バイオマス対応型フォワーダの 有効性を検討する取り組み 上川南部森林管理署 金山森林官 山 本 森林技術指導官 国 沢 剛 修 1 1-1.南富良野町の 主な木質バイオマスへの取り組み 1-2.バイオマス検討チームの発足 2 1-1.南富良野町の主な木質バイオマスへの取り組み 公共施設等にバイオマスボイラーの導入 年間使用量:555t 用途は主に暖房、冬の稼働 ・南富良野中学校(145t/年) ・ホテルラーチ(95t/年) ・南富良野小学校(170t/年) ・金山地区複合施設(145t/年) 雪氷乾燥システムによる ピンチップ品質の向上 バイオマス対応型フォ ワーダの導入 3 1-2.バイオマス検討チームの発足 ◎活動目的 ・バイオ資源供給による地域貢献 ・林地残材の販売の可能性見極め ◎主な取り組み内容 ・林地残材に土などが混入しないよう、 冬期事業地での功程調査を検討 ・発表会にて、町有林調査結果や功程調査の 作業仕組みなどを報告 ・雪氷乾燥システムのフル活用に 向けた需要先確保を提案 ・バイオマス対応型フォワーダの功程調査、分析 (以下、「バイオフォワーダ」という。) 4 2-1.バイオフォワーダとは 2-2.従来型フォワーダ、 クローラダンプとの性能比較 2-3.荷箱の積載能力の比較 5 2-1.バイオフォワーダとは ダ ン プ機能 特徴は3つ ・グラップルを搭載。 ・荷台に拡幅・圧縮機能を装備。 ・ダンプ機能を装備。 林野庁の補助で開発 設計目標積載量:2t グラップル搭載 拡幅 (ヘッドが固定されず、 前処理不可欠) 圧縮 6 2-2.従来型フォワーダ、クローラダンプとの 性能比較(荷台容積) バイオフォワーダ 諸岡 MST-800VDL 3.8倍 収納時 5.16㎥ 開放時19.44㎥ 容量 2.2 倍 従来型フォワーダ イワフジ U-6B 8.98㎥ 容量 3.2 倍 クローラダンプ コマツ CD60R 6.02㎥ 7 2-3.荷箱の積載 能力の比較 作成:北海道立総合研究機構林業試験場 渡辺 一郎 氏 調査年・場所:H26年・南富良野町カラマツ町有林 ◎荷台全開が 収納より2倍 ◎積込みは グラップルローダが 搭載グラップルより 1.3~1.4倍 ※荷箱については、圧縮を行わずに積載 全開満載・グラッ プルローダの組合 せが一番良い 8 3-1.調査箇所の概要 3-2.調査項目・調査方法・試算 3-3.作業の仕組み 9 3-1.調査箇所の概要① 対象区域 植栽樹種 林 齢 区域面積 (小班) 伐採時期 伐採種 枝条の 搬出時期 凡例 62り林小 班の一部 トドマツ グイマツ 対象区域 椪 土場 作業道 58年 1.83ha (15.00ha) H26年度 (12~2月) 間伐 (列状) H27年度 7月下旬 100m 10 3-1.調査箇所の概要② プロセッサ作業により、 作業道脇に集積された 末木枝条 ※収集は、作業道上か ら届く範囲に限定 11 3-2.調査項目・調査方法・試算 ◎調査項目 ★バイオフォワーダの機能性(作業時間、積載重量) ★積込み・運搬・荷下ろしを1台で担うワンオペ作業の検証 ◎調査方法 ・機械毎に積込みや運搬などの作業時間を計測 ・トラック毎の運搬重量を計測 ◎試算 単位重量(ADT:風乾重)当たりの功程、経費を試算 ※ADT:風乾重とは、自然乾燥させた状態の重さ 12 3-3.作業の仕組み 前処理 積込み 運 搬 荷下ろし 巻立て 使用機械:4台 バイオフォワーダ クローラダンプ グラップルローダ(先山) グラップルローダ(土場) 13 作業1.前処理 グラップルローダ (先山) 14 作業2.積込み バイオフォワーダ 15 作業3.運搬 バイオフォワーダ クローラダンプ 16 作業4.荷下ろし バイオフォワーダ クローラダンプ 17 作業5.巻き立て グラップルローダ (土場) 18 参考.直積み バイオ フォワーダ 19 3-3.作業の仕組み 前処理 積込み 運 搬 荷下ろし 巻立て パターンA:バイオワンオペ型 パターンB:バイオツーオペ型 パターンC:クローラ型 パターンD:直積み型 直積み :バイオフォワーダ :クローラダンプ :グラップルローダ(先山) :グラップルローダ(土場) 20 4-1.