31512014 本文2.smd

京都府保環研年報
第60号(2015)
京都府における感染症流行予測調査事業(2014年)
−インフルエンザ、麻しん、風しん及び水痘感受性調査−
中山
淳一郎
杉浦
伸明
鳥居
潤
小山
雅史
Epidemiological Surveillance of Vaccine- Preventable Diseases in Kyoto Prefecture, 2014
−Susceptibility Surveillance of Influenza, Measles , Rubella and Varicella−
Junichirou NAKAYAMA
Nobuaki SUGIURA
Jun TORII
Masasi KOYAMA
2014年度の感染症流行予測調査事業で京都府民252名の血清を用いてインフルエンザ、麻しん、風しん及び水痘に
対する感受性調査を実施した。インフルエンザでは、感染及び発症を抑制すると考えられるHI抗体価1:40以上の抗
体保有率は、それぞれA/California/7/2009[A(H1N1)pdm09亜型]71%、A/New York /39/2012[A(H3N2)
亜型]50%、B/ Massachusetts /02/2012[B型(山形系統)]61%、B/Brisbane/60/2008[B型(Victoria系統)
]
79%であった。麻しんでは、感染及び発症を抑制すると考えられるPA抗体価1:128以上の抗体保有率は、77%で
あった。風しんでは、感染及び発症を抑制すると考えられるHI抗体価1:32以上の抗体保有率は、79%であった。水
痘では、感染及び発症を抑制すると考えられるEIA抗体価1:4以上は、全体の83%であった。
キーワード:感染症流行予測調査事業、感受性調査、インフルエンザ、麻しん、風しん、水痘
key words :Epidemiological surveillance, Susceptibility survey, Influenza, Measles, Rubella, Varicella
による赤血球凝集抑制試験(Hem-agglutination Inhibition
はじめに
test:HI法)により実施した。2014年度の調査対象インフルエ
ン ザ 株 は、2014/2015 シ ー ズ ン の ワ ク チ ン 株 抗 原 A/
感染症流行予測調査事業は、国民の抗体保有状況(免疫状
California/7/2009[A(H1N1)pdm09亜型]
、A/ New York
況)を把握することで予防接種事業の効果的な運用を図り、
/39/2012[A(H3N2)亜 型]
、B/ Massachusetts /02/2012
さらに長期的視野に立ち総合的に疾病の流行を予測すること
[B型(山形系統)]1)、参照株としては感染研より配布され
を目的として実施されている。
た抗原B/Brisbane/60/2008[B型(Victoria系統)]を使用し
本事業は、厚生労働省、国立感染症研究所(以下、感染
た。
研)
、都道府県、都道府県地方衛生研究所及び医療機関等の
協力をもとに感受性調査及び感染源調査が実施され、予防接
2-2.抗麻しん抗体価測定
種事業の基礎資料として利用されている。
抗体価の測定は、麻しんウイルス抗体価測定用試薬セロ
2014年度、京都府ではこの事業に協力し、インフルエンザ、
ディア−麻しん(デンカ生研(株)製)を用い、完全に粒子
麻しん、風しん及び水痘に対する感受性調査を実施したので、
の凝集(Particle Agglutination:PA)を示した血清の最終
その結果を報告する。
希釈倍数をもって抗体価とした。
材料及び方法
2-3.抗風しん抗体価測定
抗体価の測定は、HI試験により実施した。風しんウイル
1.材料
スHA抗原は風疹HI試験用試薬HA抗原(デンカ生研(株)
2014年7月から10月に府内3医療機関で採血され、本事業に
製)を用い、HI陽性血清及びHI陰性血清は感染研より分与
されたものを用いた。判定は赤血球凝集を完全に阻止した最
協力することを同意した252名の血清を用いた。
終希釈倍数をHI抗体価とした。
2.方法
2-4.抗水痘抗体価測定
2-1.抗インフルエンザ抗体価測定
抗体価の測定は、「感染症流行予測調査事業検査術式(厚
生労働省健康局結核感染症課
抗体価の測定は、ウイルス抗体EIA水痘IgG(デンカ生研
国立感染症研究所感染症流行
(株)製)を用いた。水痘ウイルス抗原が固相化された平底
予測調査事業委員会.平成14年6月)」及び「平成26年度感染
マイクロプレートを用い、抗水痘ウイルスIgGポリクローナ
症流行予測調査実施要領(厚生労働省健康局長通知.平成26
ル抗体を反応させ、酵素活性を測定することにより検体中の
年6月24日.健発0624第3号)」に準じ、マイクロタイター法
EIA抗体価を求めた。
(平成27年7月31日受理)
−1−
京都府保環研年報
第60号(2015)
