屈折異常による弱視があると考えられる場合の乳幼児における眼鏡処方例

屈折異常による弱視があると考えられる場合の乳幼児における眼鏡処方例 参考)新しい眼科 Vol.5 №7 湖崎 克・視能矯正マニュアル P212
あくまでも例であり、これがベストではないよ。
主にORTが検査することは下線
可能であれば、裸眼・◎他覚的屈折検査・矯正視力・◎眼位検査を測定する
YES
眼位は正位か?
外斜視(位)の場合
正位の場合
◎は特に重要。眼位検査は定量できなければ
少なくともカバーテストは行うこと。
NO
遠視があると
考えられる場合
主に再診にて
他覚的屈折検査(レフラクトメーター・レチノスコピー)
を行い、ミドリンP○R を点眼する
30 分後
屈折状態
屈折値
遠視
3 ヶ月:S+6D以上
6 ヶ月:S+5D以上
1 歳:S+4D以上
2 歳以上:+3.0D 以上
3 歳以上:+3.0D 以上
(正常値から+2.D 以上
強いのが目安)
2.0D以上の乱視
遠視性単乱視・
+2.25D以上の遠視
で 1.0D以上の乱視
-3.0D以上
近視
点眼の目安
5 分ごとに 3 回
点眼の目安
器質的病変のチェックも
しておかないとね。
眼底検査と調節麻痺下他覚的屈折検査を行う(乱視があれば可能ならケラトメトリーも行う)
完全矯正と言ってもアトロピンの場合、 NO
生理的ト−ヌスを減じる場合とそのまま
処方する場合とがある。
完全矯正眼鏡が基本
不同視
雑性乱視の
不同視
完全矯正眼鏡が基本
(不可能なら 3∼4D 以上
から等価球面値で)
完全矯正眼鏡が基本
(不可能なら 3∼4D 以上
から等価球面値で)
2D 程度低矯正
非優位眼の遠視が+
2.0D 以上で不同視差 1.5
∼2.0D 以上
乱視度1.0∼1.5D以上の
左右差
乱視度 2.25D 以上の
左右差
斜 視
齢
有無
固視交代困難だが
山本裕子先生より
視力は矯正視力とする
固視交代困難
可能
不良
3∼4時間/1日
5∼8時間/1日
∼
屈折矯正眼鏡
屈折矯正眼鏡と
屈折矯正眼鏡と
屈折矯正眼鏡と
と健眼・患眼1
健眼2日・患眼1日
健眼4日・患眼1日遮
健眼4日・患眼1日
日交代で遮閉
遮閉
閉
遮閉
外斜視の場合
大よそ 1∼6 ヵ月位まで定期的に経過観察
内斜視(位)があるなら+側へ
矯正し、眼位の変化をみる
NO
矯 正 視 力 に 左 右 差 YES
(可能性)があるか?
経過観察
左右差の基準は大よそ3段階と
する。例)ベスト矯正視力(0.7 と 0.4)
外斜視があるなら−側へ
矯正し、眼位の変化をみる
内斜視の場合、
遠見矯正視力
なるべく両眼視をさせることをめざす。
が低下しても眼位優先。
外斜視はそのま
まの度数にして
おく場合もある。
非調節麻痺下での眼鏡上レチノスコピーを行い、矯正値
の補正をし、治療の優先順位を考え、眼位又は非優位
眼の矯正視力が良好となるならば再処方を考慮する
(念の為の弱視
予防)
無し
3
∼
患眼の視力が健眼の
の半分以上
半分未満
(例:視力 0.6 と 0.4)
(例:視力 1.0 と 0.4)
屈折矯正眼鏡と
屈折矯正眼鏡と
2∼3時間/1日
4∼6時間/1日
健眼毎日遮閉
健眼毎日遮閉
経過観察
YES
非遮閉時は屈折矯正眼鏡装用
4
患眼の視力が健眼
歳
有り
患眼の視力が健眼の
の半分以上
半分未満
屈折矯正眼鏡と
終日
3∼4時間/1日
4∼6時間/1日
健眼毎日遮閉から
健眼毎日遮閉
健眼毎日遮閉
1∼2時間両眼開放
無し
5
歳
患眼の視力が健眼の
半分未満
屈折矯正眼鏡と
屈折矯正眼鏡と
1∼2時間/1日
3∼5時間/1日
健眼毎日遮閉と
健眼毎日遮閉と
字ひろい
字ひろい
経過観察
NO
外斜視(位)の場合
輻湊過多型か
高 AC/A 比だね。
経過観察中は常
に全ての症例で
再処方を考慮。
NO
開散過多型や
高 AC/A 比の場合
もあるね。
YES 遠方より近方で偏位量(内 NO NO 近方より遠方で偏位量(外 YES
斜)が増加しているか?
斜)が増加しているか?
YES
近見+3.0D 付加試験 NO
にて遠近の斜視角が
ほぼ同じとなるか?
非屈折性調節性
両眼開放時は屈折矯正眼鏡装用
経過観察
完全矯正下、斜視が残存しているか又は
偏位量が遠近で 10⊿以上差があるか?
内斜視(位)の場合
両眼開放時はプリズムと屈折矯正眼鏡装用
の半分以上
経過観察
YES
矯正視力に応じて
表2を参考に遮閉
時間を決定し、弱視
治療を開始する
経過観察中は常
にすべての奨励で
最初法を考慮。
山本裕子先生はこの時、斜視があ
る場合は両眼開放時は定量可能
ならプリズム眼鏡を装用させる。
偏心固視
屈折矯正眼鏡と
患眼の視力が健眼
矯正視力に左右差(可能性)があるか?
