数学科教育論1/10年度前期 講議概要 担当:澤田 1. カリキュラムの変遷と社会的背景 2. 現行の数学科カリキュラム 3. 新しい数学科カリキュラムの科目構成と指導内 容の吟味 4. 指導法の研究(Ⅰ)オープンエンドな問題 5. 指導法の研究(Ⅱ)問題作りの授業 6. 数学科での評価 7. まとめ (注)成績評価:試験(テスト)、レポート、出席点 参考文献 「数学科カリキュラムの変遷」 講義ノート (2008年) 「数学科教育」(中学・高校) 学文社 中学校学習指導要領解説ー数学編ー (平成20年9月) 文部科学省 教育出版 高等学校学習指導要領解説ー数学編 理数編ー(平成21年12月) 文部科学省 実教出版 問題づくりの授業 東洋館出版 数学科での評価 共立出版 算数・数学科のオープンエンドアプローチ 東洋館出版 戦後学習指導要領の変遷 ー中学校ー 昭和22(1947)年3月 昭和22(1947)年5月 昭和26(1951)年11月 (以上の改訂) 学習指導要領(一般編) 算数数学科編(試案) 中学高校数学科編(試案) 「生活単元学習」の時代 「系統学習」の時代 「現代化」の時代 「ゆとりと充実」の時代 「個性化・多様化」の時代 「生きる力」の時代 昭和52(1977)年7月 平成01(1989)年3月 平成10(1998)年12月 「活用力」の時代 平成20(2006)年3月」 昭和33(1958)年10月 昭和44(1969)年4月 戦後学習指導要領の変遷 ー高等学校ー 学習指導要領(一般編) 算数数学科編(試案) 中学・高校数学科編(試案) 高校数学科編 「生活単元学習」の時代 (以降,告示) 「系統学習」の時代 「現代化」の時代 「ゆとりと充実」の時代 「個性化・多様化」の時代 「生きる力」の時代 「活用力」の時代 昭和22(1947)年3月 昭和22(1947)年5月 昭和26(1951)年11月 昭和30(1955)年12月 (以上の改訂,試案) 昭和33(1958)年3月 昭和45(1970)年10月 昭和53(1978)年8月 平成01(1989)年3月 平成11(1999)年3月 平成21(2009)年3月 学習指導要領の変遷/実施年度 回 カリキュラム改訂 中 学 高 校 1 生活単元学習 1947(昭22)年度〜 1951(昭26)年度〜 1947(昭22)年度〜 1951(昭26)年度〜 2 系統化学習 1962(昭37)年度〜 1962(昭37)年度〜 3 現代化学習 1972(昭47)年度〜 1972(昭47)年度〜 4 ゆとりと充実 1981(昭56)年度〜 1981(昭56)年度〜 5 個性化・多様化 1993(平5)年度〜 1993(平5)年度〜 6 生きる力 2002(平14)年度〜 2002(平14)年度〜 7 活性化 2011(平23)年度〜 2012(平24)年度〜 学習指導要領とは The Course of Study 教育課程編成上の全国的な基準として公示されるもの:学習指導要領の法 的拘束性と基準性を伴う 内容構成: 第1章 総則(教育課程編成の一般方針,各教科・科目及び単位数等,各教 科・科目の履修等,総合的な学習の時間,各教科・科目,特別活動及び総 合的な学習の時間の授業時数等,教育課程の編成・実施に当って配慮す べき事項,単位の修得及び卒業の認定,通信制の課程における教育課程 の特例) 第2章 普通教育に関する各教科(各教科の目標,各科目の目標,内容,内 容の取扱い,各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い) 第3章 専門教育に関する各教科(農業,工業,商業,水産,家庭,看護,情 報,福祉,理数,体育,音楽,美術,英語等についての目標,内容など) 第4章 特別活動(目標,内容,指導計画の作成と内容の取扱い)」 現行の学習指導要領改訂の基本なねらい 「生きる力」を育成 1 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育 成。 2 自ら学び,自ら考える力を育成。 課題研究や主題学習等を通じた体験的,問題解決的な学習の充実。 3 基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実。 4 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,「総合的な学習の時間」 を創設。」 中学校数学科の目標の変化 「自ら学び自ら考える力」を育成、 「数学的活動」の充実を図る。 現行の目標(1999年改訂)2002年度〜 数量、図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め、数学的 な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察する能力を高めるとと もに、数学的な活動の楽しさ、数学的な見方や考え方のよさを知り、それら を進んで活用する態度を育てる。(2002年度から実施) 前回の目標(1989年改訂)1993年度〜2001年度 数量、図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め、数学的 な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察する能力を高めるとと もに数学的な見方や考え方のよさを知り、それらを進んで活用する態度を 育てる。