管理組合理事長夫人もまんざらではない役得冥利とは 山本義行 私の夫はあるしがない管理組合の理事長で~す。色々と指令は出すの だけれど自分では何もしないので~す。だけど何故か管理の名人、、、。 具体的に動くのは全~部、理事長夫人の私。なかなかすんなりとは動いて くれない業者や無関心が多い組合員や入居者そして他の役員とやりとり するのは全部私の仕事なので~す。 夫は名人なので辞めたくてもなかなか辞められず、つい私の仕事も年季 が入ってきています。気苦労が多く嫌になってしまう反面、たまにとても うれしい役得があります。そのひとつ、それは一人暮らしの若者が多いこ の時代、縁結びの神を演じることができたことなのです。 新郎は水道関連の工事やメンテナンスでマンションに出入りしており ました。私はその誠実な仕事ぶりをみてすっかり惚れ込みました。実は、 私、自慢じゃございませんが他人の身の上話しを聞き出すのが誰よりも手 早いという奇癖の持ち主。じきに、ご本人が40歳を過ぎているのにまだ 独身だと分かりこれはなんとかしてあげなくてはという気になったので す。 一方の新婦さんはというと、実はマンションが建ってからつい最近まで の20年間ほど私どものマンションにお住まいでした。息子が小学生の頃、 確か新婦さんがまだ高校生だったかと思います。新婦さんのお母様には息 子が大変かわいがっていただきました。新婦さんは一人っ子ですのに、不 幸にも最近の何年かのうちに、お父さん、お母さんと相次いで亡くされま した。おひとりで寂しくなっておりましたので、私も何かと気になってお りました。でも、結婚相手をと写真を見せても、しばらくは「おじん」く さい人はだめと取り合って貰えなかったのです。そのうち月日もはや数年 たって、この「おじん」の写真もしびれをきらして、他の人にふろうと思 っているところに、新婦さんがひょっこり現れてくれました。念のためも う一度確認してみますと、何と今度はどういうわけかお会いしてもいいと の返事。このおじんこそ、先の新郎くんだったのです。 こうして、二人は意気投合、めでたくゴールインという次第でございま した。ついでといってはなんですが、少子化を少しでも食止めることがで きるとよろしいのですけれど、、、。
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