交代固視・矯正視力などの状態
に応じて表2を参考に遮閉時間
を決定し、弱視治療を開始する
眼位に異常が
ない場合、2 歳までは
予防目的となるので
基本的に屈折矯正の
み。視力測定が可能
になってからでも十分
間に合う。
非調節麻痺下での眼鏡上レチノスコピー
を行い、矯正値の補正をし、矯正視力が
向上するならば再処方を考慮する
両眼開放時はプリズムと屈折矯正眼鏡装用
患眼の視力が健眼
NO
眼鏡装用後の眼位は斜視か?
乳児の場合や調節の関与は少な
いと思われる場合は下記破線枠を
飛ばして弱視治療へ早めに。
固視交代不可・固視
2時間/1日
歳
乳児の場合は弱視予防なので眼鏡視力検査が
できなくても仕方ないが、固視の状態と眼位だけは
定性でチェックすること。
内斜視(位)の場合
中心固視(−)
1時間/1日
有り
YES
経過観察
最初は 3∼6 ヶ月
ごとに受診させ、弱視になる可能性
があるか、常にチェックし、徐々に期
間を延ばしてゆく。
合っていなければ、眼鏡店に
やり直しを命じる。
眼鏡が慣れた頃(視力に左右差が
ある場合は早めに)
再度可能であるならば眼鏡視力と眼位検査を行う
0
2
不同視などは不等像を考慮して調節麻
痺剤が切れてから他覚値を参考に処方する
場合もある。
眼鏡が出来たら来院させ、光学中心・レンズ度数・フィッティングなどのチェ
ックをし、可能であるならば眼鏡視力と眼位検査を行い経過観察する
中心固視(+)∼(±)
固視交代可能
ただし、近視や遠視の外斜視
(位)の場合、調節性輻湊を温存させ
る為に、故意に遠見矯正のベスト眼鏡
にしたり随意遠視を残す場合もあり。
約 1 週間後
約 1∼3 ヵ月後
完全矯正眼鏡が基本
(不可能なら 3∼4D 以上
から等価球面値で)
完全矯正眼鏡が基本
(不可能なら 3∼4D 以上
から等価球面値で)
遮閉眼と遮閉時間について
近見矯正のベストレンズを重視し、
表1を参考に適正眼鏡を処方する
検眼レンズ上から処方目的の度数であるかをオーバーレチノスコピー
にてチェックし、医師が処方箋を発行する
完全矯正眼鏡が基本
表2
年
角膜乱視のチェック!
矯正方法は S+2.0D 雲霧して乱視は他覚値のまま
で球面度数を下げていったり、他覚値そのままに
装用させる場合など色々だが、とにかく手早く。
YES
調節麻痺下矯正視力検査は可能か?
屈折異常の眼鏡処方の基準の
表1を参考に処方する
表以外
眼科プラクティス(羅 錦營)、視能矯正の実際 P237
遠視性乱視の
点眼の目安
乳児:0.2% 3回/日 4 日間
幼児:0.5% 2回/日 7日間
就学後: 1% 2回/日 7日間
約1週間後
60∼90 分後 5 分ごとに 2∼3 回、
左右眼に屈折差がある場合視能学 P442、弱視と屈折異男常(加藤和男)
遠視性不同視
自宅で 0.2∼1%アトロピンを点眼させる為、使用
法の説明書を渡す(別紙の項に参考あり)
眼鏡処方値
雑性乱視
遠視性複乱視
内斜位の場合は調節麻剤
の決定は色々。
他覚的屈折検査(レフラクトメーター・レチノスコピー)
を行い、1%サイプレジン○R 点眼する
眼鏡装用が必要な調節麻痺下屈折度数の
基準 視能矯正マニュアル P211
表1
内斜視(位)の場合
近視(又は斜位)と
考えられる場合
非調節性輻輳過多型
NO
パッチテスト・近見+3.0D
YES
付加試験にて遠近の斜視
角がほぼ同じとなるか?
真の開散過多型
見かけ上・基礎型の開散過多型
以
上
有り
中心固視
偏心固視
屈折矯正眼鏡と
狭義の pleoptics
1∼5時間/1日
患眼遮閉
健眼毎日遮閉と字ひろい
2重焦点眼鏡を処方し、眼 必要ならばプリズムや手術(増減・
鏡使用不可や残存量があ 変動がある場合は斜視の型に応じ
た定量)で日常での眼位を矯正する
る場合は手術で矯正する
弱視治療と併行しての眼位矯正の時期はケース・バイケース
両眼開放時はプリズムと屈折矯正眼鏡装用
その他の目安)健眼遮閉のみでプリズム矯正無しの場合
1歳まで→1 日の健眼遮閉を 2 時間
2歳まで→1 日の健眼遮閉を 3∼4 時間
3歳まで→1 日の健眼遮閉を 5∼6 時間
4歳まで→健眼の視力に注意しながら、健眼遮閉を可及的長く続行
経過観察
中止しても原則として
眼鏡は装用し、視力を経過
観察してゆくこと。
判定結果が真と見かけ上
は2重焦点眼鏡も考慮し
症例に応じプリズムや、
手術、基礎型はプリズム
や手術で矯正する
手術時期には様々な
意見がある。決定の目安とし
経過観察 て、間欠性などの場合は弱視治療を
優先して慌てて手術をしないことが多い。
経過観察
高 AC/A 比だ
と術後、今度
は近方の偏位
量が内斜方向
に増加してし
まうので必要
に応じて。
経過観察
非優位眼と優位眼の矯正視力とが正常な年齢の矯正視力値に確実に同等になった時点で弱視治療を中止する
別紙
眼科プラクティス P83 [図3]家庭での調節麻痺薬点眼に対する説明書