第12回 認知的デザイン論15(荒井) 2015/07/17 本日の内容 ※基本的には今までの補足+参考とします 認知的デザイン論 • 記憶のしくみと符号化処理※第5章(補足) 第12回 15/07/17 – 3つの処理段階【5.1】 – 短期記憶と長期記憶【5.2】 – 符号化処理の効果【5.3】 – 符号化処理のスケジューリング【5.4】 -記憶のしくみと符号化処理- 荒井 良徳@CS [email protected] http://www.cs.t-kougei.ac.jp/hif/ • 記憶の検索過程※第6章(参考) 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 2015/07/17 1 2015/07/17 3つの処理段階【5.1】 2 短期記憶と長期記憶【5.2】 – 記憶の情報処理の段階 • 感覚記憶⇒短期記憶⇒長 期記憶(図5.1) • まず、符号化 • 入力刺激から感覚記憶へ • 選択的注意により必要な ものが短期記憶へ • 長期記憶から検索され短 期記憶へ • リハーサルにより短期記 憶が長期記憶へ移行 • 次に、保持 – 符号化処理された情報を記憶に貯蔵する段階 • 最後に、検索 – 保持されている情報が想起されて、認知処理に利用 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 長期記憶 – 作業記憶=短期記憶 – 必ずしも記憶を意識していない – 例;レストランの入り口で食品サンプルを見ている ←※記憶しようとはしていない – 期待外れだったりするとサンプルの記憶がよみがえっ てくる 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 3 2015/07/17 [再] リハーサル処理 入 力 刺 激 感覚 記憶 検索 短期記憶 選択的注意 出力反応 記憶の多重貯蔵庫モデル (図5.1) 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 4 記憶の単位チャンク【5.2】 一般的な認知情報処理モデル〔α〕 • 入力(知覚)→認知→出力(運動) 外 部 環 境 か ら の 情 報 ( 刺 激 ) 2015/07/17 •視覚 •聴覚 •触覚 •味覚 •臭覚 短期記憶 処理資源 感覚記憶 割り当て 作業記憶 注意の フィルタ による 情報選択 検出・ 特徴 分析 比較 照合 ・判断 リ ハ ー サ ル 長 期 記 憶 • 短期記憶の処理容量は小さく、 7±2チャンクと言われている • ①MIB YNOS ALJ • ②IBM SONY JAL • 上記①②はどちらも同じ文字数だが、覚え やすいのはどちらだろうか? 運動反応出力 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 5 荒井 HIF-lab, cs, TPU http://www.cs.t-kougei.ac.jp/hif/ 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 6 1 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 2015/07/17 短期記憶と長期記憶【5.2】 • 短期記憶と長期 記憶の比較(表 5.1) – 近年の研究では 属性 短期記憶 長期記憶 保持期間 短い(20~30秒) 長い(~一生?) 活性状態 高い(意識的) 低い(無意識的) 処理能力 小さい(7±2チャ ンク) 大きい(実質的に 無限) [再] モデルヒュー マンプロセッ サ(4) [Card, et al. 1983] 、脳内では短期 記憶と長期記憶 の区別はないと されている • 役割的には別で あると考えよう 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 7 2015/07/17 • 音声提示される単語リストを聞きながら、特定の文字で始ま る単語に注意し続け、最後の対象単語を答える – 二つのリハーサル • 維持リハーサル – 対象単語:例えばGで始まる単語とする • 対象単語以外は覚える必要が全くない • 新しい対象単語が出てきたら前のは忘れてよい – 機械的に反復する処理 – 負担は少ない – 但し、長期記憶への移行には効果が薄い • 前半に対象単語が出てくると、被験者は何度も「維 持」リハーサルを繰り返す – 後半に出てきた場合は「維持リハーサル」はあまり行えな い • 精緻化リハーサル – 意味的に関連付けしながら反復する処理 – 負担が大きい – 但し、長期記憶への移行には効果的 • しかし、正解率は前半でも中盤でも後半でもあまり変 わらない • ⇒「維持リハーサル」では長期記憶移行の効果は薄 い! 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 9 リハーサルに関する 記憶の実験例(2)【5.3-2】 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 10 • どのように学習をしていったらよいのか? • 分散学習の方が、集中学習よりも効果的 • 特性例;大文字か否か、魚か否か、など – 繰り返し提示=リハーサルを強制的にさせる実験 – 2回連続して学習しても1回分とあまり変わらない – 時間を置いて2回学習した方が約2倍の効果 • 質問する特性の違いによって、どの程度記憶できた かが異なる • つまり、質が重要 • 分散している間に忘れるということは実はあまりない – 更に、テストがあると伝えていた場合と、伝えなかった場 合で、記憶結果はあまり変わらない • 簡単に言うと、一夜漬けは無駄 • ⇒長期記憶移行には、精緻化リハーサルなどの符号 化処理の質が重要! – 記憶しようとする意図には無関係、単純な維持リハーサ ルも効果薄 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 2015/07/17 符号化処理のスケジューリング 【5.4】 • 単語リストを繰り返しテキスト提示、 但し単語の特性に関する質問と共に! 2015/07/17 8 リハーサルに関する 記憶の実験例(1)【5.3-1】 符号化処理の効果【5.3】 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 11 荒井 HIF-lab, cs, TPU http://www.cs.t-kougei.ac.jp/hif/ – 覚えられないし、すぐに忘れる • 毎日のように繰り返し何度も学習するのがよ い!! 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 12 2 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 2015/07/17 記憶の検索過程「6章」(※参考) 記憶の検索過程「6章」(※参考) • 記憶の区別(6.1) • 文脈情報処理(6.3) • 人間の情報処理で極めて重要な特性の一つ – エピソード記憶 – 入力情報を単独で処理せず、 • 個人が体験した特定の出来事に関する記憶 背景や前後関係などなど、文脈で解釈している – 意味記憶 • 検索の誤り(6.4) • 言語や常識などの一般的な知識に関する記憶 • 符号化処理と検索過程のかかわり(6.2) – 利用可能な手がかりが適切でないと誤りが起き – 学習(記憶)の成果は、単に努力だけでなく、学習 • 実験例が教科書に記載されている 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) る – 記憶の種類を間違えて検索すると誤りが起きる – などなど 時の符号化処理と検索過程に関係する 13 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 14 本日の小問題とアンケート • 問1:記憶の3つの段階を記せ • 問2:短期記憶から長期記憶へ移行するために 必要なことは何か? • 問3:チャンクとは何か。簡単に述べよ。 • 問4:記憶の符号化処理における、二つのリハー サルは、何と何で、長期記憶化はどちらが有効 か? • 問5:学習に効率的なのは、短期集中か?もしく は長期分散か? • 問6:先週レポートを出した人で、 再提出した方が良さそう=○、完了予定=✔ • 問7:今日レポートを出した・出す人→○ • 問8:まだ未提出の人で、 来週提出予定=○、提出予定なし=× 2015/07/17 第12回 認知的デザイン論15(荒井) 15 荒井 HIF-lab, cs, TPU http://www.cs.t-kougei.ac.jp/hif/ 3
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