発表資料 - 灘本研究室

健康を意識した代替食材の発見手法
☆花井俊介(甲南大学)
難波英嗣(広島市立大学)
灘本明代(甲南大学)
背景
食に対する健康意識の向上
健康を意識した食の情報発信
2
背景
風邪予防に!グリーン
スムージー~
脱便秘♪黒ごまきな粉
バナナスムージー
レシピサイトの普及により健康を意識したレシピの取得が容易に
3
背景
便秘改善
便秘改善!○○スムージー
便秘に効く♪△△ポタージュ
日常的に作る料理ではないことが多い
4
背景
日常的に調理する料理 ⇒ レシピを見ない
作り方を知っている料理をレシピを見ながら
調理することは非常に面倒
5
目的
便秘改善 カレー
代替
便秘改善
料理名と健康効果をクエリとし,レシピではなく代替
食材を提示することで目的の健康効果を得る
6
システムフロー
クエリ 「料理名」
料理の典型的食材の抽出
典型食材
DB
「健康効果」
健康効果を持つ食材の抽出
健康効果に対して悪影響を
及ぼす食材の削除
典型的な食材と健康効果を持つ食材の食感の類似度の算出
食材の効能
悪影響DB
食感DB
代替食材候補を出力
7
典型的な食材の抽出
じゃがいも
さつまいも
代替
カレー
ちくわ
お麩
代替前の食材が存在せず,代替できないことを防ぐため
代替前の食材の候補として典型的な食材を用いる
8
典型食材DBの構築(1)
抽出手法
料理の種類毎に以下を算出
1.


2.
平均食材使用数 n
各食材の出現頻度
出現頻度上位n個を取得
データセット

レシピデータ:楽天レシピ 約44万件

料理名
: 基本のレシピ100 ※に掲載されている
料理名(デザートと飲み物を除く)
9
典型食材DBの構築 ~データ例~
料理名
典型的な食材
カレー
玉ねぎ,人参,じゃがいも,にんにく,牛肉
チンジャオロース
ピーマン,牛肉,豚肉,たけのこ,にんにく
牛丼
玉ねぎ,牛肉,ご飯,卵
ポテトサラダ
じゃがいも,きゅうり,ハム,人参,玉ねぎ

その料理の典型的な食材として適切と考えられる食材が抽出
されている

青椒肉絲は「牛肉」と「豚肉」共によく使われるため肉類が2種類
抽出されたと考えられる
10
システムフロー
クエリとして料理名と健康効果を入力
料理の典型的食材の抽出
典型食材
DB
健康効果を持つ食材の抽出
健康効果に対して悪影響を
及ぼす食材の削除
典型的な食材と健康効果を持つ食材の食感の類似度の算出
食材の効能
悪影響DB
食感DB
代替食材候補を出力
11
食材に含まれる栄養成分,
栄養成分による効能の抽出
1.
対象ブログ記事を段落ごとに分割
2.
段落ごとに抽出
 食材名と成分名との共起
 成分名と効能名との共起
3.
ある閾値以上の共起頻度を持つ
ものを食材に含まれる栄養成分,
栄養成分による効能とする
(食材に含まれる栄養成分の閾値:α=5,
栄養成分による効能の閾値:β=50 )
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食材に含まれる栄養成分,
栄養成分による効能の抽出(2)
データセット



