高チクソトロピー性状を有するグラウトの性能評価方法に関する研究(藤江

高チクソトロピー性状を有する
グラウトの性能評価方法に関する研究
MT033425 藤江幸人
ピー性、加圧時の分離抵抗性、先流れ抵抗性に関する
評価試験方法の検討を行なった。また、高チクソグラ
ウトの品質管理試験方法についても検討した。
1. まえがき
(1) 研究の背景
PC グラウトは、ポストテンション方式の PC 構造物
において、シース中に挿入され緊張定着された PC 鋼
材を腐食から保護すると共に、コンクリートとシース
中の PC 鋼材に付着を与えて両者を一体とする極めて
重要な役割を持つ。よって、シース内にグラウトを完
全に充填することが必要となるが、ここでグラウトの
完全充填の障害となるのが、グラウトの先流れ現象に
起因する残留空隙である。先流れ現象はグラウトの粘
性を高くすると防ぐことができるが、このような粘性
の増大は、作業性に悪影響を及ぼす。
これらの問題を解決するため、グラウトにチクソト
ロピー性を付与することで、高い先流れ抵抗性と良好
な施工性とを同時に達成されることが、これまでの研
究で明らかとなっている1)。
しかしながら、このような高いチクソトロピー性を
有したグラウト(以下高チクソグラウト)は、従来のグ
ラウトと性状が大きく異なるため、その性能を評価す
る試験方法が全くないのが現状である。
2. チクソトロピー性の評価
2.1 評価方法
チクソトロピーはレオロジー特性のひとつであり、
図-1 に示すように、力が加わると粘性が低下し流動性
が増すといった可逆的変化を起こす現象である。そこ
で本研究ではチクソトロピー性状を定量的に評価する
ために、図-2 に示すような加圧下での流下時間を測定
できる装置を作製した。この装置内に設置したJP漏斗
にグラウトを充満させ、加圧流下試験を行い圧力と流
下時間の関係を調べた場合、チクソトロピー性の高い
グラウトであれば圧力の増加に伴い流下時間が大きく
減少すると考えられる。本研究では、既往の研究で得
られた式を参考に、試料がチクソトロピー性を持たな
いビンガム流体であったと仮定した場合の流下時間 t
と圧力との関係を求め1)、図-3 のように実際の流下時間
との差 δt を算出した。δt の値が大きいほど、試料のチ
体
粘度
接線
1
1
粘度
圧縮空気
JP漏斗
チクソトロピー流体
τf
τf
体
流
トン
ー
ュ
ニ
クソトロピー性が大きいと評価した。
上述の、試料をビンガム流体と仮定した理論的流下
時間 t は、式(1)によって求められる。
t=
4 ⎛τ f
3 ⎝ τ0
τ0 =
せん断速度
aS
1
⎞ 1 ⎛τ f
⎟⎟ + ⎜⎜
⎠ 3 ⎝ τ0
⎞
⎟⎟
⎠
4
cos θ
(2)
(3)
表-1 実験水準
チクソトロピー
ビンガム(理論)
δt
図-3
図-2 加圧流下試験装置
(1)
ρgV + πPR 2
コック
図-1 流体のレオロジー概念
α 0t0
α
α = 1 − ⎜⎜
流下時間 (秒)
ビ
ン
ガ
ム
流
せん断応力τ
(2) 研究概要
現在、規格化されているグラウトの性能評価方法は、
流動性については JP 漏斗流下試験であり、分離抵抗
性については非加圧下でのブリーディング試験である。
しかし、これらの試験方法のみでは、グラウトの降伏
値、チクソトロピー性、加圧時の分離抵抗性、先流れ
抵抗性等を評価することが出来ない。また、高チクソ
グラウトの品質管理試験方法も確立する必要がある。
そこで本研究では、高チクソグラウトのチクソトロ
δt
圧力 (MPa)
SP
BN
添加率 添加率
W/P (%) SP/P (%) BN/P(%)
0.7
35
0.1
1.1
37
0.2
1.4
1.7
水粉体比
記号
セメント
C
BS
BN
EX
SP
W
混和材
混和剤
水
材料名
物性
普通ポルトランドセメント
比重:3.15
高炉スラグ微粉末
比重:2.91
ベントナイト
比重:2.60
膨張材
比重:3.00
高性能AE減水剤
ポリカルボン酸系
水道水
20
0.6
16
0.5
8
τf =
3 5 - 0 .2
3 7 - 0 .2
