「けんこうさろん」(健康情報誌)178号掲載記事

特集
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知っておきたい 在宅医療事情
知っておきたい 在宅医療事情
[神奈川県秦野市/湘風クリニック]
訪問診療リポート
湘風クリニックの院長である正山泰先生の訪問診療活動に編集部が同行し、実際に患者さんとそのご家族の
在宅療養の場を拝見することができました。それぞれの患者さんの容体や生活環境は違っていても、
そこには在宅医療を支える医師やスタッフとの確かな信頼関係が築かれていました。
訪問診療を専門とする湘風クリニックの院長である正
山泰先生は、1 日約 10 〜12 名の患者さんの訪問診療
を行っています。編集部が同行した日は、午後の診療
時間帯で 6 名の患者さん宅を訪問しました。それぞれ
のお宅での診察は、30 分程度。患者さんに明るく声を
訪問診 療は小回り
がきき、駐車しやす
い軽自動車で移動。
かけながら容体を確認し、高度医療機器を使用してい
る患者さんの場合は装着器具の交換も行います。また日々のケアをされ
ているご家族の話を聞くのも、診察の一部。処方している薬の効果や、
睡眠・排泄など日常の生活リズムに変化がないかを丹念に聞き取ります。
患者さん宅には、訪問看護や訪問リハビリテーションのスタッフたちとの
連絡ノートがあり、普段は一堂に会することが少ないスタッフ間の情報交
換に役立てています。患者さんは、気管切開チューブで呼吸管理を行っ
神経難病で闘病されている患者
さん 宅。ベッドサイドに置 かれ
た多くの医療機器から、日々の
ケアの手厚さがうかがえる。
あな
ていたり、胃ろう(胃に孔を開けてチューブで栄養を入れる方法)で栄養
管理を行うなど、急変の可能性が高い方ばかりでしたが、闘病という重
苦しさよりも、ご家族とともに住み慣れた我が家で過ごすことで、より
その人らしい療養生活が実現できているように見受けられました。最後
に正山先生が編集部に向けて語った「今
日の診療を見ただけで、訪問診療のすべ
てを理解したと思わないでください。在
宅医療は患者さんの数だけその形があ
ります。患者さんとそのご家族がさまざ
まな問題を1 つひとつ解決しながら、適
した形を作り上げているのですから」と
いう言葉が印象的でした。
在 宅 療 養 生 活をさらに快 適
にするために数年前に自宅を
大改造された患者さん宅。大
きな窓から陽光が差し込む患
者さんの居室には、退院当時
からたくさんの人と撮影した
スナップ写真が壁一面に貼ら
れている。数多くの出会いが、
患者さんとそのご家族の支え
にもなっているようだ。
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けんこうさろん 178 号
在宅酸 素療 法 の 機 器。取り扱いも
簡単なため、日常は医師の指導のも
とご家族が酸素量のコントロールを
行っている。
湘風クリニックのスタッフと
院長 正山泰先生(写真中央)
訪問診療を専門とした医療活動を行っている湘
風クリニックでは、
「在宅療養支援診療 所」と
して、かかりつけの患者さんの必要に応じて緊
急時の往診にも 24 時間対応しています。
医療法人社団 Strada 湘風クリニック
〒 257-0001 神奈川県秦野市鶴巻北 1-1-5
産興鶴巻ビル 2 階 Tel.0463-77-8401
ホームページ http://www.mc-strada.com/
2009.Summer
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