Hirosaki University Repository for Academic Resources Title Author(s) Serum tri- and tetra-antennary N-glycan is a potential predictive biomarker for castrationresistant prostate cancer. 石橋, 祐介 Citation Issue Date URL 2015-03-24 http://hdl.handle.net/10129/5619 Rights Text version ETD http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/ 医共様式1 学位請求論文の内容の要旨 論文提出者氏名 腫瘍制御科学領域 氏名 石橋祐介 泌尿器腫瘍学教育研究分野 (論文題目) Serum tri- and tetra-antennary N-glycan is a potential predictive biomarker for castration-resistant prostate cancer. (血清 3 分岐及び 4 分岐 N 型糖鎖は去勢抵抗性前立腺癌の予測マーカーとなりえる) (内容の要旨) 【背景】 前 立 腺 癌( PC)の 治 療 に お い て ア ン ド ロ ゲ ン 遮 断 療 法( ADT)が 有 効 で あ る が 、ADT 施 行 中 の 患 者 の 約 20% が ADT 抵 抗 性 を 示 し 、去 勢 抵 抗 性 前 立 腺 癌( CRPC)へ と 進 展 す る 。 こ れ ま で 、 CRPC の 治 療 は タ キ サ ン 系 抗 癌 剤 ド セ タ キ セ ル の 他 に 有 効 な 治 療 法 が な か っ た が 、近 年 、ア ン ド ロ ゲ ン 合 成 阻 害 剤 ア ビ ラ テ ロ ン や ア ン ド ロ ゲ ン 受 容 体 阻 害 剤 エ ン ザ ル タ ミ ド や 、新 規 タ キ サ ン 系 抗 癌 剤 カ バ ジ タ キ セ ル な ど の CRPC に 有 効 な 新 規 薬 剤 が 本 邦 に お い て も 承 認 さ れ た 。 治 療 選 択 肢 の 増 加 に 伴 い 、 早 期 に CRPC を 予 測 し 、 治 療 計 画 を 立 案 す る こ と が 重 要 に な る が 、 現 時 点 で は 、 CRPC を 早 期 診 断 す る た め の バ イ オ マーカーは存在しない。 糖 鎖 は 発 癌 や 浸 潤 、転 移 の 各 段 階 に お い て ダ イ ナ ミ ッ ク に 変 化 す る こ と が 知 ら れ て お り、臨床 現場 で腫瘍 マ ーカー として 応用 され ている 事例も 多い。従 来、血清 糖タ ンパク 糖 鎖 を 詳 細 に 解 析 す る こ と は 不 可 能 で あ っ た が 、質 量 解 析 の 進 歩 に 伴 っ て 微 量 の 血 清 で 血 清 N 型 糖 鎖 を 網 羅 的 に 解 析 す る 方 法 が 開 発 さ れ た 。我 々 の 研 究 グ ル ー プ で は 、こ の 方 法 を 使 っ て 腎 細 胞 癌 、透 析 症 例 、腎 移 植 の 拒 絶 反 応 な ど と の 関 連 性 に つ い て 検 討 し て き た 。 し か し 、 本 解 析 法 を CRPC へ の 進 展 予 測 バ イ オ マ ー カ ー と し て 応 用 す る 試 み の 報 告 はない。 本 研 究 で は 、PC 患 者 の 血 清 N 型 糖 鎖 の 網 羅 的 解 析 を 行 い 、CRPC へ の 進 展 を 予 測 す る ためのバイオマーカーの探索を試みた。 【方法】 ① 健 常 人 80 例 、 前 立 腺 肥 大 症 286 例 、 早 期 限 局 性 PC 258 例 、 ADT 施 行 中 の PC 46 例 お よ び CRPC 68 例 の 血 清 10L か ら 全 自 動 糖 鎖 解 析 前 処 理 装 置 SweetBlot を 用 い た Glycoblotting 法 に よ り 血 清 N 型 糖 鎖 を 回 収 し た 。SweetBlot に て 前 処 理 を 施 し た 血 清 N 型 糖 鎖 サ ン プ ル は Bruker Daltonics 社 の MALDI-TOF MS で 質 量 解 析 を 行 っ た 。 ② ヒ ト 前 立 腺 上 皮 細 胞 株 :RWPE-1、ヒ ト 前 立 腺 癌 細 胞 株 :LNCaP、DU-145、PC-3 お よ び LNCaP の ア ン ド ロ ゲ ン 非 依 存 性 変 異 株 :LNCaP-AI を 用 い て 、 N 型 糖 鎖 の 分 岐 に 関 与 す る 糖 転 移 酵 素 で あ る 、N-acetylglucosaminyltransferase I( MGAT1)、 MGAT2 、 MGAT3 、 MGAT4A 、MGAT4B 、MGAT4C 、MGAT5A お よ び MGAT5B の 転 写 レ ベ ル を 定 量 RT-PCR で検討した。 ③ 統 計 学 的 解 析 は SPSS(version 20.0)を 用 い て 行 っ た 。 群 間 比 較 は Student’s t-test あ る い は Mann-Whitney U-test を 使 用 し 、バ イ オ マ ー カ ー 候 補 の N 型 糖 鎖 の 検 討 は logistic regression analysis お よ び receiver operating characteristic (ROC) 曲 線 を 用 い て 行 っ た 。 P<0.05 を 統 計 的 有 意 と 判 定 し た 。 【結果】 ① 患 者 群 の 血 清 N 型 糖 鎖 構 造 を 解 析 し た 結 果 、 CRPC 群 に お い て 3 分 岐 及 び 4 分 岐 N 型糖鎖が有意に高発現していた。 ② ADT 治 療 中 の 患 者 の 3 分 岐 及 び 4 分 岐 N 型 糖 鎖 レ ベ ル を 長 期 追 跡 調 査 し た 結 果 、 3 ヶ 月 毎 に 2 回 連 続 し て 3 分 岐 及 び 4 分 岐 N 型 糖 鎖 が 増 加 し 、CRPC に 進 展 し た 1 例 を 確認した。 ④ ア ン ド ロ ゲ ン 非 依 存 性 前 立 腺 癌 細 胞 株( CRPC 型 細 胞 株 )に お い て MGAT1、MGAT2 、 GAT4B 、 MGAT5A お よ び MGAT5B の 発 現 亢 進 を 認 め た 。 ⑤ 特 に MGAT5B の 発 現 は ア ン ド ロ ゲ ン 非 依 存 性 前 立 腺 癌 細 胞 株 DU-145、 PC-3 お よ び LNCaP-AI の す べ て に お い て ア ン ド ロ ゲ ン 依 存 性 細 胞 株 の 20 倍 の 発 現 強 度 を 認 め た 。 【結論】 血 清 3 分 岐 及 び 4 分 岐 N 型 糖 鎖 の 増 加 が 血 中 糖 タ ン パ ク 質 の 糖 鎖 変 化 、循 環 癌 細 胞 表 面 の 糖 鎖 変 化 あ る い は 、原 発 巣 組 織 の い ず れ に 由 来 す る も の か 同 定 す る に は 至 ら な か っ た が 、血 清 3 分 岐 及 び 4 分 岐 N 型 糖 鎖 の CRPC 進 展 予 測 バ イ オ マ ー カ ー と し て の 有 用 性 が 示 唆 さ れ た 。今 後 さ ら に 検 討 を 重 ね 、本 糖 鎖 が 前 立 腺 癌 の 去 勢 抵 抗 性 獲 得 過 程 に お い てどのような意義を持つのか詳細に検討する必要がある。
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