0
0.7
1.1
ベ ント ナイト添加率B N /P( %)
図-4 BN/P と δt の関係
単位量(g/l)
W
520.3
520.2
520.0
519.8
534.2
534.0
533.9
533.7
C
861.1
857.8
854.5
851.2
836.2
833.0
829.8
826.7
BS
387.9
386.4
384.9
383.5
376.7
375.2
373.8
372.4
BN
10.5
15.7
20.8
26.0
10.5
15.7
20.8
26.0
EX
227.2
226.3
225.5
224.6
220.6
219.8
219.0
218.1
ρgVF
π (φ 2) (5π 2VF )(φ 2)3 + 2
2
{
}
0.3
3 5 - 0 .1
3 5 - 0 .2
3 7 - 0 .1
3 7 - 0 .2
0.2
4
表-3 基本配合
BN
水粉体比
添加率
W/P (%) BN/P(%)
35
0.7
35
1.1
35
1.4
35
1.7
37
0.7
37
1.1
37
1.4
37
1.7
0.4
12
δt'
材料の種別
圧力0.1MPa 時のδt( 秒)
表-2 使用材料
1.5
0.1
0.0
0.7
1.1
1.5
ベント ナイト 添加率B N /P( %)
図-5 BN/P と δt ' の関係
2.3 実験結果
図-4 に、JP 漏斗が閉塞しなかった配合におけるベン
トナイト添加量と圧力 0.1MPa 時の δt の関係を示した。
なお、図中の凡例は W/P-SP/P を意味する。この図に
示した結果より、ベントナイト添加量が増加するほど
δt の値が大きくなっていることがわかる。次に、全て
の配合におけるベントナイト添加量と δt ' の関係を図
(4)
-5 に示す。図より、例外はあるものの、全体の傾向と
してベントナイト添加量が大きくなるほど δt ' が小さ
くなっていることがわかる。よって、図-4 および図-5
に示した結果から、ベントナイト添加量が増加するに
つれチクソトロピー性が高くなると考えられる。
以上の結果から、加圧流下試験によりグラウトのチ
クソトロピー性を評価できると考えられる。
ここに、α :降伏領域のパラメータ、α 0 :非加圧下
のα 、 t 0 :非加圧下の流下時間、 ρ :試料密度、 g :重力
加速度、V :漏斗容積、 P :圧力、 R :漏斗上面半径、θ :
漏斗と中心軸との成す角、a S :漏斗側面積、VF :フロー
コーン容積、φ :フロー値を意味する。(なお、フローコ
ーンは内径 50mm,高さ 50mm の円筒を用い、フロー
3.加圧時の分離抵抗性の評価
値はフローコーンに充填した試料の直径を指す。)
また、高チクソグラウトは非加圧状態での粘性が非
常に高く、JP漏斗を完全に流下せずに閉塞してしまう
ということが予想される。この場合 δt を算出すること
が出来ないため、これらの配合については式(5)に示し
たように、
圧力 0.025MPa時の流下時間 t 0.025と 0.1MPa
時の流下時間 t 0.1の比を δt ' と定義し、これによりチク
ソトロピー性の評価を行なった。ここで、δt ' が小さい
ほど加圧により流下時間が短くなり、チクソトロピー
性が高いといえる。
δ t ' = t 0 .1 t
0.025
(5)
2.2 実験概要
ベントナイトは、その膨潤性によりチクソトロピー
性を有しており、添加するベントナイト量が多くなる
ほどチクソトロピー性は増加する2)。そこで本研究では、
表-1 に示したようにベントナイト添加率(BN/P)を全粉
体に対する重量比で 4 水準変化させ、加圧流下試験を
行なった。なお、水粉体比(W/P)、高性能AE減水剤添
加率(SP/P)についてもそれぞれ 2 水準変化させた。
また、使用材料、基本配合を表-2 および表-3 に示す。
2
3.1 概要
冒頭で述べたように、PC グラウトはシース内に完全
に充填されることが必要である。そのため、PC グラウ
トはブリーディングの発生がないことが求められる。
現在までに規格化されているブリーディング試験は非
