文化庁メディア芸術祭国内巡回事業2014 上映プログラム

文 化庁メディア芸術祭国内巡回事 業 2014 上 映プログラム
Portrait of Japanese Animation ─日本の映像描写
日本人作家によって創造された映像作品には丁寧な手仕事で完成させた繊細さや目に見えない空気感をもとらえる、日本人ならではのこだわり
を感じることができます。
映像プログラム「 Portrait
of Japanese Animation 」に収録された 9 作品では日本の映像表現として独特の世界観をみることができます。
日本人初のアカデミー賞受賞監督となった、加藤久仁生監督の『つみきのいえ』では、繊細かつ郷愁的な絵世界で表現された大切な「想い」が観
る人の心に届きます。
『 ISSEY
MIYAKE A-POC INSIDE 』では、白い点(ドット)の動きが私たちの記憶を引き出し、ムーンウォークとなって歩き出しま
す。
『記憶全景』や『 ab-rah 』は、映像の中に平面としておさめられていたものから空間へ再現し、屋外へ飛び出します。
技術にとらわれない緻密な作業の積み重ねから生み出された作品は鑑賞者一人一人の五感に響くことでしょう。
上映作品
rain town
| 石田 祐康 [ 日本 ]
第 15 回アニメーション部門新人賞
9 分 55 秒 短編アニメーション
いつからか雨が止まなくなり、住民が郊外や高台へと移り住んでいった街・rain town。 打ち捨てられ、誰もいない廃墟と化した「雨の街」の奥深くへと
迷い込む少女。そこで出会う、かつての街の記憶を持つ一人ぼっちのロボット。どこか寂しさとノスタルジアを感じるほの暗くも美しい世界の情景を、静
謐な音楽と降りしきる雨の音のみで優しく描いた作品。
©石田祐康 / 京都精華大学
─石田 祐康 1988 年、愛知生まれ。 京都精華大学アニメーション科卒業。 独学で自主制作アニメを作り続け、
『フミコの告白』
(2009)は、国内外で受賞多数。 現在、
スタジオコロリド所属のアニメーション監督。
まつすぐな道でさみしい | 岡本 将徳 [ 日本 ]
第 16 回アニメーション部門審査委員会推薦作品
5 分 53 秒 短編アニメーション
自由律俳句の代表的な俳人・種田山頭火(1882-1940)
をモチーフにして「さみしい」という感情の象徴化を試みたアニメーション作品。 旅の道中、山の
緑に囲まれるなかで、ほろ酔い気分で顔を赤らめた人物の表情が、カットアウトの手法を用いて細かく描写されている。
─岡本将史 1985 年、東京都生まれ。 2012 年、大学院修了後、フリーランスとして活動。
©OKAMOTO Masanori / Tokyo University of the Arts
記憶全景 | 横田 将士 [ 日本 ]
第 12 回アート部門審査委員会推薦作品
5 分 27 秒 映像作品
家族や風景を映した記録映像をフレーム単位で写真として出力し裁断加工、加工した写真を時系列に沿って1枚1枚積み重ねる過程をコマ撮り撮影する
事により、映像の中に平面として収めれていた”
かたち " を空間に再現した映像作品。
─横田 将士 1983 年、埼玉県生まれ。 映像作家
©横田 将士
森の木琴 | 原野 守弘/ 西田 淳/菱川 勢一/松尾 謙二郎/津田 三朗/大磯 俊文 [ 日本 ]
第 15 回エンターテインメント審査委員会推薦作品
2 分 2 秒 映像作品
人工林のメンテナンスのために切り出される間伐材を使用して製作された携帯電話のための CM 作品。 製品と同じく間伐材を使用し、職人の手によって
緻密に作られた長さ 44m の木琴を森の中に設置。そこを転がる木の玉が、バッハのカンタータ第 147 番『主よ、人の望みの喜びよ』
を奏でる。 同製品
の持つエコロジカルなコンセプトが心地良い風景と音楽に乗せて届けられる。 ©NTT DOCOMO, INC.
1347smiles
| 新井 風愉 [ 日本 ]
第 17 回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品
3 分 17 秒 映像作品
日常で出会った「ほっこり」をテーマに展開する三井不動産株式会社が運営する Facebook ページ「ほっこり通信」から生まれたウェブ CM。 老若男女、300
人のユーザーが被写体として参加した。1,347 の笑顔をつなぎあわせたコマ撮り動画に、さまざまな人生と関わっていく三井不動産の街づくりの思いが込
められている。
©2013 ROBOT COMMUNICATIONS INC./Netyear Group
Corporation/Mitsui Fudosan Co., Ltd.
