1 継続的改善に貢献する安全研究を考える 平成27年 8月 18日 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 中村 秀夫 日本原子力研究開発機構 安全研究センター 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 1 2 安全研究に関する検討(安全部会) サマーセミナ (平成26年8月19日) 福島第一原子力発電所の事故をふまえた 安全研究のあり方 秋の大会 (同年9月9日) JAEA安全研究センターにおける研究 安全研究のあり方 フォローアップセミナ (同年11月29日) 継続的改善に貢献する安全研究とは? 規制支援の研究組織の視点で考える 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 2 3 目 次 安全研究について 研究計画の策定について 安全研究の在り方について 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 3 4 安全研究について (1/3) 安全研究 原子力の重点安全研究計画(第2期、H 21年8月、原子力安全委員会) 安全規制活動の科学技術的基盤の確立と安全規制活動の向上を 目的に、国の予算で行われる研究の総称 成果の活用 科学的合理性に優れ、効果的・効率的な安全規制活動を期待 原子力の安全確保に関する国民の信頼の醸成を期待 安全基盤研究 原子力安全・保安部会報告 原子力の安全基盤の確保について(H13, 6月) 知識基盤の強化に最も重要な活動としての、原子力安全に関連する 各種試験研究の総称 原子力安全研究(国の予算) 電源開発促進対策特別会計(国の予算)による安全性実証試験・確証試験 ( 国プロ = 国50 + 民間50 ) 電気事業者による電力共通研究(民間の予算) 大学における基礎的な安全研究(国の予算、民間の予算) .....etc. 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 4 5 安全研究について (2/3) 安全部会 福島第一原子力発電所事故に関するセミナー(H24, 2月) 原子力安全の達成 事業者による安全設計と安全管理によって原子力の安全を達成 ( 国の政策と支援? ) 規制はこれらを監視(Oversight) 安全研究(規制支援)の原点 原子力の諸活動が有する危険度(Hazard & Risk)と対策の有効性を 精確に評価する手法やデータを提供して、事業者による安全確保や 安全性向上のための活動と規制内容の見直しを促すことにある。 ( どちらが先か? ) 安全研究(規制支援)の役割 事業者による継続的な改善を促し、規制による適切かつ的確な監視 を支援することだが、事業者の活動に直接/間接的に反映されて初め て役立つ。 ( ☜ 成果の公開 + 事業者の人材育成 ) 技術(現場)の実情を踏まえない指摘など、何の役にも立たない 欠けが無いことが最も重要 ( ☜ 計画と実施課題に網羅性を確保 ) 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 5 6 安全研究について (3/3) 安全部会 福島第一原子力発電所事故に関するセミナー(H24, 2月) プロアクティブな研究 課題解決 問題提起 新技術の導入、高経年化などの変化に係る安全性を 確認する (実施計画 〜 ロードマップに依存) 潜在的な危険に繋がる現象を探索・特定して、その メカニズムの解明や影響の評価を通じて警鐘を鳴らす 今、求められる研究とは? 福島第一原子力発電所の事故の教訓は、次の研究の強化を示唆: シビアアクシデント防止(抑止、収束)・影響(ソースターム)評価 環境影響・被ばく線量評価 リスク評価 外的事象の影響評価 ☞ 合理的に達成できる安全の最高水準を目指した原子力施設の 継続的な安全性の改善=継続的なリスク低減が求められている。 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 6 7 研究計画の作成に際して考慮すること ロードマップ プロアクティブ + 欠けの無いこと 分野の包括的な情報収集(将来展望) 妥当性検討の判断指標の検討 vs. 技術の到達点 情報収集 産業界のR&Dの動向 世界の安全基盤研究の動向 学術界の研究動向 専門学会(多数) 国際機関/協力 人員(スペクトル) 研究設備(独自設備、研究協力) 予算 成果活用の社会的効果 ニーズとの整合の確認 相互理解で齟齬の発生を防止 ( ☞ 安全部会の貢献 ) 2015 Aug. 18 次ページ NRAの安全研究 主体的実施条件 コミュニケーション (包括 + 個別分野) 事業者(現場)への 直接/間接の波及効果 利益相反(Conflict of Interest) 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 7 8 コミュニケーションについて 発電用原子炉施設の安全性の向上のための評価 炉規法 第43条の3の29 (核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律) (運用ガイド http://www.nsr.go.jp/data/000085457.pdf) (評価について http://www.nsr.go.jp/data/000050485.pdf) など 発電用原子炉施設* の安全性を事業者が自ら評価 規制基準の範囲 *廃止措置認可の炉を除く 独自の安全性向上策 (事故発生防止等に資する設備の設置等、ソフトを含む) 安全裕度の評価、リスク(PSA)評価 原子力規制委員会が定める時期に評価。 