表.糖尿病治療薬の分類

表.糖尿病治療薬の分類
分類
インスリン製剤
有効性
(HbA1c低下)
特異な副作用
低血糖 体重への
リスク
影響
価格
重度腎障害の使用
備考
HbA1c8.5%以上、若年者、体重減少患者で使用を推奨。
基礎インスリン(持効型)と追加インスリン(速効型)を投与
するBasal-Bolus療法、経口薬と1日1回の時効型インスリン
の投与(BOT: Basal Supported oral therapy)なども推奨さ
れている。
空腹感が高まり過食傾向になりやすく、体重増加をきたし
やすい。腎不全では活性代謝物のある者は使ってはいけ
ない。
強力(用量依存的)
特になし
高
増加
様々
可能
スルホニル尿素(SU)
薬
強力(1~1.5%)
β細胞の疲弊
高*
増加
安価
禁忌
フェニルアラニン誘導
体(グリニド系)
強力(0.7~1.2%)
特になし
中等度
増加
中等度
一部禁忌
服用10分以内に食事をとる必要あり。ナテグリニドは重度
腎障害では活性代謝物の蓄積により低血糖が起こりやす
いため使用しない。
メトホルミン
(ビグアナイド゙系)
強力(0.7~1.5%)
乳酸アシドー
シス
低
減少
安価
禁忌
肥満を伴う患者に有用で1500~2250mg/日投与すると
HbA1cは下がりやすいが下がるのに時間がかかる。腎機
能低下患者では乳酸アシドーシスを期待洒水ため使用し
ない。
ピオグリタゾン
(チアゾリジン薬)
強力(1%程度)
浮腫・心不
全、まれに肝
障害
低
増加
中等度
禁忌
肥満を伴う患者に有用でHbA1cは下がりやすいが下がる
のに時間がかかる。男性で膀胱がんの発症リスクが上昇
するという報告あり。
可能
インクレチンであるglucagon-like peptide 1(GLP-1)及び
glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)は、グ
ルコース恒常性の維持にかかわるホルモンである。DPP-4
阻害薬はDPP-4 酵素を阻害し、インクレチンのDPP-4によ
る分解を抑制する。活性型インクレチン濃度を上昇させる
ことにより、血糖値依存的にインスリン分泌促進作用並び
にグルカゴン濃度低下作用を増強し血糖コントロールを改
善する。
DPP-4阻害薬
強力(0.7~1.2%)
特になし
低
変化なし
高価
分類
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害薬
α-グリコシダーゼ阻
害薬(α-GI)
有効性
(HbA1c低下)
強力(1~1.5%)
特異な副作用
嘔気・嘔吐
中等度(0.7%程度) 脱水・感染症
弱い(0.3~0.7)
放屁・下痢
低血糖 体重への
リスク
影響
価格
重度腎障害の使用
低
減少
高価
一部禁忌
低
減少
高価
禁忌
低
変化なし 中等度
SU薬の中で第3世代のグリメピリドはインスリン感受性改善作用があるため体重は増加しにくい。
可能
備考
GLP-1受容体を介して作用することによりcAMPを増加さ
せ、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させ
る。さらに、グルコース濃度依存的にグルカゴン分泌を抑
制する。
SGLT(sodium glucose cotransporter:ナトリウム・グルコー
ス共役輸送体)の働きを阻害し、近位尿細管でのグルコー
ス再吸収が減り、その分だけ尿糖の排泄が増え、高血糖
が改善される。 肥満を伴う患者に有用だが脱水には要注
意。
ニ糖類分解酵素であるα-グルコシダーゼの作用を競合的
に阻害することで、糖の分解・吸収を遅らせる。空腹時血
糖はさほど高くなく、食後に高血糖になるようなインスリン
非依存状態を示す症例に使用される。単独では弱いた
め、他の糖尿病治療薬と併用されることが多く服用10分以
内に食事をとる必要あり。