抗 HIV 候補薬 EFdA の効率的合成 Efficient Total Synthesis of the

第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨
抗 HIV 候補薬 EFdA の効率的合成
Efficient Total Synthesis of the Potent Anti-HIV Nucleoside EFdA
福山 圭 1, 大類 洋 2, 桑原 重文 1
(東北大院農 1、横浜薬大 2)
近年、4’-C-置換ヌクレオシド類の特異な生物活性に注目が集まっている。EFdA (1)
は大類らにより設計・合成された核酸系逆転写酵素阻害剤 (NRTI) であり抗 HIV 候補
薬として現在米国メルク社による臨床試験が行われている。1 の特徴として、①既存臨
床薬の数万倍から数百倍の増殖阻害活性 (EC50 50 pM)、②急性毒性を示さない (ICR
マウス 100 mg/kg p.o.)、③長い血中半減期 (t1/2 17.2 h)、④薬剤耐性を含む各種 HIV
に有効、など抗 HIV 候補薬として好ましい特性を多く備えている。一方で 1 の従来の
合成法は低収率、低選択性、高価な原料など問題点が多く、真に実用的な供給法が望
まれている。我々はフラノース誘導体の新規 C4 位増炭法を見出すとともに、ワンポ
ット反応の活用及び精製回数の削減により EFdA (1)の効率的新規合成経路を開発した。
安価な原料である diacetone-D-glucose (2)を新規フラノース 4 位増炭法を経てジオ
ール 3 へ導いた (100 g スケール、3 工程、97%)。3 をベンジル保護し、末端アセトナ
イド部位をアルデヒドへとワンポット変換した後、Corey−Fuchs 法により保護アルキ
ン 4 とした (4 工程、88%)。得られた 4 をジアセテートへと導き、Vorbrüggen 変法
による N-グルコシル化を用いることで-ヌクレオシド体を定量的に得ることに成功
した。2’ 位を脱保護 (75%)し、ワンポットでの Barton−McCombie 脱酸素化反応に
よりデオキシ化した (2 工程、98%)。最後に脱保護 (2 工程、61%) により、14 工程、
通算収率 37%で EFdA (1)を得た。本経路は安価な原料の使用、3 回のワンポット反応、
わずか 4 回のカラム精製、完全な立体選択性を特徴としており大量合成にも対応可能
である。
O
O
1) nor-AZADO (cat.)
aq. NaClO
HO
O
O
2) (CH2O)n, K2CO3
OH
O
O
then H2O, NaBH4
97% (3 steps)
O
2
100g スケール、カラム精製不要
O
O
OHO
3
1) NaH, BnBr
2) I2, NaIO4, aq. MeCN
3) CBr4, PPh3
4) BuLi then TESCl
88% (4 steps)
BnO
O
O
BnO O
4
TES
NH2
N
1) AcOH, H2O
2) Ac2O, Py.
BnO
3) TMSOTf
DBU, 2-F-A
4) MeOH, Et3N TES
75% (4 steps)
O
N
BnO OH
NH2
N
N
N
F
1) 1,1'-(thiocarbonyl)diimidazole
then AIBN, Bu3SnH, 98%
2) TBAF
3) Na, liq. NH3, 61% (2 steps)
5
<参考文献>
1)K. Fukuyama, H. Ohrui, S. Kuwahara, Org. Lett., 2015, 17, 828.
発表者紹介
氏名
福山
圭
所属
東北大学大学院農学研究科
学年
D3
研究室
生物有機化学分野
HO
O
N
HO
EFdA (1)
N
N
F