〈総論〉サーボプレス利用技術の拡大と量産への適用 - 日刊工業新聞社

総論
サーボプレス利用技術の拡大
と量産への適用
小松技術士事務所
小松 勇*
CNC の制御精度をフルに活かすには、プレス
最近の特徴あるサーボプレス
機械自体も工作機械並みに高精度・高剛性である
べきと考えていたが、同社の UL プレスによって
日刊工業新聞社からこの春、出版された書物「サ
ーボプレス実践活用法」に記載されているように、
その壁を超えた。
NC 工作機械も工作機械ユーザーの要求で NC
サーボプレスを製作している企業数と機種の増加
が進化すると、刺激されて工作機械が進化し、工
ぶりには目覚ましいものがある。加圧力は 40,
000
作機械が進化すると NC 装置と工作機械のそれぞ
kN を超えるまでになり、用途は卓上プレスから
れの改善すべき点が見つかり、それが改善される
超大型トランスファプレスにまで及んでいる。こ
と、その機械を使ったユーザーからさらに新しい
れからのプレス機械は生産エネルギー形となりつ
課題が突きつけられ開発が進む、という良いサイ
つあり、ハイブリッド車のように機械式駆動系と
クルを経て今日に至っている。
サーボの電気システムの組合せが実現できれば、
こうして高剛性と高精度が必要であると認識さ
さらに省エネルギーの面で技術進歩となるが、開
れれば、これからさらに実用実績が重なって新し
発に多くの企業が参加することが実現の近道につ
いユーザーニーズを生み出し、機械系技術と制御
ながると期待している。
技術が磨き上げられる。
ところで、最近の特徴あるサーボプレスは、サ
ーボ化の分野が広がったように見受ける。事例を
盪高速鍛造プレスのサーボ化
鍛造機にサーボプレスが登場している。鍛造加
挙げると次のような機種がある。
工用プレス機械にはさまざまな機種があり、横型
盧高精度・高剛性サーボプレス
多段鍛造機、ヘッダー、マルチフォーマ、ダブル
たとえば、アイダエンジニアリングのプレス
ブローヘッダー、多段ヘッダー、あるいはアプセ
「UL」のサーボ化である(写真 1)
。もともと同
ッター、ボールヘッダー、ローラーヘッダー、ボ
プレスは、高い精度と剛性をうたった機械プレス
ルトメーカーやナットメーカーなど、用途に合わ
で、特徴ある機械駆動でスライドを駆動しており、
せて多くの機種があり、もちろん正統的鍛造プレ
これにサーボ駆動がジョイントされれば、サーボ
スがある。機械式鍛造プレスでは、180,
000 kN
制御本来の制御精度を活したサーボプレスが実現
が日本国内で稼働し、海外では 200,
000 kN を超
できる組合せであり、プレス機械の CNC 化に近
えるプレスもある。
づく。
(こまつ いさむ):所長・技術士
〒229−1111 神奈川県相模原市宮下本町 1−24−9
TEL・FAX : 042−755−8927
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わが国で鍛造機メーカーの減少している中で榎
本機工が最近、横形鍛造機をサーボ化した。横形
鍛造機は海外メーカーが強い分野の中で、サーボ
プレス化したのは世界初ではなかろうか。縦形鍛
プ レ ス 技 術