遺産分割-協議不調なら調停、審判

くらしの法律 第12回
遺産分割
協議不調なら調停、審判
相続財産は、被相続人の死亡後いったん相続人全員
の共有となり(民法898条)、遺産分割によって各
相続人に分けられることとなります。
分割には、第1に遺言で分割の方法が指定されてい
る指定分割、第2に相続人の協議による協議分割、第
3に家庭裁判所の調停で行う調停分割、第4に家庭裁
判所の審判で行う審判分割があります。
分割の協議は相続人全員が参加し全員が合意しなけ
ればならず、一部の相続人を除外した協議は無効です。
しかし、相続人全員が一堂に集まって話し合わなけれ
ばならないという意味ではなく、一人が遺産分割案を
遺産分割協議書にまとめ、持ち回りで各人が署名押印
するという方法でもかまいません。
遺産分割の基準として、民法は、遺産に属する物又
は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身
の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮するこ
ととしています(同906条)。
指定相続分や指定相続分と異なる割合の分割や、相
続人の一人が全然取得しないというような分割も共同
相続人全員の合意であれば差し支えありません。
このように、合意があれば遺産を自由に分割できる
のが原則ですが、債務については相続人全員が各自の
相続分に応じて分割された債務を負わなければなりま
せん。
協議がまとまれば遺産分割協議書に全員が署名押印
します。この遺産分割協議書によって相続した預金の
解約や不動産の登記が出来ることになります。
共同相続人の協議が調わないとき、または他の相続
人が協議に応じてくれないときは、家庭裁判所に分割
を請求することができます(同907条)。
まず、家庭裁判所に遺産分割調停を求め、調停がま
とまらなければ、家庭裁判所の審判により分割を決め
てもらうことになります。
審判分割の場合、具体的な分割の方法としては、現
物分割を原則としますが、現物分割が不能である場合、
あるいは現物分割によって目的物の価格が著しく損す
るような場合は、遺産の全部または一部を換価して価
額分割をすることができ、特別の事情がある場合には
相続人の一人または数人に現物を与え、その者に他の
相続人に対し相続分に相当する代償金を支払わせる代
償分割をすることもできます。