2015 年 7 月 30 日 報道関係者各位 日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社 TCS グローバルトレンド調査 大手企業約 800 社の 8 割超が IoT で増収 IoT 投資による企業の平均増収率は グローバルで 15.6%。 60%強の増収を達成する企業も 日本企業の IoT 投資による平均増収率は 14.6%で、アジア太平洋地域内でトップ 企業は IoT への投資に積極的 - 7%の企業は、2015 年だけで 5 億米ドルもの投資を実施する予定 ウエアラブル端末の活用は、北米および欧州の約 10%に対し日本企業は 24.4%と先行 2015年7月30日、東京発-タタコンサルタンシーサービシズ(本社:インド・ムンバイ、以下「TCS」)は、幅広い業界に おけるIoT(Internet of Things)テクノロジーの影響を、大規模かつグローバルに調査した研究結果を発表しました。 TCSによるIoTグローバルトレンド調査では、795 社におよぶ大手多国籍企業の経営者層を対象に調査を実施し、IoT が収益向上を実現する大きな可能性を秘めていることを明らかにしました。その一方で、この新たなモデルへの移行 を試みる企業が、どのような課題に直面するかにも浮き彫りにしました。 増収への大きなチャンスをもたらす IoT IoT に投資している企業は、IoT イニシアティブが奏功し、2014 年の平均増収率が 15.6%と総じて収益を大きく伸ばし ています。また、概ね 10 社に 1 社(9%)が 30%以上の増収を達成しています。 調査対象の 795 社のうち、12%の企業が 2015 年に 1 億米ドル以上、3%が 10 億米ドル以上の投資を計画しており、 企業経営者が依然 IoT をビジネス成長分野とみなしていることが分かります。また今回の調査は、企業が IoT にかけ る予算額が年々増え続けると予測し、その投資額は 2018 年までに 20%増の 1 億 300 万米ドルに達するとの見通し も示しています。 IoT革命を最前線で率いてきた企業は、自らの投資の恩恵を最も享受しています。IoTに対する投資利益率(ROI)に おいて上位8%の企業は、2014年の平均増収率が64%という驚くべき成果を上げ、投資がそのまま結実したと言え ます。また、IoTの現時点での最大のビジネスインパクトである、企業が顧客の要望により添った製品やサービスを 提供するマーケティング機能は、この機能が生み出す顧客に対する付加価値が2020年までにさらに高まり、売上の 増加をもたらすことが見込まれています。 この予測は、IoTテクノロジーの利用例の中で最も多かったものが「モバイルアプリでの顧客追跡」という調査結果に も表れています。ほぼ半数の企業(47%)が、モバイルアプリで顧客を追跡し、さらに、IoT最先端企業の半数以上 (50.8%)が、自社製品の実績を追跡するためにIoTへ投資したと回答しています。一方、IoTに対するROIが最も低 かった企業で製品の追跡を実践しているのは16.1%にとどまりました。 1 日本企業の動向 2014年は、世界中の各地域で2桁台の増収率を記録し、中でも北米企業は、前年比18.8%と最大の伸びを達成しま した。日本企業の増収率は14.6%で、インドの13.9%とオーストラリアの13.7%を上回り、アジア太平洋地域内の対 象国の中ではトップでした。日本企業の2015年のIoTへの平均投資額は7,090万米ドル(収益の0.39%)です。(【参 考資料:Japanレポート】内15ページ Exhibit10参照) 日本におけるIoT投資の特徴は、製品モニタリングへの注力 が高く、製品開発やサービスの拡大を志向したIoT活用が顕著で、この傾向は今後も続くもようです。(【参考資料: Japanレポート】内16~17ページ Exhibit 11・12参照) また、ブレスレットなどウエアラブル端末を介した顧客データの追跡において、日本企業は24.4%活用しており、これ はグローバルと比べて(北米は約10%)突出した数字です。一方、モバイルアプリを通じた消費者動向の追跡率は、 北米企業の約1/2(50.9%)に対し、日本企業は約1/3(34.1%)です。 欧米諸国企業が新規事業と収益機会の特定をIoT活用における成功の鍵に挙げる中で日本企業は、企業内のカル チャーや組織的な転換が肝要であると回答しています。この課題が解決すれば、日本企業のIoTによる増収がさら に拡大することが期待されます。 TCS の代表取締役社長兼 CEO の N.チャンドラセカランは今回の調査について、次のようなコメントを寄せています。 