結果及び考察
1.年齢群別ワクチン接種率
「平成26年度感染症流行予測調査実施要領」に従い、調査
対象者を疾患毎に分け、2014年度の年齢区分ごとのワクチン
接種人数と予防接種歴について表1、表2、表3、表4に示した。
表1.年齢群別インフルエンザワクチン接種歴
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表2.年齢群別麻しんワクチン接種歴
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京都府保環研年報
第60号(2015)
表3.年齢群別風しんワクチン接種歴
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表4.年齢群別水痘ワクチン接種歴
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2.年齢群別抗体保有状況
2-1.インフルエンザ
各調査株に対するHI抗体価1:10以上及び1:40以上の年齢群
別抗体保有率を示した(表5)。
−3−
京都府保環研年報
第60号(2015)
表5.年齢群別インフルエンザHI抗体保有状況
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2-1-1. A/California/7/2009 [A (H1N1) pdm09 亜
るため2013/2014シーズンまで5シーズン続けて選定されてい
型]:ワクチン株
る1)。
感染及び発症を抑制すると考えられる1:40以上の抗体保有
率は、全年齢で71%であった。さらに、20-29歳群は、97%
2-1-2.A/New York /39/2012[A(H3N2)亜 型]
:ワ
で最も高く、次いで10-14歳群の87%、5-9歳群の82%であっ
クチン株
た。一方、抗体保有率が低かったのは、0-4歳群の44%、60
感染及び発症を抑制すると考えられる1:40以上の抗体保有
歳以上群は35%であった。これは、学校等の集団生活におい
率は、全年齢で50%であった。さらに、10-14歳群は、74%
てインフルエンザ暴露が高いと考えられる年齢層(5∼24歳)
で最も高く、次いで30-39歳群の65%、5-9歳群の64%であっ
では抗体保有率が高くなり、行動が限られる低年齢群及び高
た。0-4歳群は32%、50-59歳群は34%、60歳以上群で39%で
年齢群ではインフルエンザ暴露が低いため抗体保有率が低く
あり、他の年齢群と比較して低かった。
なっていると推測される。
本ウイルス株は、2013/2014シーズンのワクチン株であっ
本ウイルス株は、2009年に世界的なパンデミックを引き起
たA/Texas/50/2012[A(H3N2)亜型]から変更となり、
こしたウイルスであるが、現在も抗原性及び遺伝子的に大き
2014/2015シーズン国内で最も多く分離・検出されており、
な変化がないとされ、ワクチンとしても依然効果が期待でき
引き続きワクチン株として選定されることが適当と考えられ
−4−
京都府保環研年報
る1)。
第60号(2015)
麻しんワクチンの接種率は、0-1歳群で12.5%であったが、
2-3歳群で100%、4-44歳群でも90.0%∼100%と高い接種率
2-1-3.B/ Massachusetts /02/2012[ B 型(山 形 系
であった。
統)]:ワクチン株
世界保健機構(WHO)は、2012年に新たな麻しん排除定
感染及び発症を抑制すると考えられる1:40以上の抗体保有
義を「適切なサーベイランス制度の下、土着株による感染が
率は、全年齢で61%であった。さらに、20-29歳群は、87%
1年以上確認されないこと」と定め、さらに、日本を含む西
で最も高く、次いで15-19歳群の79%、30-39歳群の76%で
太平洋地域の麻しん排除の目標も設定した。わが国でも、麻
あった。0-4歳群は16%、5-9歳群は45%と乳幼児においては、
しんの排除認定を目標に掲げ、「麻しんに関する特定感染症
低かった。
予防指針(厚生労働省告示.平成19年.第442号)」に基づく
本ウイルス株は、2011/2012シーズンから増加しており
対策に取り組み、2015年3月、世界保健機構(WHO)より
1)
2013/2014シーズンから2シーズン続けて選定された 。
麻しん排除認定を受けた(厚生労働省健康局結核感染課.平
成27年3月27日.事務連絡)
。
2-1-4.B/Brisbane/60/2008[ B型(Victoria系統 )
]:
しかし、グローバル化が進む中で集団免疫を維持し、麻し
参照株
ん排除を続けるためには、麻しんワクチン接種について啓発
感染及び発症を抑制すると考えられる1:40以上の抗体保有
し接種率を向上させる必要がある。
率は、全年齢で79%であり、今回調査株の中で最も高かった。
2-3.風しん
本ウイルス株は、Victoria系統のB型株であり、2009/2010シ