(1993年度から実施) 」 高校数学科の目標の変化 前々回の目標(1978年改訂)1982年度〜1992年度 数学における基礎的概念や原理・法則の理解を深め,体系的に組み立てて いく数学の考えを通して,事象を数学的に考察し処理する能力を高めるとと もに,それを活用する態度を育てる。 (1982年度から実施) 前回の目標(1989年改訂)1993年度〜2002年度 数学における基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,事象を数学的に考 察し処理する能力を高めるとともに数学的な見方や考え方のよさを認識し, それらを積極的に活用する態度を育てる。 (1993年度から実施) 現行の目標(1999年改訂)2003年度〜 数学における基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,事象を数学的に考 察し処理する能力を高め,数学的活動を通して創造性の基礎を培うとともに, 数学的な見方や考え方のよさを認識し,それらを積極的に活用する態度を 育てる。 (2003年度から実施)」 新しい数学科の目標 中学校 「数学的活動を通して,数量、図形などに関する基礎的な概念や原 理・法則についての理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習 得し,事象を数理的に考察し表現する能力を高めるとともに,数学 的な活動の楽しさやよさを実感し、それらを活用して考えたり判断し たりしようとする態度を育てる。」(2011年度から実施) 高等学校 「数学的活動を通して,数学における基本的な概念や原理・法則の 体系的な理解を深め,事象を数 学的に考察し表現する能力を高め ,創造性の基礎を培うとともに,数学のよさを認識し,それらを 積極 的に活用して数学的論拠に基づいて判断する態度を育てる。」(2012 年度から実施) 数学科の各科目構成:現行 数学基礎(2):数学と人間の活動,社会生活に置ける数理的な考 察,身近な統計 数学 I(3):方程式と不等式,二次関数,図形と計量 数学 II(4):式と証明,図形と方程式,いろいろな関数,微分・積分 の考え 数学 III(3):極限,微分法,積分法 数学 A(2):平面図形,集合と論理,場合の数と確率 数学 B(2):数列,ベクトル,統計とコンピュータ,数値計算とコン ピュータ 数学 C(2):行列とその応用,式と曲線,確率分布,統計処理 数学のうち,「数学基礎」または「数学 I」のうちから1科目必修」 高校進学率の変化と カリキュラム改革 1945年 第2次大戦終結 1947年 学校教育法公布,6-3-3-4制 1948年 新制高校発足 高校,大学進学率の推移: 1950年(42.5%,30.3%),1955年(51.5%,21.5%), 1960年(58.7%,17.2%),1965年(70.7%,25.4%), 1970年(82.1%,24.2%),1975年(91.9%,34.2%), 1980年(94.2%,31.9%),1985年(93.8%,30.5%), 1990年(94.4%,30.5%),1995年(95.8%,37.5%), 2000年(95.9%,45.1%),2005年(96.5%,47.2%), 進学率の推移 進学率(%) 100 90 80 70 60 高校 大学・短大 大学院 50 40 30 20 10 0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 進学率の推移 êiäwó¶ÅiÅìÅj çÇçZ ëÂäw 100 90 80 70 60 êiäwó¶ 50 40 30 20 10 0 1950îN 1955îN 1960îN 1965îN 1970îN 1975îN 1980îN îNìx 1985îN 1990îN 1995îN 2000îN 2005îN カリキュラム改革の変遷(戦後) 高等学校: 1951(昭和26)年〜「生活単元」 1956(昭和31)年〜 1958(昭和33)年〜「系統化」 1963(昭和38)年〜 1973(昭和48)年〜「現代化」 1982(昭和57)年〜「ゆとりと充実」 1994(平成 6)年〜「個性化,多様化」 2003(平成15)年〜「生きる力」 2009(平成21)年改訂 2012年〜」 新しい高校数学 目標:数学学習の意義や有用性を一 層重視する。 数学学習の系統性と生徒 選択の多様性、生徒の学習意欲や数学的な思考力・表 現力を高める。 科目構成は、「数学Ⅰ」、「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」、「数学A」、「数学B」及 び「数学活用」とする。 「数学Ⅰ」:数と集合、図形と計量、二次関数などの内容 「数学Ⅱ」:いろいろな式(式と証明・高次方程式 など)、図形と方程式、三 角関数などの内容 「数学Ⅲ」:極限、微分法、積分法などの内容 「数学A」及び「数学B」:確率、数列、ベクトルなどの内容 「数学活用」:「数学基礎」の趣旨を生かし、その内容を更に発展させた科目 、数学と人間とのかかわりや、社会生活において数学が果たしている役割につ い て理解 次回(第2回) 戦前(1945年以前)の数学教育 戦後(1950年代)の数学教育
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