「本格的な IoT の時代が到来しました。問題は、企業がこのテクノロジーの可能性を最大限に活用する準備を、整えて いるかどうかという点です。我々の最新のグローバル調査の結果が明らかにしたのは、IoT テクノロジーを活用する最 先端企業の経営者たちがビジネスモデルや製品から業務プロセスや職務環境まですべての側面において転換を図り、 事業を完全に再構築するためにその技術を活用していることです。IoT テクノロジーは、業種・業界に関わらず、スマ ートコネクテッド製品としての『モノ』の可能性を再創造すべきときがきたと思われます」 投資の最大の阻害要因は「企業文化」 今回の調査は、IoTへの投資、そしてそれが増収に与える影響について、前向きなデータを示しています。しかし、各 業界のすべての企業にIoTの将来性を確信させるには、まだ大きな課題が残っています。報告書では、投資の阻害 要因を3つ定義しています。 1) 2) 3) 企業文化:企業側は、自社の顧客・製品・プロセスに対する従業員の考え方を変えることが大きな試練と推測 リーダーシップ:企業幹部がIoTの必要性を理解し、時間と資源を投資していくことが重要 テクノロジー:テクノロジーは今なお大きな懸念材料。たとえばビッグデータや、社内開発と社外開発の対立、 IoTデータの企業システムへの統合、セキュリティと信頼性の確保など IoTの成功率が顕著に高い製造業界、遅れを取る医療業界 医療業界は、IoTの恩恵を最も受けやすい分野として期待されていますが、他業界に比べて開発が遅れています。 当局による規制とデータセキュリティに関する懸念が、変革の阻害要因となっています。医療業界の2015年の投資 予定額は、収益のわずか0.3%に過ぎませんが、2018年までにはそれよりも30%超まで引き上げられる見込みです。 そしてIoTが推進力となり、2020年までには1170億米ドル市場に成長すると予想されています*。 これとは対照的に、製造業界の経営幹部からの報告によると、同業界のIoTによる平均増収率は28.5%に達したこ とが分かっています。これは、金融(17.7%)、メディア/エンターテインメント(17.4%)を凌ぐ最大の値です。一方、自 動車業界の増収率は、全業界の中で最も低い9.9%に留まりました。 今回の調査では、13 種類の主要産業の動向を注目した結果、IoT のインフラとモニタリングに対して多大な投資を行 なったのは、製造業だけではないことが明らかになりました。今年度は、旅行・運輸・ホテル業界は収益の 0.6%、メデ ィア/エンターテインメント業界は 0.57%を IoT に費やす計画です。これは、全体平均値である 0.4%、および銀行・金 融業界の 0.44%を大幅に上回る数字です。 2 調査結果の更なる詳細は、以下サイト(英語) をご覧ください。 www.TCS.com/InternetofThings また、本レポートを直接閲覧されたい場合は、以下リンク先をご覧ください。 http://www.tcs.com/SiteCollectionDocuments/White%20Papers/Internet-of-Things-The-Complete-Reimaginative-Force.pdf タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)について タタコンサルタンシーサービシズは、世界の企業を顧客として他の企業では匹敵することのできない確実さをもって真 の結果を提供する、IT サービス、コンサルティング、およびビジネスソリューション企業です。TCS はコンサルティング を基盤とし、IT、BPS、インフラストラクチャ、エンジニアリング、およびアシュアランスサービスを総合的に提供していま す。これらは卓越したソフトウェア開発の基準として認識されている、TCS 独自のグローバル・ネットワーク・デリバリ ー・モデル(Global Network Delivery Model™)を通じ、提供されています。TCS はインド最大の工業コングロマリット (複合企業体)であるタタグループに属し、324,000 人を超える最高のトレーニングを受けた人材を世界 46 カ国に展 開しています。2015 年 3 月 31 日を末日とする会計年度の売上高は 155 億米ドルに達し、インドの国立証券取引所 とボンベイ証券取引所にも上場しています。TCS の詳細については www.tcs.com をご覧ください。 3 【参考資料】 日本企業における IoT イニシアティブの進展 今回 TCS が実施した IoT に関するグローバルトレンド調査では、全対象企業 795 社のうち 41 社の日本企業が含ま れています。