2013年10月1日から2014年9月31日までの1年間
に投稿されたアメーバブログの記事65,192件
栄養成分名:食品成分データベース※に記載されて
いる成分名
効能名:ブログから人手により収集
※食品成分データベース http://fooddb.mext.go.jp/
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食材の成分,成分による効能の抽出結果
食材に含まれる栄養成分
食材名
含有成分
レバー
鉄,カロテン,タンパク質,カルシウム,ビタミンA
豆腐
タンパク質,カルシウム,食物繊維,鉄,コレステロール
人参
カロテン,食物繊維,鉄,カリウム,ビタミンB1
トマト
ビタミンC,鉄,食物繊維,カロテン,カルシウム
栄養成分による効能
成分名
効能
食物繊維
便秘改善,美肌,美容,ダイエット,ガン
鉄
貧血,骨粗鬆症,疲労,抗酸化,便秘
ビタミンB1
疲労,夏バテ,風邪予防,免疫力,動脈硬化
ビタミンC
美肌,風邪予防,疲労,免疫力,ガン
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食材の成分,成分による効能の抽出結果
食材に豊富に含まれている栄養成分,栄養成分による
主な効能が取得
栄養成分名が出現するブログ記事
食材のポジティブな効能について書かれた記事であることが多い
含有量の少ない栄養成分,あまり効果の見込めない効能が記載
されることは少ない ⇒ ネガティブな効能は少ない
⇒ 特許データから悪影響を及ぼす食材を抽出
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過剰摂取することで
悪影響を及ぼす成分の抽出
抽出手法
特許データから過剰摂取に関係する語(過剰摂取ワード)を
含む文を取得し,その後人手にて原因となる成分, その
影響(症状)を取得
過剰摂取ワード
過剰摂取,過剰な摂取,過剰に摂取,大量摂取,大量に摂取,
多量摂取,多量に摂取,摂り過ぎ
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過剰摂取することで
悪影響を及ぼす成分の抽出結果
特許データ:料理分野※の特許明細書(1994~2009年
公開特許公報) の91,736 件
成分名
効能
成分名
効能
脂質
肥満
ナトリウム
高血圧
高血圧
心疾患
高脂血症
脳梗塞
糖尿病
腎臓疾患
栄養成分による効能と比較して「高脂血症」や「脳梗塞」の
動脈硬化
動脈硬化
ように具体的な病名であることが多い
⇒ 特許データは技術的に解決すべき課題として過剰摂取
※国際特許分類(IPC) のサブクラスレベルでA23L(食品,食料品),
A47J(台所用具),H05B(電気加熱)
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すると悪影響がある成分について記述されているため
システムフロー
クエリとして料理名と健康効果を入力
料理の典型的食材の抽出
典型食材
DB
健康効果を持つ食材の抽出
健康効果に対して悪影響を
及ぼす食材の削除
典型的な食材と健康効果を持つ食材の食感の類似度の算出
食材の効能
悪影響DB
食感DB
代替食材候補を出力
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食材の食感の抽出(1)
じゃがいも
代替
小松菜
さつまいも
カレー
料理に違和感が出ないよう元の食材に類似した食材で
あることが必要 ⇒ 食感の類似を考慮
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食材の食感の抽出(2)
シズルワード※:“ おいしさ”を連想させる食に関する言葉
“とろける”チーズ
“しゃきしゃき”レタス
食材と食感系シズルワードとの共起関係に着目
※大橋正房, シズル研究会. 「おいしい」感覚と言葉食感の世代. BMFT 出版部, 2010.
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Google N-gramを用いた
食材の食感の抽出手法
Google による「Web 日本語N グラム第1 版」※の
食材名と食感系シズルワードを含む7グラムデータの
出現頻度を用い食感を抽出
※工藤拓, 賀沢秀人, Web 日本語N グラム第1版, 言語資源協会発行, 2007.
21
Google N-gramを用いた
食材の食感の抽出結果

上位ではその食材の食感として適切と
考えられる食感を取得できている

出現頻度に大きな差がある

料理名や他の食材名と共起した食感系
シズルワードをその食材の食感として取得
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類似した食感を持つ食材の抽出
出現頻度を用い代替したい食材とその他の食材との
類似度を算出
類似度計算には



コサイン類似度
ユークリッド距離
マンハッタン距離
x :代替したい食材と食感系シズルワードとのDice係数
y :他の食材と食感系シズルワードとのDice 係数
i :食感系シズルワードの番号
23


元の食材と同様のシズル
ワードで表現されることが
多い食材が抽出されて
いる
レンコンは調理方法によ
って食感が大きく変化す
る食材であったため類似
した食材を取得できなか
った
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システムフロー
クエリとして料理名と健康効果を入力
料理の典型的食材の抽出
典型食材
DB
健康効果を持つ食材の抽出
健康効果に対して悪影響を
及ぼす食材の削除
典型的な食材と健康効果を持つ食材の食感の類似度の算出
食材の効能
悪影響DB
食感DB
代替食材候補を出力
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健康を意識した代替食材の抽出
クエリ 料理名:カレー 健康効果:ダイエット
典型食材
玉ねぎ
人参
じゃがいも
にんにく
◎牛肉

低カロリーで食物繊維
が豊富に含まれている
食材が抽出された
代替食材候補
白菜,ゴボウ,なす,人参,ニラ
 にんにくはすりおろしや
玉ねぎ,白菜,アスパラガス,ゴボウ,なす
刻んで使用することが
さつまいも,バジル,椎茸,キムチ,わかめ
多いため食感を正しく
抽出できなかった
わかめ,バジル,椎茸,キムチ,さつまいも
マンゴー,オレンジ,昆布,梅,白菜 健康効果をダイエットと
◎:健康効果に対して悪影響を及ぼす食材
したため代替候補から
肉類が削除されたため
正しく抽出されなかった
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健康を意識した代替食材の抽出
クエリ 料理名:チンジャオロース 健康効果:便秘改善  食物繊維が豊富に
含まれている食材が
典型食材
代替食材候補
抽出された
ピーマン
牛肉
豚肉
たけのこ
にんにく
キャベツ,ゴボウ,わかめ,にんにく,バジル
 にんにくはすりおろしや
ベーコン,マンゴー,アボカド,バナナ,チーズ
刻んで使用することが
鶏肉,オレンジ,ベーコン,鰯,キャベツ多いため食感を正しく
抽出できなかった
ししとう,栗,豆腐,パン,ブロッコリー
わかめ,バジル,キャベツ,レモン,椎茸
 野菜に比べて肉類の
食材の食感抽出の精度の向上が必要
精度が低い
⇒ 正しく食感が抽出
できていなかった
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まとめと今後の課題
日常的に作る料理を健康を意識した料理にするために典型的な食材,食材の成分,
成分による効能・悪影響,食材の食感の類似度を用いて目的の健康効果を得られる
代替食材を発見する手法を提案した
代替食材を用いることで目的の健康効果を簡単に得る
ことができる
今後の課題
1. 食材の食感抽出の精度向上
2. 料理ごとの代替食材の適切さの考慮
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