Retention Indexについて Retention index(リテンションインデックス RIともいう)は、化合物の同定などに使われる指標です。 一般的に使用されている保持時間(RT)は分析開始からの絶対時間(単位は分など)ですが、 RI値は直鎖炭化水素(n-Alkane)に対する相対的な保持指標(無単位)です。RI値は、カラムの長さ、流量、分析室 が変わっても同一の化合物であればほぼ同じ値となることからRI値をデータベース化しておくことで、化合物の推定に 使用することができます。 昇温分析の場合、n-Alkaneはほぼ等間隔で溶出します(図1)。また、各n-AlkaneのRI値はそれぞれの 炭化水素数に100を乗じた値となります。保持時間とRI値の関係は(図2)の通りとなります。 ※恒温分析の場合には、保持時間とRI値の関係式は変わりますのでご注意下さい。 たとえば、11.299分に未知化合物が溶出した場合に、この化合物のRI値は図2から求めることが出来ます。 未知化合物の保持時間:11.299min. 直前に溶出する炭化水素(C11)の保持時間:10.872min. 直後に溶出する炭化水素(C12)の保持時間:12.810min. 直前に溶出する炭化水素(C11)の炭素数:11 計算式:100x((11.299-10.872)/(12.810-10.872)+11)=1122 もちろん、カラムの長さやガスクロマトグラフ装置が変われば、保持時間は変わりますので、図1の様なn-Alkaneを 測定して保持時間との関係を求めることは、装置毎、カラム毎、あるいはカラム交換のたびに行う必要があります。 ただし、カラムの極性(カラム種類)が変わるとRI値は異なりますので、化合物の種類とカラム種類でRI値が固有です。 また、相比(カラム内径と膜圧の比)が大きく変わる場合にもRI値が変わります。 【試薬について】 市販されている、n-Alkaneの混合溶液を使用するとリテンションインデックスと保持時間の関係を求めるのが簡単です。 型名:99056072 n-アルカン混合標準溶液 林純薬工業 in hexane 200μg/ml each of C15,C30-C33, 100μg/ml each of C7-C14,C16-C29 C15が倍量入っていますので、クロマトグラム上でC15を見つけて前・後ろに数えれば間違えません。 ただし、目的化合物の溶出位置によって、必要なn-Alkaneの炭素数は変わってきますので、単品から 調整したほうが良い場合もあります。 n-Alkaneを昇温条件で分析したクロマトグラムのイメージ図 C10H22 RT 8.802min. C11H24 10.872min. C12H26 12.810min. C13H28 14.2627min. C14H30 16.335min. C15H32 17.945min. 強度 図1 未知化合物 11.299min. 保持時間:分 n-AlkaneのRI値と保持時間の関係図 リテンションタイムとリテンションインデックスの関係図 17.000 n-C14H30 16.000 15.000 n-Alkaneの保持時間 (分) 図2 n-C13H28 14.000 13.000 n-C12H26 12.000 11.000 n-C11H24 10.000 9.000 n-C10H22 8.000 1000 1100 1200 1300 1400 リテンション インデックス (各炭化水素数に100を乗じた値)
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