年度における佐渡海峡の佐渡航路船(佐渡汽船)による

日本海セトロジ一研究 (
N
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)(
1
4
) :1
3
1
6 (
2
0
0
4
)
2
0
0
2年度における佐渡海峡の佐渡航路船(佐渡汽船)による
鯨類目撃記録
本間義治!)・古川原芳明 2)
1
)新潟大学大学院医歯学総合研究科細胞機能講座顕微解剖学分野
干9
5ト8
5
1
0
新潟市旭町通ト7
5
7
2
)佐渡汽船株式会社高速船部 〒 9
5
0
0
0
7
8 新潟市万代島 9
1
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5
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0
0
7
8
,
Japan
幾つかの理由によるのである。そして、 2
0
0
1年度には 3
はじめに
航路で 2
0
0
0年度の倍以上のクジラ目撃件数が残された
日本海の佐渡海峡を航行する佐渡汽船所属の高速船
が
、 2
0
0
2年度は 2
0
0
1年度よりかなり少ないものの、それ
(ジェットフオイル、 JF)と大型カーフェリー( CF)
でも 2
0
0
0年度を遥かに上回る記録が得られたので、取り
が、走航中に目撃した鯨類( C
e
t
a
c
e
a
)の記録について
纏めて考察を試みた。
は
、 1
9
9
4年 4月以来の分を取り纏め報告してきた(本問、
結果と考察
1
9
9
5;本間ら、1
9
9
5、1
9
9
6、1
9
9
7、1
9
9
8、1
9
9
9、箕輪ら、
2
0
0
0;:本間 ・古川原、 2
0
0
1、2
0
0
2、2
0
0
3)。そして、 2
0
0
0
まず、 2
0
0
2年度の『鯨情報』 を従来の様式により表示
年度よりはクジラ(全長 4∼ 5m以上と目測されるもの)
し、また図示してみた(表 1∼ 3、図 1、 2)。新潟航
に限って記録を取るようになったことについては、先報
路(新潟∼両津間)が 4
5件、直江津航路(直江津∼小木
した(本間・古川原、 2
0
0
1、 2
0
0
2、 2
0
0
3)。これは、最
間)が 2
1件、寺泊航路(寺泊∼赤泊問)が 2件であった。
近の海上浮遊障害物監視情報(鯨情報)の中に占めるク
これらを 2
0
0
1年度と比べると、新潟航路は 53/45、直江
ジラの件数が初期の頃より多くな ってきたので、イルカ
津航路は46/21、寺泊航路は 5/2と、ことに後の 2航
類を除いたためである。
路で前年度の半数にも達していないことが注目された。
このことは、当然佐渡島周辺、ひいては日本海におけ
次ぎに、月別にみると最も目撃頻度の高かったのは新
る鯨類各種個体群ないし資源量が増大してきでいること
潟航路の 4月 (
1
8件)、次いで 3月( 8)と 5月( 7)
を予想させる。しかし、この点につ いて私たちは確とし
と続き、春の件数が多か った。 これは、 2
0
0
1年度におい
た根拠となる資料を持ち合わせていないので、議論は出
て同じく 4月にピーク (
1
7)があり、次いで 3月 (
1
6
)
来難い。
と 5月 (
1
6)であったのと似ている。前報(本間・古川
原
、 2
0
0
3)でも述べたように、新潟航路では 3∼ 5月が
1
9
7
7年 5月に、本邦で初めて新潟∼両津聞に就航した
JF が
、 1
9
9
8年 3月までに 9回も衝突事故を起こしたが
クジラ類と最も良く遭遇する候といえる。ところが、 2
0
0
2
(本問、 2
0
0
3)、その中には明かに クジラ と思われるも
年度の場合、 4月 1
6日に 7回も目撃されており、突出し
のが含まれ、種が遺伝子解析によりオウギハクジラと判
0
0
1年度でも、 3月2
2日に 8回
ているのが関心を惹く。 2
明した例もある(H
o
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m
a
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ta
l
., 1
9
9
7
、1
9
9
9、 2
0
0
1
)。
も記録されているので、 日によ ってはあるいは同一個体
これらの経験を通して、 JF 船体に損傷を与え、時には
(群)を行き交う別船が観察している可能性が否定でき
ない。
乗船客にまで人身事故を来たすような場合は、イルカで
はなく、いわゆるクジラであろうと推測されるに至った。
一方、直江津航路では 7月 (
I
O件)が最も高く、次い
障害物監視体制による情報からイルカ類を省き、クジラ