加圧時に関する試験のみである。この試験は、グラウ
トを内径 50mm のポリエチレン袋に約 20cm の高さま
で充填し、3 時間後および 20 時間以上経過した段階で
グラウト上部に発生したブリーディング水を測定する
というものである。本研究における高チクソグラウト
は、このブリーディング試験においてはブリーディン
グの発生は認められない。しかし、実際にはグラウト
は圧力をかけシース管へ注入するものであり、加圧下
ではブリーディングは促進されるものと考えられる。
そのため、加圧時のブリーディングに関しても考慮す
る必要がある。
しかしながら、加圧ブリーディングに関しては、現
在のところ国内・海外共に評価方法が確立されていな
い。唯一、海外では PTI(Post-Tensioning Institute)に
おいて、Schupack Pressure Bleed Test が提案されて
いるのみであるが、規格化されるに至っていない。
そこで本研究では、図-2 に示した加圧流下試験装置
を用い、独自の加圧ブリーディング試験方法について
表-4 実験水準
SP/P
W/P
表-5 使用材料
0.17 0.18 0.19
○
○
○
35.0
○
○
○
37.0
○
○
○
39.0
○
○
○
0.20
0.15
SP/P=
0 .1 7 %
SP/P=
0 .1 8 %
SP/P=
0 .1 9 %
0.10
0.05
0.00
33
35
37
39
水粉体比W / P(% )
粘
性
グ
ラウ
0.25
高
加圧ブ リ ー デ ィ ング率(% )
0.30
τ0
1
接線
粘度
高チクソグラウト
τf
τf
ウト
粘度
性グラ
1
超低粘
.
γ0
図-6 W/Pと加圧ブリーディング率
の関係
粘度
1
表-6 基本配合
物性
密度:2.99
密度:2.60
ポリカルボン酸系
無水和物
ラウリル硫酸ナトリウム
ト
せん断応力
33.0
材料の種別 記号
材料名
セメント
C
特殊混合セメント
混和材
BN
ベントナイト
SP 高性能AE減水剤
混和剤
CN
炭酸ナトリウム
EM
起泡剤
水
W
水道水
せん断速度
水粉体比
W/P (%)
33.0
35.0
37.0
39.0
単位量(g/l)
W
496.5
511.2
525.1
538.2
C
1499.9
1456.1
1414.8
1375.7
BN EM
4.7 0.4
4.6 0.4
4.5 0.4
4.3 0.4
CN
2.1
2.1
2.1
2.1
また、W/Pの低い範囲では SP/Pが小さいほど加圧ブ
リーディング率が低い。これは、SP/P が小さいほど流
動性が悪く粘性が高いためと思われる。
なお、非加圧時の通常のブリーディング試験では、
全ての配合でブリーディングは発生しなかった。
以上の結果より、本研究で提案した加圧ブリーディ
ング試験で加圧時の分離抵抗性について評価すること
が出来ると考えられる。
図-7 各種グラウトの流動曲線
検討した。
4.品質管理試験方法
3.2 評価方法
本研究では、加圧時のグラウトの分離抵抗性を評価
するため、グラウトを加圧した状態で流出するブリー
ディング水量を測定する加圧ブリーディング試験を行
なった。そこで、図-2 に示した加圧流下試験装置内に
設置したJP漏斗の下部に濾紙を設置し、容器内を加圧
状態とした際に流出するブリーディング水量を測定し
た。濾紙は 1μmサイズのガラス濾紙を用い、圧力は
0.5MPa、加圧時間は 5 分間とした。そして、5 分間に
流出するブリーディング水量 B p(ml)、JP漏斗の容積
V (ml)から、以下の式により加圧ブリーディング率を
4.1 概要
本研究では高チクソグラウトのチクソトロピー性を
評価し、品質を管理するための簡易な方法として、直
管タイプの流下試験(ST 漏斗流下試験)を提案し検討を
行った。
4.2 理論
(1) 概論
図-7 に、高チクソグラウト、高粘性グラウト、超低
粘性グラウトの流動曲線の例を示す。直管タイプの流
下試験において、図-7 に示すように高チクソグラウト
の粘性が超低粘性グラウト程度となるときのせん断応
.
