日本の建築史と歴史的建造物②

住宅コラム あかいホーム「ずっと住み続けられる安心の住まい」
発行所 株式会社 AKAI
日本の建築史と歴史的建造物②
Vol.12
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今回は鎌倉時代から安土桃山時代にかけての日本の建築史と、その時代の有名な歴史的
建造物をご紹介します。飛鳥・天平時代に中国から伝えられた建築様式は、平安時代を通
じて日本化し、柱を細く、天井を低めにした穏やかな空間が好まれるようになりました。
そして鎌倉時代・室町時代を通して、今に通じる日本的な建築様式が確立されました。
鎌倉時代(1185※∼1332年)
源頼朝が平家を滅ぼし鎌倉に幕府
を開いてから北条氏が滅亡するまで
の約150年間を鎌倉時代※といいま
す。
※成立時期は1192年が一般的ですが、今回は
平家が滅亡した1185年説で表記しています。
鎌倉時代に入ると、大陸との交易
が活発になり、再び中国から建築様
式が入ってきました。まず入ってき
たのが東大寺の再建に用いられた大
仏様(天竺様)です。その建築様式
は合理的な構造、豪放な意匠で大仏
殿にはふさわしいものでありました
が、日本人の好む穏やかな空間とは
相容れない面もあり、あまり広がり
ませんでしたが。大仏様では他に浄
土時浄土堂(兵庫県)などがありま
す。
平安時代に密教が伝来したように
鎌倉時代には禅宗様(唐様)が伝わ
りました。それと同時に大陸の寺院
建築様式が伝えられ、これらは禅宗
寺院の仏堂に多く用いられました。
具体的な特徴は、ここで説明するに
は難しいので省略します。禅宗様で
有名なものは、円覚寺舎利殿(神奈
川県)、正福寺地蔵堂 (東京都)
などがあります。円覚寺舎利殿は鎌
倉で唯一の国宝建築であり、正福寺
地蔵堂は東京都で唯一の国宝建造物
です。たくさんの寺社仏閣がある鎌
倉や東京で、この二つのみが国宝建
築なのは以外です。
円覚寺舎利殿
大仏様、禅宗様など鎌倉時代に
日本に入ってきたものと異なり、
仏教伝来とともに輸入された中国
建築を平安時代を通して日本化し
たものは和様と呼ばれています。
京都の三十三間堂や滋賀県の石山
寺多宝塔などが有名です。
平安時代の住宅建築では貴族の
住まいである寝殿造りをご紹介し
ましたが、鎌倉時代に入りますと
武家の間では寝殿造りをより実用
的に簡素化した住宅が使われるよ
うになりました。これは武家造と
呼ばれています。江戸時代の武家
屋敷とは異なります。
室町時代(1333∼1572年)
室町時代と呼ばれる約240年間
は、禅宗の影響を受け規模の大き
な重層の庭園建築がつくられまし
た。そして、道具の発達によって
木材の加工技術が進歩し、武士の
住居として書院造りが発生しまし
た。
室町時代の代表する建築物とい
えば鹿苑寺舎利殿(金閣寺)と慈
照寺観音堂(銀閣寺)です。金閣
寺は足利義満の別荘として建てら
れ、死後遺言により禅寺としたも
のです。金閣寺は漆地に金箔を押
した三層の舎利殿ですが、一層が
公家風の寝殿造、二階が武家造、
三層が禅宗様の仏殿風となってい
ます。
銀閣寺は足利義政の別荘として
建てられ、死後開山したのが慈照
寺で、その中に書院造りとして銀
閣や東求堂があります。また、東
求堂の中の一室に「同仁斎」があ
り、書院造とともに初期の茶室と
しても有名です。
この書院造は武士の住居として
江戸時代へ受け継がれ、現代の住
まいにも通じています。書院造の
の特徴は、主室に畳が敷き詰めら
れたことです。その他、天井が張
られ、床の間、棚、付書院、帳台
構え、明かり障子が使用されたり
します。
角材の一般化
室町時代以降、各種道具の発達
は著しく、角柱、薄板などの加工
が可能となりました。寝殿造り以
前は円柱が使われていましたが、
書院造り以降、角柱の使用が一般
化しました。
安土桃山時代
(1573年∼1602年)
安土桃山時代は日本の建築史の
中でも最も特徴のある時代で、近
世城郭建築が確立し、室町時代か
らの書院造り、茶室建築の完成を
向かえました。
城郭建築の象徴でもある天守閣
は初期の頃は物見台的なものでし
たが、安土桃山時代末期には姫路
城・大阪城などで頂点を極めまし
た。近代城郭の最初の天守といわ
れているのが安土城です。天下統
一事業を象徴する城郭であり、現
存はしませんが、その規模の大き
さ壮麗さは外国人である宣教師も
認めています。
世界遺産にも登録され、現存す
る天守の中では最も美しいとされ
ているのが姫路城です。姫路城は
城郭建築の最盛期の作品です。
現在江戸時代以前の天守が現存
するのは、弘前城、松本城、丸岡
城、犬山城、彦根城、姫路城、松
山城 (備中国)、松江城、丸亀城
、松山城 (伊予国)、宇和島城、
高知城の12です。
次回は安土桃山時代、書院造り
の完成からご紹介します。
次回は「日本の建築史と歴史的建造物」に関しての予定です。
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