で 6月( 6)であったが、 2
0
0
1年度では 7月 (
1
7)がピ
類の記録のみとするようになったのは、上記したような
ークで、次いで 4月 (
1
2)と少々様相を異にしていた。
a
唱よ
qJ
本間義治・古川原芳明
したがって、直江津航路では初夏に遭遇する機が多いと
もクジラに遭遇することが多いが、 1
5時前後に最も多く
6m
南方向へ移動
約 6m
約 7m
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つ
U
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EI
カーフェリー; p
t
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o
i
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t (位置);目撃. クジラのみ
7166
和一調一泊刈澗
咽珂一一一エ
ω /却品川畑却品川却四品川訓川川畑溺刊・mA伯 ・ 必 湖 溺 却 却 m川畑却畑却却品川淵却却却川川畑却問叩羽川北川川店川川川一ジ
航 一 一 3 4 3 3 4 4 1 3 4 3 3 4 4 4 4 4 3 3 5 2 5 5 2 5 2 3 2 2 2 3 2 3 2 3 2 3 3 4 4 3 4 4 3 3 3一
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仏一ォ
t一 央 央 央 端 外 外 央 央 央
刊一中中中南南南中中中日南南一フ
路一一 oJ15; j j 4 6 3 2 5 5 7 0 5 6 6 8 0 8 0 0 8 0 5 5 9 5 9 5 3 0 0 0 8 5 4 3 7 1 0 5 3 4 7一
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PUFUηiηtoORUQ000ou
ょっ
1
1
4
北方向へ移動
南方向へ移動
南方向へ移動
南方向へ移動
大
約 5m
約 5m
約 5m
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1叩 1 2 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1∼1
6
∼7m
6∼7m
−
5
∼6m
1
8m
1
南方向へ移動
北方向へ移動
クジラらしき波紋
北方向へ移動
3
7∼8
1
1
群れ
約5
∼6m
大
その他
長さ
個体数
情報源
#
ところ決めがたい。
8件を最高に、次いで 8時( 7) と1
3時( 7)、直江津
路共に、 CFの倍以上に多かった。新潟航路では I
Fの運
時間帯では、どうであろうか。新潟航路では、 1
6時に
2
0
0
2年度
(新潟∼両津間) におけるクジラ類目撃記録
表1
2
0
0
2年度は、 J
F による目撃回数が新潟・直江津両航
解釈したらよいであろうか。
いえるが、たかだか 1
0
0∼ 1
2
0
k
mの聞の相違をどのように
目撃されていることになる。
ピーク( 7件)をもち、次いで 9時( 6)であったが、
航回数が多いので、遭遇の機会が多いこともうなずける
直江津航路でも 1
5時( 7)にピークがあり、次いで 1
2時
が、直江津航路の方はどのように解釈したらよろしいの
(5)であった。 2
0
0
1年度では、新潟航路の場合 1
0時の
であろうか。 2
0
0
1年度も同じ傾向が見られたが、現在の
航路は 1
5時 (
1
0件)、次いで 1
0時( 7)であった。そこ
ところで、前報(本間・古川原、 2
0
0
3)でも問題にし
で
、 2
0
0
0年度からの記録を通覧すると、午前にも午後に
たことであるが、佐渡海峡を通過中のクジラ類の種はほ
2
0
0
2年度における佐渡海峡の佐渡航路船(佐渡汽船)による鯨類目撃記録
表 2 佐渡汽船直江津航路(直江津∼小木間)におけるクジラ類目撃記録
#
月日
時刻
1 0
5
.1
1 1
5
:
0
0
2 0
5
.1
6 1
2
:
1
2
6
.0
4 1
5
:1
5
3 0
4 0
6
.0
8 1
0:
0
5
5 0
6
.1
5 1
1:
2
0
6 0
6
.1
5 1
5
:
31
7 0
6
.1
6 1
2
:
1
2
8 0
6
.2
7 1
1
:
3
0
9 0
7
.0
1 1
5
:
2
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1
00
7
.0
2 1
0
:
0
0
1
1 0
7.