フォワーダの性能 4-2.功程の比較① 4-3.功程の比較②・費用の比較 4-4.枝条等材積の推定 21 4-1.フォワーダの性能 パターン 運搬回数 総運搬重量 (ADT) 1回当たり (ADT/回) A:バイオ ワンオペ型 5 6.53 1.31 B:バイオ ツーオペ型 1 2.26 2.26 C:クローラ型 7 12.56 1.79 D:直積み型 1 1.57 1.57 合計 14 22.92 1.64 ・Bパターンの運搬重量が多い →圧縮機能が効果的に働いた ただし、同じバイオフォワーダのAパターンでは十分 に積込みが行えていない 22 4-2.功程の比較① パターン 総作業時間 総運搬重量 (ADT) 功程 (時間/ADT) A:バイオ ワンオペ型 3:59:54 6.53 0:36:44 B:バイオ ツーオペ型 1:32:57 2.26 0:41:08 C:クローラ型 8:58:02 12.56 0:42:50 D:直積み型 0:31:40 1.57 0:20:10 (2,204秒) (2,468秒) (2,571秒) (1,211秒) ・積み込み・運搬・荷下ろしをバイオフォワーダで 行ったAパターンが最も効率が良い →その要因は? 23 4-3.功程の比較②・費用の比較 合計 (秒 /ADT) 経費 (円 /ADT) 87 930 2,205 3,857 595 1,034 45 728 2,468 4,276 C:クローラ 型 195 479 1,053 85 759 2,571 3,986 D:直積み型 510 481 2,125 パターン 作業仕組み別の功程(秒/ADT) 前処理 A:バイオ ワンオペ型 B:バイオ ツーオペ型 積込 207 636 66 運搬 345 220 荷下 0 巻立 0 1,211 ・Aの運搬の功程が高い →B・Cは2オペ、Aは1オペ。待機時間がないため24 4-4.枝条等材積の推定 実測重量 22.92ADT 比重0.7換算 33㎥ 15% 相当 ha当たり 18㎥ 材積量 ha当たり 立木の資材量 214㎥ 117㎥ 丸太の資材量 111㎥ 61㎥ ※功程調査対象区域面積 1.83ha 25 4-5.コスト試算(パターンA 作業仕組み) 原料購入経費 1,000円/m3 → 1,430円/t (t換算比重0.7) プラス 集積・運搬経費 3,857円/t → 5,014円/t (間接費加算0.3) 6,444円/t 4,511円/m3 (絶乾比重0.7) 26 5-1.調査結果と分析のまとめ 5-2.仮想モデル 5-3.今後の課題 27 5-1.調査結果と分析のまとめ ◎フォワーダの性能について →運搬重量は、グラップルローダとバイオフォワーダの 組み合せが最大(パターンB) ◎功程・費用の比較について →積込みから荷下ろしまでバイオフォワーダのみで行うと 効率的かつ経済的(パターンA) 以上から、 ★バイオフォワーダの機能性(作業時間、積載重量) →搭載グラップルによる積載重量は少なかったが、 功程・費用面では優位 ★積込み・運搬・荷下ろしを1台で担うワンオペ作業の検証 →ワンオペの功程が高いことを立証 28 5-2.仮想モデル 前処理 積込み 運 搬 荷下ろし :バイオフォワーダ 条件:1台当たり2t×12サイクル 前処理は1時間早く、作業開始 パターン ワンオペ モデル :グラップルローダ 合計 (秒 /ADT) 経費 (円 /ADT) 73 376 1,450 2,553 作業仕組み別の功程(秒/ADT) 前処理 積込 174 536 運搬 291 巻立て 荷下 巻立 ・積載重量を引き上げ、フォワーダ運搬を優先稼働させると 功程・経費は大幅に向上する見込み 29 5-3.今後の課題 ★圧縮機能が十分発揮されるよう、搭載グラップルでの積込み 方法の改善が必要 ★グラップルが1台のみの作業仕組み及び機械運搬も含めたコ ストの比較が必要 ★伐採・搬出で使用するグラップルやフォワーダを活用した枝 条等の収集の功程調査が必要 30 31
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