「奇跡のレッスン」~考える力を身につけさせる方法

こ遅
延
「奇跡のレッスン」~考える力を身につけさせる方法
NHKでこの秋に放映された、
「奇跡のレッスン」という番組を観られた方もおられると思います。フ
ットサル日本代表のスペイン人監督ミゲル・ロドリゴ氏が、1 週間に渡って東京のごく普通の少年サッカ
ーチームを指導したドキュメンタリー番組です。
初日、ミゲル氏は通常行われている練習を見学することから始めました。そしてミゲル氏はわずかの
練習時間の中で、このチームの課題をあっという間に把握してしまったのです。最初にミゲル氏が気づ
いたことは、子どもたちが「コーチから練習をさせられている」という事でした。パターン化された練
習をひたすら黙々と反復練習する様子を見て、
「子どもたちは何も考えようとしていない」ことを指摘し
ました。次はメンタル面での指摘でした。子どもたちの失敗を恐れるあまり、自信のないプレーに終始
している姿は、ことさらミゲル氏の印象に残りました。3つ目はコーチの発する言葉です。子どものミ
スを修正しようとするコーチの言葉と子どもたちの「メンタル」との関連性でした。
近年、日本の教育は、知識より思考力・表現力の育成に比重を置くことを優先しようとしています。
しかし、実際には、相変わらず、子どもたちに考える場を与えることより、ドリル的な反復学習や決め
られた事を忠実にやり切ることをどうしても求めてしまう傾向があります。ミゲル氏が指摘した、子ど
もたちが考えようとしない状況は、大人のどんな指導に課題があるのでしょうか。ミゲル氏は、一番の
課題は、大人が子どもにリスクを背負わせない指導であると言います。サッカーで言うと、失点を恐れ
るあまりに、子どもにより安全なプレーを求め、リスキーなプレーには「何してるんだ!」と声が飛び
ます。すると子どもは、コーチの言われたようにひたすら安全なプレーに徹しようとします。私たち大
人でも、失敗や危険を避けて、あるパターン通りにすることで安心感を持ちます。しかしこれでは、
「言
われたことをきちんとする力」は身に付いても、考えようとする態度はなかなか育ちません。実際に私
たちは、予測していない事態になると、これまでのパターン化された対処方法では対応出来ず、違う方
法を考えようとします。ここで思考力が育てられるのだとミゲル氏は語っています。
私たち大人は、事細かに子どもたちに指示することにすっかり慣れてしまっています。同時に、子ど
もたちは、大人からの指示を待っています。こういう状況の中で、子どもたちに考える力を身につけさ
せることはとても難しいことです。そのためにも、私たち大人は、子どもたちが日頃から何事にも果敢
に失敗を恐れることなく、チャレンジする姿勢を支持することが大切だと考えます。来日して5年、
「日
本の子どもたちはとても失敗を恐れる」これがミゲル氏の日本の子どもたちに対する印象です。幼少期
の子どもには特に「自信」を持たせたいですね。常に子どもたちの目線で、優しく、そして情熱的に見
守ることをミゲル氏が指導者や保護者に強く訴えている姿が印象的でした。
校長
五十嵐 信博