0
3 1
5
:
2
3
1
2 0
7
.
0
4 1
0:
5
0
1
3 0
7
.0
8 1
2
:
2
7
1
4 0
7
.1
2 /
1
5 0
7
.1
2 1
7
:
0
0
1
60
7.1
4 1
2
:
2
5
1
7 0
7.
2
1 1
2
:
2
0
1
8 0
7.
2
9 1
4:
0
5
1
9 0
8.
0
4 1
5
:1
6
2
0 0
8.1
3 1
5
:
1
6
2
1 1
0
.0
7 1
0
:
1
0
p
t
情報源
3
.1
4
.0
東
4
.7
東外れ
3
.
2
4
.0
2
.
6
3
.8
4
.
5
3
.
2中央
3
.
2中央
3
.6
東外れ
2
.
0
2
.
3中央
4
.0
4
.0
2
.
5
3
.
0
3
.2
4
.
2
4
.5
4
.
3
CF
J
F
J
F
J
F
CF
J
F
J
F
CF
JF
J
F
J
F
CF
J
F
CF
CF
J
F
JF
JF
JF
JF
JF
2
0
0
2年 度
その他
長さ
個体数
3
1
3
3
9
3
1
0
数頭
7∼ 8
6∼ 7
6
5
潮吹き
潮吹き
広範囲に広がりジャンプ
北方向へ移動
東方向へ移動
北方向へ移動
群れ
5
東方向へ移動
数頭
5
3
1
1
西方向へ移動
数頭
1
1
大
中
J
F
. ジェッ トフオイル; CF. カーフェリー; p
t
.p
o
i
n
t (位置);目撃.クジラのみ
2
0
1
5
。8
1
0
5I
頻|
度
。
ロ
はs
l
. .
§
1
1
>O@
1
2
3
月
月
月
4
月
5
6
7
8
9
1
0
1
1
1
2
月
月
月
月
月
月
月
月
図 1 佐渡航路船によるクジラ類の目撃記録(航路別、月別)
O 新潟航路
・ 直江津航路
O 寺泊航路
口 海上保安庁 9管本部富山沖
圃 海上保安庁 9管本部糸魚川沖
1
0
5I
8
1
震
時間 6
7
8
9
ゑ
迩I
§§
.
.
.
8
1
~- .
1
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
1
6
図 2 佐渡航路船によるクジラ類の目撃記録(航路別、時間帯別)
0 新潟航路
. 直江津航路。寺泊航路
-1
5
・ 海上保安庁 9管 本 部 糸 魚川沖
1
7
本間義治・古川原芳明
表 3 佐渡汽船寺泊航路(寺泊~赤泊問)におけるクジラ類目撃記録~2002 年度
再月日
時刻
p
t
情報源個体数
1 0
8
.1
0 1
0
:
2
0 赤泊沖 6浬
2 0
9
.3
0 1
4
:
2
7 寺泊・赤泊中間
5∼ 6
1
0
CF
CF
その他
長さ
5
∼6m
約 5m
新潟方向へ
東方向へ移動
C
F
. カーフエリー; p
t
.p
o
i
n
t (位置);目撃.クジラのみ
とんど不明で、あり、はっきりしたのはツチクジラの群れ
本間義治・古川原芳明( 2
0
0
2
)2
0
0
0年度における佐渡海
1例だけである。さらに、これらが北上中なのか南下中
峡の佐渡航路船(佐渡汽船)による鯨類目撃記録. 日
なのかに関心が持たれる。今回( 2
0
0
2年度)は、 3航路
1
2
)
,1
4
.