結果は公表される 施行 事業者( + 産業界のR&D) 規制委員会 評価結果を受ける 検討・判断を行う 説明 規制支援研究機関 サポート 2015 Aug. 18 安全性向上策の特定(ロードマップ等利用)、開発、 評価、設置、運用等の実施 安全性向上策をプロアクティブに検討・研究し、 妥当性の評価手法をタイムリーに提供 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 8 9 安全研究の範囲? Case 2 Case 1 規制 規制 被規制 被規制 自主性喪失 の可能性? Case 3 マッチングファンド研究で 同一のデータを得た場合? 規制 被規制 規制の虜 の可能性? 課題毎に異なり、混在する? 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 9 10 安全研究の範囲? Case 1 Case 2 規制 被規制 規制 被規制 安全研究(計画)の 有効性(リスク低減)の PRAによる検証(予測) は可能か? (精度、妥当性は示せるか?) 2015 Aug. 18 Case 3 対処法の例 「ロードマップ」や 「安全研究の計画」を コミュニケーションに活用 PRAでリスクの現状を 把握 + R&D計画の 有効性を検証 規制 被規制 自主性を持って 規制基準を上回る 高い安全性を目指す 対処法? 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 10 11 研究計画の作成に際して考慮すること ロードマップ プロアクティブ + 欠けの無いこと 分野の包括的な情報収集(将来展望) 妥当性検討の判断指標の検討 vs. 技術の到達点 情報収集 産業界のR&Dの動向 世界の安全基盤研究の動向 学術界の研究動向 専門学会(多数) 国際機関/協力 次ページ 人員(スペクトル) 研究設備(独自設備、研究協力) 予算 成果活用の社会的効果 ニーズとの整合の確認 相互理解で齟齬の発生を防止 ( ☞ 安全部会の貢献 ) 2015 Aug. 18 NRAの安全研究 主体的実施条件 コミュニケーション (包括 + 個別分野) 事業者(現場)への 直接/間接の波及効果 利益相反(Conflict of Interest) 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 11 研究者・技術者と人材、人材育成 12 立場(規制、研究機関、大学、産業界)に依存 一般的な状態 したい 研究のインセンティブの確保 → 成果レベルの向上 (意思、志) すべき (要請) 目的研究 できる (条件) 基礎研究 目的研究 条件 の パラメータ 予算(補助金、受託、再委託、等) 人の能力 = f(育成/指導者、年齢 出資者の要請 すべき (要請) 成果の最大化 できる (条件) したい (意思、志) 適性:実験系/解析系etc.) 試験設備(現象模擬・再現力、 立地、演算速度 etc.) 時間(短、中、長期) 社会条件(労働環境、雇用条件) ... 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 12 研究者・技術者と人材、人材育成 現実的対応の イメージ 13 したい (意思、志) したい (意思、志) できる したい (意思、志) すべき (要請) できる できる (条件) できる したい (意思、志) 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 13 14 望まれる専門的能力 安全部会 福島第一原子力発電所事故に関するセミナー(H24, 2月) 個別の専門領域における創造的能力 (資質) 原子力の安全確保の基本的考え方・手法についての知識 安全性に実質的な影響をもつ課題の発見能力 課題解決のための研究を立案し推進する能力 規制判断に役立つ形で成果をとりまとめる能力 先見性 と 研究リスクへの対処能力 + 志、責任感、使命感 原子力の重点安全研究計画(第1期、H 16年 7月、原子力安全委員会) これら全てを個人が担う必要は無いが、研究環境の整備には 研究指導者の確保と育成 若年層の継続的な獲得と育成 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 が必須 Page 14 15 論 点 (まとめに代えて) 安全研究とは何か? 安全研究は誰が実施するか? 安全研究のテーマはどの様に定められるか? 安全研究の成果はどの様に世の中に現れるか? 現在の「安全度」はどの様に計れるか? 安全研究による「安全度」の改善は、予測可能か? それはどのくらい正確で、信頼できるか? その努力に対して、誰が、なぜ、投資するか? 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 15 16 ご静聴、ご議論、ありがとうございました。 2015 Aug. 18 原子力学会 安全部会 夏期セミナ 安全研究 Page 16
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