世界電力小売りビジネス総覧 第 3 章 重要小売り企業戦略分析 3-2-8 SCE(Southern California Edison) ビジネスモデル セット販売、コネクテッドホーム 小売り戦略 大手セキュリティ会社と提携して、セキュリティのクラウドサービスのエネルギー関連サービスを追加すること で、顧客満足度を上げ、囲い込みを図る 顧客・実績 ―― 採用システム iControl Networks が提供する IoT プラットフォームを採用 拠点 米国本社: 2244 Walnut Grove Ave, Rosemead, CA 91770 セキュリティにエネルギー管理サービスを追加、コネクテッドホーム化を志向 米カリフォルニア州の大手ユーティリティー会社 Southern California Edison(SCE)は、大手セ キュリティ会社の ADT と提携して、 セキュリティとエネルギーをセット販売するサービスを 2012 年か らスタートしている。 e ADT は、顧客向けにクラウドベースのセキュリティサービス「ADT Pulse」を提供しているが、この ADT Pulse にエネルギー情報を追加する形になる。ブロードバンド経由で SCE から各顧客のエネルギ m pl ー消費に関する情報を取得し、ADT Pulse のモニターで電力消費量、使用状況の履歴、電力料金など の情報を提供する(図 1) 。 SCE の顧客はこうした電力関連の情報提供に加えて、ADT Pulse 本来のセキュリティシステム、サー モスタット・家電製品・照明・ドアなどの遠隔制御、ビデオモニター監視などのサービスを ADT と契 約して、選択したサービスに応じて月額 40~60 ドルのサービス料を払う。顧客は SCE に電気料金を払 っているが、現状ではエネルギーの見える化サービスに対しては無料としている。 SCE にとっては、電力小売市場の自由化が進む中で、競争が激化していることから、顧客満足度を 上げる一手段として位置づけている。ただし、トライアルの段階であり、SCE は今後消費者の行動や 嗜好を見ながら、サービスの充実を図っていく考えという。 Sa 同サービスのプラットフォームを開発、提供するのがベンチャー企業 iControl Networks である。 同社は、IoT(Internet of Things)を利用して、家庭内の機器をネットワークで結んでさまざまなサ ービスを提供するコネクテッドホームを実現する。同社はこれまで、ホームセキュリティやホームオ ートメーション、ケーブルテレビといった家庭向けサービスプロバイダー向けにソフトウエアプラッ トフォームを提供してきた。エネルギー分野にまでコネクテッドホームの概念を拡大しようとしてお り、SCE 以外のユーティリティー会社とも話を進めているという。 図 1 SCE 顧客向けの ADT Pulse モニター画面 左は全体画面で右下に SCE のエネルギー情報へのボタ ンがある。右は、エネルギー消費量を示す画面例(出所:SCE) 124 Copyright © 2015 Nikkei BP, Inc. All rights reserved
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