本海セトロジー研究, (
合わせて北∼東方向が 8例、南∼西方向が 7例とほぼ措
本間義治・古川原芳明( 2
0
0
3
)2
0
0
1年度における佐渡海
9
9
4年 4月から 2
0
0
1年度までに方
抗している。そこで、 1
峡の佐渡航路船(佐渡汽船)による鯨類目撃記録
向が分かっているものを一括してみた。その結果、北∼
本海セトロジー研究, (
1
3
)
'7
1
2
.
東方向が2
1例、南∼西方向が 2
4例と、少々後者の方が多
本間義治・中村荘六・箕輪一博・青柳
日
彰・中村幸弘・
0
0
2年度分を加えると、 29/31となり、
かった。これに、 2
北見健彦 (
1
9
9
6
)1
9
9
4年 4月以降に得られた新潟県内
結局と、の方向へ遊泳しているのか決めかねた。ただし、
における鯨類の目撃・漂着記録. 日本海セトロジー研
0例と最高を示し、次いで北上の 1
4例
南下だけに限ると 2
究,( 6
)
,7
1
3
.
であったが、残念ながら鯨種による差は解析できない。
本間義治・中村幸弘・箕輪一博・青柳彰・中村荘六・
これは、第 9管区海上保安部のヘリコプターによる大
1
9
9
7
)1
9
9
5年 1月以降に得ら
古川原芳明・北見健彦 (
型サメ類や不審船に対する監視飛行の際に、目撃された
れた新潟県沿岸・沖合における鯨類の目撃・漂着記
0
0
2年初夏の例を挙げる
クジラの群泳でも同様である。 2
)
. 5-1
1
.
録
. 日本海セトロジー研究,( 7
と
、 7月 3日に、新潟県糸魚川市沖を南下中のツチクジ
本間義治・中村幸弘・青柳彰・箕輪一博・古川原芳明
ラ (
1
0∼ 1
5頭の群れが 3群)、同 7月 1
2日に、佐渡島沢
(
1
9
9
8
)1
9
9
7年 1月∼ 5月における新潟県沿岸 ・沖合
崎沖で発見された南南東へ向かうナガスクジラ(ニタリ
で目撃・漂着・衝突した鯨類の記録. 日本海セトロジ
一研究,( 8
),ト 6
.
クジラ?との見解もある) 5頭の群れ、同じく 7月 1
2日
に石川県輪島沖で確認された西南西方向へ遊泳中の幼鯨
本間義治・中村幸弘・箕輪一博・青柳
彰・古川原芳明
(
1
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9
)1
9
9
7年 5月以降に得ら れた新潟県沿岸 ・沖合
を混じえた 5
0頭ものハナゴンドウの群れなどである。一
応、南∼西方向へ遊泳中のように見うけられる。しかし、
における鯨類等の目撃・漂着記録. 日本海セトロジー
1
9
9
4年 7月 1
3日に佐渡島尖閣湾の大崎沖で発見された 1
0
研究,( 9
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.
数頭のツチクジラは、北方向へ群泳中であったという(本
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5)。今後も、佐渡周辺海域を航行中の船舶やヘ
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本間義治 (
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5)佐渡海峡の佐渡航路船(佐渡汽船)に
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おける鯨類目撃記録− 1
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4年度.新潟県生物教育研究
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本間義治・青柳彰・中村幸弘 (
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年 5月から
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4年 5月の問に得られた新潟県内における鯨類の漂
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着 ・採集・目撃記録.日本海セトロジー研究,( 5
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本間義治・古川原芳明( 2
0
0
1
) 佐渡海峡における佐渡航
箕輪一博・中村幸弘・青柳彰・進藤順治・本間義治・
路船(佐渡汽船)による鯨類目撃記録の解析 (
1
9
9
4年
0
0
0)主として 1
9
9
8年 6月以降に得られ
古川原芳明( 2
4月∼ 1
9
9
9年 1
0月
)
. 日本海セトロジー研究, (
1
1
)
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た新潟県沿岸・沖合における鯨類の目撃・漂着記録
1
3
.
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0
)
. 1-4.
日本海セトロジー研究, (
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