ーズンから2011/2012シーズンまで3年連続してワクチン株の
HI抗体価1:8以上、1:16以上、1:32以上、1:64以上、1:128以
1つとして選定された。しかし、2012/2013シーズンから本ウ
上、1:256以上、1:512以上、1:1024以上の各HI抗体価におけ
イルスによる患者数は減少し、2014/2015シーズンにおいて
る年齢群別人数を示した(表7)。
国内での流行は、ほとんどみられなくなった。このことは、
感染及び発症を抑制すると考えられる1:32以上の抗体保有
自然暴露及びワクチン接種により十分な抗体が獲得されたた
率は、全年齢で79%であった。0-1歳群は、42%と低かった
めと推測される1)。
が、これは、麻しんと同様ワクチン接種年齢に達していない
0歳児が含まれているためと考えられる。
2-2.麻しん
風しんワクチンの接種率は、0-1歳群で12.5%であり、2-3
歳群から40-44歳群の年齢群では66.7%∼100%と高い接種率
PA抗体価1:16以上及び1:128以上のPA抗体価を保有する年
であった。
齢群別PA抗体保有率を示した(表6)。
感染及び発症を抑制すると考えられる1:128以上の抗体保
風しんは、有効性及び安全性の高いワクチンが存在するの
有率は、全年齢で77%であった。0-1歳群は、25%と低かっ
で、感染を防御することが可能である。今後、風しん及び先
たが、これは、1回目のワクチン接種が、1歳になってから行
天性風しん症候群を予防するためには、積極的な注意喚起と
われることになっているため、0-1歳群では未接種であった
奨励及び予防接種対象年齢への確実な実施が必要である。
り、自然感作されなかったりした例が多いためと推測される。
表6.年齢群別麻しん抗体保有状況
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京都府保環研年報
第60号(2015)
表7.年齢群別風しん抗体保有状況
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表8.年齢群別水痘抗体保有状況
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2-4.水痘
後12月から生後36月に至るまでの期間に2回接種することと
EIA抗体価1:4以上、1:8以上、1:16以上、1:32以上、1:64以
なった。今後、接種率は上がると考えられるが、毎年冬から
上、1:128以上の各EIA抗体価における年齢群別人数を示し
春にかけ水痘の流行が認められ、ときには重症化し、致死的
た(表8)
。
経過をとることもある。また、重症化した時の入院にかかる
水痘ワクチンの接種率は全年齢で26%であったが、感染及
費用、外来で治療を受ける保護者の経済的損失など、医療経
び発症を抑制すると考えられる1:4以上のEIA抗体保有率は、
済的な側面からも水痘ワクチン接種が有意義であると啓発し
全年齢で83%であり、自然感作が多いと考えられる。0-1歳
未接種者を対象に接種率を向上させることが重要である5)。
群での接種率は0%であったが、抗体保有率は92%であり、
謝辞
母子免疫が考えられる。また、2-3歳群の接種率が60%と全
年齢中最も高かったが、抗体保有率は67%であり、自然感作
が多いことと併せるとワクチン接種の成果が上がっていない
ととることもできる。
本調査を行うにあたり、血清使用を快諾していただきまし
た252名の方々、検体採取等にご協力いただきました各医療
任意接種であった水痘ワクチンの接種率は30∼40%程度と
機関の諸先生方並びに保健所関係者の皆様に深謝します。
考えられてきた4)。2014年10月から定期予防接種となり、生
−6−
京都府保環研年報
第60号(2015)
3) ワクチンに関するガイドライン改定委員会.2014.第2
引用文献
版
医療関係者のためのワクチンガイドライン.一
般社団法人日本環境感染学会,東京.
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国立感染症研究所感染症疫学センター.2014.平成26年
国立感染症研究所.2013.水痘・帯状疱疹とそのワクチ
度(2014/2015シーズン)インフルエンザワクチン
ン
株 の 選 定 経 過.病 原 微 生 物 検 出 情 報(月 報),35
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(11),267−269.
2)
4)
5)
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報告書.
−7−
病原微生物検出情報(月報)
,34(10),287−
藤田保健衛生大学,吉川哲史,浅野喜造.2004
水痘―
その病態とワクチン定期接種化に向けて,病原微生
物検出情報(月報),25(12),322−324.