─新井 風愉 1979 年、東京都生まれ。 映像作家。 武蔵野美術大学映像学科卒業。 2002 年より
(株)ロボットにてさまざまな映像制作を手がける。
ab-rah
| 吉野 耕平 (networks) [ 日本 ]
第 14 回エンターテインメント部門審査委員会推薦作品
3 分 13 秒 映像作品
誰もが触れたことのある、磁石で絵を描くおもちゃを使って制作されたアニメーション。 描いた直後から消していく、あのおもちゃ独自の「ルール」。 描い
ては消す反復がつくる疾走感や、原始的なデジタルペイント体験の興奮を、リズムに乗せて表現した。 平面から空間へ。 室内から屋外へ。 媒体の持つ
自由度と、音楽の自由な展開を重ねて描いている。
©吉野耕平
─吉野 耕平 1979 年、大阪生まれ。ディレクター、 CG アニメーター。 2013 年より Tank-Top 所属
ISSEY MIYAKE A-POC INSIDE.
第 11 回アート部門優秀賞
| 佐藤 雅彦+ユーフラテス [ 日本 ]
2 分 50 秒 映像作品
ISSEY MIYAKE による新ブランド「A-POC INSIDE」のプロモーション映像。 認知科学の知見を用いて、黒地に白い点や文字だけの構成でファッションモデ
ルたちのいきいきとした動きを表現している。
©株式会社 イッセイ ミヤケ
─佐藤雅彦 東京大学教育学部卒業。 2006 年より東京藝術大学大学院映像研究科教授。 / EUPHRATES 慶應義塾大学佐藤雅彦研究室の卒業生を母体とするクリエ
イティブ・グループ。
寫眞館 | なかむら たかし [ 日本 ]
第 17 回アニメーション部門審査委員会推薦作品
16 分 43 秒 短編アニメーション
時は戦前のある日、丘の上で写真館を営む主人の元に一組の夫婦が訪れる。 婦人は恥ずかしそうに下を向くばかりだったが、写真館の主人はあの手こ
の手で婦人の笑顔を写真に収めた。 時は流れ、再びその夫婦とやってきたのは、ムスッとした彼らの愛娘だった――。 主人と少女との交流を時代変遷と
ともに描く、ノスタルジックアニメーション。
©studio colorido
─なかむら たかし 1955 年生まれ、山梨県出身。アニメーター・監督・演出家。
つみきのいえ | 加藤 久仁生 [ 日本 ]
第 12 回アニメーション部門大賞
12 分 4 秒 短編アニメーション
水に囲まれつみきを積んだような部屋でひとりの老人が暮らしている。 水没している階下にパイプを落とした彼は、それを拾うためにもぐり、それぞれの
部屋に刻まれた家族の思い出にめぐりあう。いまはいない妻、娘、なつかしい人々の大切な記憶が静かなタッチで描かれ、純度の高い心にしみる作品と
なった。 地球温暖化のテーマも秘められている。
©ROBOT
─加藤 久仁生 1977 年生まれ。 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。 2001 年にロボットに入社。テレビ番組、 Web アニメーション、スポット CM などさまざまな
アニメーション作品を手がけている。
文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの 4 部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品
の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。平成 9 年度(1997 年)の開催以来、高い芸術性と創造性をもつ優れたメディア
芸術作品を顕彰し、受賞作品の展示・上映や、シンポジウム等の関連イベントを実施する受賞作品展を開催しています。 昨年度[第 17 回]
は、過去最多となる世界 84 の国と地域から 4,347 点の作品の応募があり、文化庁メディア芸術祭は国際的なフェスティバルへと成長を続けて
います。 また、文化庁では、メディア芸術の創造とその発展を図ることを目的に、文化庁メディア芸術祭の受賞作品を国内外で広く紹介する
多彩な事業を実施しています。 海外・国内展開や創作活動支援等の関連事業を通じ、 次代を見据えたフェスティバルを目指しています。
作品募集 2014 年 7 月 7 日(月)─ 9 月 2 日(火)日本時間 18:00 必着
受賞発表 2014 年 11 月下旬 贈呈式 2015 年 2 月 3 日(火)
受賞作品展
2015 年 2 月 4 日(水)─ 2 月 15 日(日)*2/10(火)休館
会場:国立新美術館
(東京・六本木)ほか
問い合わせ先:文化庁メディア芸術祭国内巡回事業事務局(NHKインターナショナル内)| mail: [email protected]
http://j-mediaarts.jp/
http://jmaf-promote.jp/