その収益平均は 184 億米ドルで、業界内訳は、IT 系(ソフトウェア、ハードウェア)10 社、製造業 8 社、 小売業 7 社、エネルギー、通信、自動車がそれぞれ 3 社、メディア・エンターテインメントおよび旅行・運輸・ホテルが それぞれ 2 社、消費財(CPG)と医療・ライフサイエンスおよび保険がそれぞれ 1 社となっています。この調査結果が 示す日本企業のおける IoT イニシアティブの傾向は次の通りです。 日本企業の 2015 年の IoT への平均投資額は 7,090 万米ドル(収益の 0.39%)。これは、グローバルの平均 8,600 万米ドルには及ばないながらも、アジア太平洋地域の平均 6,310 万米ドルを上回っています。中央値は 640 万米ドルです。 (図1)2015 年 国別 IoT 投資 2015年のIoTへの投資額 12 160 10.0 140 10 100万米ドル 120 100 138.0 8.4 6.1 80 6.4 86.2 6 80.6 80.9 5.1 60 40 79.0 70.9 4.2 1.6 4 2.1 20 24.6 23.3 2 0 Mean 平均 1.6 1.8 0.6 0 8 106.7 Median 中央値 今後 3 年間で、アジア太平洋地域の中では、インドが約 2 倍の投資額(平均 4,670 万ドル)を見込んでいるが、 オーストラリア(平均 6,910 万米ドル)と日本(6,560 万米ドル)は減少する見通し。 日本企業の IoT 導入による収益増加率(2013 年と 2014 年の比較)は 14.6%。また、4 割超の日本企業が 1~ 10%の収益増加を報告(北米と同等レベル)。また、27.5%が 21%以上の収益増加を報告しており、これは北米 の 19.9%と比較しても多い割合です。 4 IoT 活用方法を、製品モニタリング、ユーザー体験モニタリング、顧客モニタリング、サプライチェーンモニタリング の 4 つのカテゴリーに分けて、現在の投資と 2020 年に向けた予測を質問したところ、日本企業は現在も 2020 年も製品モニタリングへの注力度が突出しています。 (図 2)2015 年 国別 IoT 投資の内訳 地域別 27.4% 32.0% 29.9% 32.3% 製品モニタリング 28.6% 25.5% 26.3% 26.9% 顧客モニタリング 24.1% 22.3% 24.9% 22.3% サプライチェーン モニタリング 20.0% 20.3% 18.8% 18.6% ユーザー体験 モニタリング 0% 中南米 Latin America 10% アジア AsiaPacific 太平洋 20% Europe 欧州 30% 40% North 北米 America 日本 製品モニタリング 36.3% ユーザー体験 モニタリング 21.6% 21.6% 顧客モニタリング サプライチェーン モニタリング 20.5% 0% 10% 20% 30% 40% 5 (図 3)2020 年 国別 IoT 投資の内訳(見通し) 地域別 26.8% 製品モニタリング 31.8% 30.2% 30.9% 27.5% 27.0% 28.3% 29.3% 顧客モニタリング 23.8% 21.8% 23.3% 21.1% サプライチェーン モニタリング 21.9% 19.3% 18.2% 18.8% ユーザー体験 モニタリング 0% 10% アジア Latin America 中南米 AsiaPacific 太平洋 20% 欧州 Europe 30% 40% 北米 America North 日本 35.7% 製品モニタリング 顧客モニタリング 22.4% サプライチェーン モニタリング 21.0% ユーザー体験 モニタリング 20.9% 0% 10% 20% 30% 40% 6 27%の日本企業が顧客データのマネタイゼーションを志向してビジネスモデルを急拡大しています。25%の日本 企業が、「プロダクト・アズ・サービス」を志向し製品リーシングを拡大。これは、欧米に比べても高い数字です。 (図 4)IoT によるビジネスモデルの変化(日本) IoTによるビジネスモデルの変化(日本) サービス事業の拡大 52.5% 顧客データを使用しての 収益向上 27.5% 製品のリース化 25.0% 流通を回避し 直接顧客へ供給 変化なし 22.5% 5.0% 2.5% その他 0% 20% 40% 60% ### 7
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