特集 音 × アナログ! 楽器エフェクタ製作集 8バンドBPFで分解した音声成分で8バン 宇宙人と ド・アンプのゲインをリアルタイム制御! 交信 楽器×音声! ロボット・ トーキング・エフェクタ 「ボコーダ」 富沢 瑞夫 音声入力 レベル ア∼ 分析 1 2 レベル バンドパス・フィルタ Mizuo Tomizawa イントロダクション 第9章 う あ 3 い 周波数 整流 4 電圧 周波数成分ご との量を直流 電圧で表現 周波数 図 2 人の声が声は特徴的な周波数特性 (フォルマント分布) を持つ 周波数 この周波数特性を再現できれば,楽器の音が元になっていても人の声の 5 ように聞こえる 6 出力 楽器音 入力 レベル VCA VCA VCA VCA 周波数特性が音声 入力に近くなるよ うに合成する 帯域分割 周波数 図 1 ボコーダの原理 たくさんのバンドパス・フィルタを並べて,周波数成分を分析し,周波 数分布を楽器の音で再現する 楽器音を人の声のように変化させるのがボコーダで す.ボコーダの原理は,70 年以上前より電話回線の 音声処理の中で研究されていました.1970 年代後半に, 鍵盤付き楽器の形でボコーダが登場しています. 原 理 ● 生声の周波数成分を抽出して,楽器音の周波数成 分の大きさを変える ボコーダの原理を図 1 に示します. 入力される音声を 10 ∼ 16 個くらいのバンドパス・ フィルタ (分析フィルタ)に加えます.製品のボコーダ では 1/2 oct 幅,すなわち中心周波数が㲋 2倍に高くな っていくバンドパス・フィルタを並べることが多いよ 2015 年 8 月号 うです. 楽器音も別系統で,同じ周波数のバンドパス・フィ ルタ群を通して,各周波数別の成分に分けます. 声を分析フィルタに通したとき得られるレベルに合 わせて,楽器の周波数成分を調整して,足し合わせま す.声の周波数特性と同じ特性を持つフィルタが楽器 音にかかります.すると,楽器をしゃべらせたような 効果が得られます. ● 人の声は音源+フィルタで作られていると考える 人間の声を一つの楽器と考えると,声帯が音源であ り,喉から口にかけてがフィルタとみることができま す. 喉から口にかけての形状が作るフィルタと同じ特性 のフィルタを楽器音に通せば,人の声のような音にな るのではないかと考えられます. ただし,喉の奥から発する高調波を多く含む音が複 雑に加工されるような処理は,シンセサイザの VCF に使われているフィルタではとても真似できません. 人間がしゃべる(歌う)ような音を出すには相当複雑な フィルタリングが必要です. ● 周波数分布を調べて再現する 実際にしゃべっている声の周波数成分を分析して, 117 7 8 9 10 11
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