修 士 論 文 の 和 文 要 旨 逐次打点によるアングル材の曲げ加工

修 士 論 文 の 和 文 要 旨
大学院
電気通信学研究科
氏
論
名
文
題
目
博士前期課程
山田拓央
知能機械工学専攻
学籍番号
0534085
逐次打点によるアングル材の曲げ加工
要
旨
近年,加工技術の高度化および製品の多様化に伴って,CNC(Computer
Numerically Controlled)方式の加工機械を用い,フレキシブルな曲げ加工技術が
注目されている.しかし,面内曲げ加工技術に対する研究はほとんど行われてい
ないのが現状である.面内曲げ加工法は,面内での曲げ剛性が面外への曲げ及び
ねじり剛性に比べて著しく大きくなるために,面外への座屈が発生しやすく,難
しい加工法である.さらに,面内曲げ加工技術は,特定の職人の間で伝承される
ため,経験技術に依存することが多く,正確な加工技術の蓄積が難しく,面内曲
げ加工の普及が限定されている.そのため,面内曲げ加工において,実験的,解
析的に検討された研究がほとんど行われてない.
これまで,板材の面内曲げ加工について,基礎的な加工特性を調べ,変形メカ
ニズムを明らかにし,実験的および数値的な解析や検討をしてきた.そして,よ
り幅広い範囲で,この面内曲げ加工技術を活用するために,板材だけでなく,様々
な形材などに応用する研究が求められている.
本研究では,これまで実験的および数値的な解析や検討してきた面内曲げ加工
技術を用いて,新たにアングル材への曲げ加工に応用することを目的とする.
逐次打点による平板の面内加工法を調べるために,製作したコンピュータ数値
制御 (CNC)逐次打点曲げ加工機を改良し,アングル材の曲げ加工実験を行い,基
礎的な加工特性を調べ,変形メカニズムと加工条件の影響を明らかにする.
本実験により以下のことを得た.
1. ウェブが内側になるアングル材の曲げ
① 押込み量の増加に伴い,曲げ半径は減少する.
② 打撃ピッチの増加に伴い,曲げ半径は増加する.
③ 形材のフランジが傾きを有するパンチに打撃されることにより,ウェ
ブが内側になるL形材の曲げが可能である.
④ アングル材のウェブ高さの増加に伴い,曲げ半径は増加する.
2. ウェブが外側になるアングル材の曲げ
① 押込み量の増加に伴い,曲げ半径は減少する.
② 打撃ピッチの増加に伴い,曲げ半径は増加する.
③ 形材のフランジが傾きを有するパンチに打撃され,ウェブが傾きのな
いパンチに打撃されることにより,ウェブが外側になるL形材の曲
げが可能である.
④ アングル材のウェブ高さの増加に伴い,曲げ半径は増加する.