力τ0、せん断速度γ0が生じるように直管の半径Rを設
定した場合、高チクソグラウトの流下時間は高粘性グ
ラウトより短く、超低粘性グラウトと同程度となるは
ずである。これを確認することで、現場で簡便にチク
ソトロピー性を評価することが出来ると考えられる。
(2) 流下時間の予測
長さ l、半径 R の細管内に粘性ηのビンガム流体が
満たされている場合を考える。管の両端にΔP の圧力
差が瞬間的に作用した場合、細管内の単位時間あたり
の流量 Q は Buckingham 式により,
算出した。
加圧ブリーディング率 (%) =
BP
× 100
V
(6)
3.3 実験概要
本研究で提案した加圧ブリーディング試験が有効で
あるかを検討するため、表-4 に示すようにW/P を 4 水
準、SP/P を 3 水準変化させた合計 12 種類の配合につ
いて加圧ブリーディング率を測定した。実験に使用す
る材料は表-5 に示したものとする。また、使用する配
合は表-6 に示したものを基本とし、それぞれについて
SP/P を 3 水準ずつ変化させた。
Q=
3.4 実験結果
図-6 に、W/P と加圧ブリーディング率の関係を示し
た。一般的に、分離抵抗性は W/P が小さい場合に良好
になると考えられているが、図-6 に示した結果もほぼ
同様のものとなった。図-6 を見ると、W/P が大きいほ
ど加圧ブリーディング率が増加していることがわかる。
3
πR 4 dp
α
8η dl
(9)
と表すことが出来る2).ここで、式(9)中のαは式(2)に
示した降伏領域のパラメータである。さらに圧力勾配
dp/dlは,流動抵抗と試料重量により以下のようになる。
dp
8ηQ
=
− ρg
dl παR 4
(10)
グラウトタイプ
高チクソ
高粘性
超低粘性
水粉体比
W/P (%)
31.0
33.0
35.0
37.0
45.0
36.5
ここで、式(10)を積分することにより試料の両端の圧
力差ΔP が得られるが、試料の両端は自由表面なので
圧力は 0 となる。これから、単位時間あたりの流量 Q
は以下のように表すことが出来る。
παR 4 ρ g
8η
性
低
粘
粘
超
ソ
高
(3
7%
性
)
)
5%
ク
チ
ク
高
高
チ
高
チ
ク
ソ
(3
(3
3%
)
)
0
図-8 各配合の ST 漏斗流下時間
8
l= 2 0 0 (理論)
l= 3 0 0 (理論)
l= 4 0 0 (理論)
l= 2 0 0 (実測)
l= 3 0 0 (実測)
l= 4 0 0 (実測)
6
4
2
0
31
33
35
37
水粉体比(%)
図-9 水粉体比と ST 漏斗流下時間の関係
ラウト>高チクソグラウト≒超低粘性グラウトとなっ
ており、グラウトのチクソトロピー性を評価すること
ができたと考えられる。
つぎに、図-9 に高チクソグラウトにおける水粉体比
とST漏斗流下時間の関係を示し、理論値との比較を行
った。この図から、水粉体比の大きな範囲では実測値
は理論値とよく一致しているが、水粉体比の小さい範
囲では理論値より大幅に小さいことがわかる。この原
因として、本研究では一般的なグラウトの流れである
塑性流れを対象とし流下時間の予測を行ったが、流動
機構がすべりを伴う塑性流れに移行したことが考えら
れる。降伏値を持つビンガム流体の管内流動では、管
軸付近で試料自身が変形せずに移動する栓流現象が見
られる2)。この栓流部分の半径である栓流半径rfは降伏
値τfと圧力差ΔPの比で表される。このrfが、グラウト
の水粉体比の低下に伴うτfの増大や、本研究ではΔP
を漏斗に充満した全グラウトの試料重量と仮定してい
