制したこと、その結果として学習能力や記憶力の保持・増強につな がったことを示唆する。J005株は、強力なアンチエイジング効果をもたらす、全 く新しい健康サプリメントとなる可能性がある。 お問い合わせ先 【技術内容・ライセンスについて】 京都府立医科大学 医学部 岸田 綱郎(きしだ つなお) 電話:075ー251ー5329 FAX:075-251-5331 E-mail:tsunao@ koto.kpu-m.ac.jp 【連携について】 あいち健康長寿産業クラスター推進協議会 (財)科学技術交流財団 クラスター・マネージャー 小坂 岑雄(こさか みねお) 電話:052-231-1477 FAX:052-231-5658 E-mail:cho-ju@ astf.or.jp
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