不等式・連立不等式 1. 不等式の基本事項 (a)不等式…式や数の大小関係を不等号(>,<,≧,≦)を使って表した式。 (b)不等号…右辺と左辺の大小関係を表す記号。 (例) A > B … 「A が B より大きい」ことを表す。 A ≦ B … 「A が B より小さい」または「A と B が等しい」ことを表す。 2. 不等式の解き方 (a)不等式の性質 POINT 1:不等式の性質 1 不等式の両辺に同じ数を加えても,不等号の向きは変わらない。 2 不等式の両辺から同じ数を引いても,不等号の向きは変わらない。 3 不等式の両辺に同じ 正の数 をかけても,両辺を同じ 正の数 で割っても,不等号の向 きは変わらない。 4 不等式の両辺に同じ 負の数 をかけたり,両辺を同じ 負の数 で割ったりすると, 不等号の向きが変わる。 (注)式の形で表すと以下のようになる。 A > B のとき 1 A+C>B+C 2 A−C>B−C A B C>C A B 4 C < 0 ならば,AC < BC, C < C (不等号の向きが変わる。) 3 C > 0 ならば,AC > BC, POINT 2:不等式と方程式 不等式と方程式は,どちらも2つの式や数の(大小)関係を表した式であるから,その 性質や解き方は類似している。不等式を解くときには,「一次方程式」で学習した, 「移項 の考え方」も用いる。 (注)ただし,両辺に同じ負の数をかけたり,両辺を同じ負の数で割ったりすると,不等 4) 号の向きが変わるので,注意が必要である。(不等式の性質 1 (b)不等式の解き方 ※ 不等式の解き方 1 「不等式の性質 1 , 2 」や「移項の考え方」を用いて,変数を含む項を左辺に,含ま ない項を右辺に。 2 両辺を計算して,整理し,ax > b,ax ≦ b などの形にする。 3 変数の係数 a の正,負をよく考えて,変数の係数 a が 1 になるような数で両辺を割 る。(両辺に a の逆数をかける) 3 で,変数の係数 a が負の数であるとき(a < 0 のとき) ,不等号の向きが変わる (注) 4) ことに注意。(不等式の性質 (例1) 2x + 3 < 7 変数 (x) を含む項を左辺に,含まない項を右辺に移項 (または,不等式の性質を用いる) 2x < 7 − 3 両辺を計算して… 2x < 4 両辺を2で割る(両辺に x< 2 1 をかける) 2 (例2) 1 − 2x > x + 10 : 変数 (x) を含む項を左辺に,含まない項を右辺に移項 (または,不等式の性質を用いる) −2x−x > 10−1 :: 両辺を計算して… −3x > 9 両辺を −3 で割る(両辺に− 1 をかける) 3 x < −3 (注)(例2)では,最後に両辺を −3(負の数)で割っているので,このとき,不等号の向きが変わ 4) る。(不等式の性質 2 3. 連立不等式 (a)連立不等式 いくつかの不等式を組み合わせたものを,「連立不等式」という。 また,連立不等式において,それぞれの不等式の解が重なり合う範囲を示すものを,「連立不等式の 解」という。 (b)連立不等式の解と数直線 連立不等式の解は,それぞれの不等式の解を,以下の例のように,数直線上に示してみるとわかりや すい。 (例)それぞれの不等式の解が x > −1,x < 2 であるとき 2つの解が重なり合う範囲は −1 < x < 2 よって,(答)−1 < x < 2 POINT:連立不等式の解のいろいろな場合 ※二つの不等式の解が重なり合う範囲には,次の4つの場合がある。 a 1 x>a x>b 3 x<a x<b 4 x<a x>b (注) x>a x<b 2 < b のとき x≧a x≦a (答) a < x < b (答) x > b (答) x < a (答) 解なし (答) x = a 3 (c)連立不等式の解き方 ※ 連立不等式の解き方 1 それぞれの不等式を解く。 2 求めたそれぞれの不等式の解を数直線上に図示する。 3 それぞれの不等式の解が重なり合う範囲を見つけ, 「連立不等式の解」とする。 (例) 1 2x + 5 ≧ 1 … 2 4x + 12 < 16 … 1 の不等式を解く まず, 2x + 5 ≧ 1 2x ≧ −4 3 x ≧ −2 … 2 の不等式を解く 次に, 4x + 12 < 16 4x < 4 4 x < 1 … 3 4 ここで, , を数直線上に図示すると, よって, (答) −2 ≦ x ≦ 1 4
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