るため、グラウトの流下に伴うΔPの減少により増加し、
管の半径に近づくことで流動機構が変化したと考えら
れる。
(11)
次に、連続式を適用すると直管内における試料上面の
降下速度dz/dt=Q/πR2となるので、これを式(11)に代
入し両辺を積分することにより流下時間tが式(12)によ
り得られる。
l
⎡ 8η ⎤
8η
t=⎢ 2
⎥ = R 2 ρgα l
R
g
ρ
α
⎣
⎦0
2
チ
表-8 実験結果
JP漏斗流下時間
ST漏斗流下時間
フロー値
(秒)
0
0.1MPa
(秒)
(mm)
l=200 l=300 l=400
∞
1.20
63.0
1.47 3.08 4.09
∞
1.03
65.0
0.67 1.05 1.36
∞
0.77
76.3
0.61 0.89 1.20
∞
0.75
92.2
0.52 0.66 0.99
18.86
1.77
206.3
3.10 5.50 6.89
4.43
1.00
314.2
0.52 0.66 0.99
Q=
4
1%
GF
1.3
-
ソ
CN
1.1
1.1
1.1
1.1
-
(3
EM
0.8
0.8
0.7
0.7
-
ク
SP
2.2
2.1
2.0
2.0
3.6
高
BN
BS
SF
EX
1.7
1.6
1.6
1.5
- 351.0 58.4 273.5
l= 2 0 0
l= 3 0 0
l= 4 0 0
6
ソ
単位量(g/l)
ST 漏斗流下時間(秒)
SP
GF
グラウト 水粉体比
添加率 添加率
タイプ
W/P (%) SP/P (%) GF/P(%)
W
C
31.0
481.0 1549.9
33.0
496.6 1503.3
高チクソ
0.14
35.0
511.3 1459.3
37.0
525.2 1417.9
45.0
573.7 1274.8
高粘性
0.1
超低粘性 36.5
0.25
526.5 759.5
ST 漏斗流下時間(秒)
8
表-7 使用配合
(12)
4.3 検証実験
本研究で提案した ST 漏斗流下試験が、高チクソグ
ラウトのチクソトロピー性を簡易に評価することが出
来るかを検証するため、実験を行なった。
用いる ST 漏斗の形状は、4.2(1)で述べたように
半径 R を算出した結果から R=20mmとし、長さ l を
200mm、300mm、400mmの 3 種類変化させた。
使用する配合は、高チクソグラウト、および比較の
ために現在一般的に用いられている高粘性グラウト、
過去の研究において開発した超低粘性グラウト1)の 3
種類とした。高チクソグラウトについては、水粉体比
を 31、33、35、37%の 4 水準変化させた。使用配合を
表-7 に示す.なお、高チクソグラウトの使用材料は表
-5、高粘性および超低粘性グラウトの使用材料は表-2
に示したものと同じとした。なお、表-7 中のGFは高粘
性グラウト用混和剤を示す。
5.まとめ
本研究において提案した、加圧流下試験、加圧ブリ
ーディング試験によりグラウトのチクソトロピー性、
加圧時の分離抵抗性を定量的に評価することができた。
また、ST 漏斗流下試験により、現場において簡易に高
チクソグラウトの品質を管理することが可能である。
6.参考文献
4.4 実験結果
表-8 に実験結果をまとめた。また、図-8 に各配合の
ST 漏斗流下時間を示した。この図に示した結果から、
本研究で予測したように、ST 漏斗流下時間は高粘性グ
1) 加藤祐哉: 高チクソトロピー性を有する PC グラウトに関
する研究,
宇都宮大学大学院博士前期過程修了論文,
2003.
2) 岡小天: レオロジー入門,工業調査会,1970.
4