高額療養費制度 (平成27年1月診療分から)

城北診療所 診療サービス課:山岸です。
本日は今年1月から変更された「高額療養費制度」について説明させていただきま
す。
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平成27年1月より、70歳未満の方の「高額療養費制度」が変更となっています。70
歳以上の方はそれまでと変わりません。本日はその変更点となった部分に焦点をあ
てて説明させていただきます。
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簡単におさらいですが、「高額療養費制度」とは、1ヶ月分の自己負担額(つまり、病
院の窓口で支払っていただくお会計)の合計が、決められた上限を超えた場合に、
その超えた分が支給される(つまり、戻ってくる)制度です。集計の単位はい医療機
関ごとになります。なので、病院で診療し、薬局でお薬が出る場合は別々の医療機
関となりますので集計の対象とはなりません。事前に申請しておけば例えば、一旦窓
口で全額支払うことなく、その方の上限金額までのお支払いですみます。ただし、入
院時の食費負担や個室料金等はその対象外となります。
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例えば、窓口での支払いが30万円の方で医療費3割負担の方、そしてこの方の負
担上限額が月10万円の場合の方で説明しますと、一旦窓口で30万円お支払いい
ただきますが、月の負担上限額10万円を超えた部分、この方の場合は20万円が高
額療養費として戻ってくることになります。
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上位所得者の部分と一般所得者の部分の区分がより細かく分かれ、全体で5パター
ンになりました。①~③に該当する方は、その月の医療費の総額をそれぞれの計算
式にあてはめて算出した額がその方のその月の負担上限額となります。ですから、
医療費の総額によって、ひと月の上限額は変動します。この表での上限額に記載さ
れている数字は、医療費の総額が100万円だった場合の上限金額です。また、それ
ぞれのところで<多数回該当>と書いてありますが、これは月の上限金額を超えた
月が通算して4回目になると減額されることを意味します。ですから、例えば③に分
類される方であれば、3回目までは¥8万100円+αがその月の上限額となりますが、
4回目からは医療費に関係なく、¥44,400が上限額となるという意味です。
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それは高額療養費の「支給申請書」というものを、ご自身が加入している保険証を管
轄しているところに提出することが必要です。ご自身の保険証に書いてあります。たと
えば国民健康保険でした各市町村役場へ、協会けんぽでしたら、協会健保の各支
部(石川支部)に提出します。送られてきた「限度額認定書」は医療機関や薬局に提
示して下さい。
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高額療養費の支給を受ける権利の消滅時効は、診療を受けた月の翌月の初日から
2年間です。ということは2年前の分までさかのぼって支給申請可能です。
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それは「限度額適用認定証」というものを、ご自身が加入している保険証を管轄して
いるところに申請することが必要です。たとえば国民健康保険の方でした各市町村
役場へ、協会けんぽでしたら、協会健保の各支部(石川支部)に提出します。送られ
てきた「限度額適用認定証」を受診の際に医療機関や薬局に提示して下さい。
そうすれば窓口支払いは初めからその方の窓口上限までですむこととなります。
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例えば、最初のスライドで説明したこの方の場合は、いったん窓口で30万円支払っ
ていただいたうえで3か月後に20万円が本人に払い戻されることになりますが、「限
度額認定証」を事前に提出いただければ、最少から窓口負担は10万円で済むとい
うものになります。ですから、高額な治療が開始されると予測された場合には、事前
に申請していただくことをおススメします。
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限度額適応症に記載されてくる所得区分の表示は「区分ア」~「区分オ」という表示
にかわりました。
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ちなみに70歳以上の方の場合はこのような3パターンになっています。これは27年1
月以前と変わりありません。
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それでは実際、シムジア皮下注射を使用した場合についてシミュレーションしてみま
す。シムジアは症状安定後、2週に1筒投与することとなる高額な薬剤です。まずは
対象となる方を70歳未満(3割負担)、区分(ウ)、多数回該当になっていない場合と
して考えてみます。4週ごとに受診するので、2週に1筒打つシムジアは2筒、他には
診察料となる再診料や指導料とよばれる診療費のみを計算の対象として記載してあ
ります。計算式に数字をあてはめますと¥78,722となります。この方の高額医療費の
対象となる下限の金額は¥80,100なので、この場合は高額医療費の対象外となりま
す。
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では、高額療養費の支給を受けるにはどうすればよいか?1ヶ月の医療費がもっと高
ければ、対象になります。一番簡単な方法は受診間隔をのばすこと。そうすれば次
回の受診までに必要な高額なシムジア皮下注の本数を増やすことになり、医療費は
高額になります。その分、高額医療費として払い戻しされる金額も増えるだけで、皆
さんの窓口負担はそれほど変わりません。この場合10週ごとに受診することにした場
合のシミュレーションで、2週に1筒打つシムジアは5筒、他には診察料となる再診料
や指導料とよばれる診療費のみを計算の対象として記載してあります。計算式に数
字をあてはめますと¥80,627となります。この方の高額医療費の対象となる下限の
金額は¥80,100なので、この場合は高額医療費の対象となります。ちなみにこの計
算式にあてはめると、シムジアが1本増えるごとに634円、窓口負担が増えることにな
ります。
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ちなみに、この区分の方で高額療養費の対象が4回目以降の方の場合は月の上限
金額は¥44,400となります。この場合、先ほどの算出計算式は適用されません。ど
んな高額な医療を行なっても、1月の上限額は¥44,400以上かかりません。この条
件の場合、6週ごとに受診することにした場合のシミュレーションで、2週に1筒打つ
シムジアは3筒、他には診察料となる再診料や指導料を合計すると¥192,720となり、
3割負担なのでその3割分の¥57,816が本当のこの方の窓口負担になりますが、上
限が¥44,400なので支払いは¥44,400でよいことになります。
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ほかにも、高額療養費制度には「世帯合算」という特例があります。同一世帯で窓口
負担金が21,000円を超えた人が複数いた場合、医療費を合算して申請することが
できます。またおひとりの方が複数の医療機関にかかっていて、それぞれのところで
窓口負担が21,000円を超えた場合でも合算して申請することができます。
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このように、それぞれの所得に応じて細かくわかれており、また支払い金額もそれぞ
れの計算式に医療費を当てはめて計算することになります。そのため、非常にわかり
にくい制度とも言えます。ただし、1月の上限額が決まっているので、診察の間隔を
調整することで、月々の支払いを低く抑えることも可能だということです。ご自身の限
度額を確認したうえで、診察の間隔に関しては先生と相談し、今後のリウマチ治療を
継続していっていただければと思っています。診療サービス課でもいろいろとご相談
にのりたいと思っておりますので、お気軽に声をかけてください。本日はありがとうご
ざいました。
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