供給約款認可申請に係る査定方針 平成28年12月 東 北 経 済 産 業 局 目 次 申請の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 基本的な審査の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 前提計画(需要想定・設備投資計画)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1.労務費 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2.原材料費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3.設備投資関連費用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 4.事業報酬率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 5.修繕費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 6.公租公課・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 7.その他経費・控除収益・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 8.ヤードスティック査定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 - 1 - 【申請の概要】 (千円) 今回申請A 前回改定B (H29-31平均) (H24) 労 費 42,817 27,077 15,740 原 材 料 費 39,620 51,704 ▲ 12,084 資 58,387 41,799 16,588 減価償却費 50,655 33,683 16,972 事 業 報 酬 7,732 8,116 ▲ 384 費 4,889 2,035 2,854 公 租 公 課 5,698 4,836 862 その他経費 29,005 31,738 ▲ 2,733 控 除 収 益 ▲ 15,074 6,932 ▲ 8,142 152,257 13,081 修 原 務 差引 (A-B) 本 繕 価 費 計 165,338 ▲ ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 - 2 - ~基本的な審査の方針~ ガス事業法第17条第1項の規定に基づき、本年10月に認可申請がなされた供給約款につい て、算定省令や審査要領、「一般ガス事業供給約款料金算定規則(平成16年経済産業省令 第16号)別表第1の規定に基づき、一般ガス事業供給約款料金算定規則の規定に基づき経済 産業大臣が別に告示する値」(以下、「告示」という。)等の法令関連規定に照らし、申請さ れた料金が「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものである こと」等の同法第17条第2項の規定の要件に合致したものであるかを審査する必要がある。 (1)個別費用項目 最大限の経営効率化を踏まえたものであるかという観点で全費用項目を査定すべきで ある。主な費用の査定は、以下の考え方に基づいて行う。 ① 労務費については、人員数や1人当たりの生産性が妥当なものとなっているか、従 業員の給与水準が審査要領に沿ったものとなっているか等について確認する。 ② 原材料費については、原価算定期間内に契約が満了するものについて、共同調達の 実施や調達先の多様化等の努力を求め、その取組によって実現可能な効率化を反映す る等、個別に可能な限り効率化努力が行われているか等について確認する。 ③ 設備投資関連費用については、原価算定期間に真に必要な更新数量と比して過大な 設備更新が計画されていないか、原価算定期間中に新たな投資される設備について十 分な効率化努力が行われているか、レートベースは必要かつ有効な資産に限られてい るか等について確認する。 ④ 修繕費については、料金原価のうちの都市ガス事業に係る修繕費率に基づき査定を 行うとともに、資材調達や工事・委託事業等に係る費用に効率化が織り込まれている か確認する。 ⑤ その他経費については、効率化努力の実施状況に加え、ガス事業の運営上必要不可 欠な費用と説明出来ない寄付金及び団体費が、料金原価へ算入されていないか等につ いて確認する。 ⑥ また、設備投資関連費用及びその他経費の一部については、審査要領に従って比較 査定(ヤードスティック査定)を行う。 (2)その他 ① 労務費、その他経費については、東日本大震災等の特殊要因により発生した経費の 場合は、必要不可欠な費用に限られているか等について確認する。 ② 明らかな錯誤と確認できるもののうち、保安の確保の観点から必要と判断される費 用又は査定結果から申請額から差し引くと企業努力では賄えない値下げとなっている か等について確認する。 - 3 - 前提計画(需要想定・設備投資計画) ○需要想定 (1)需要想定の概要 需要想定は、事業環境の将来の見込みに基づき毎年策定することとなっている。 (2)申請の概要 (千m3) 実 績 実績見込 計 画 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 家 庭 用 339 346 346 390 418 418 418 商 業 用 119 123 123 123 124 124 124 工 業 用 - - - - - - - そ の 他 96 100 102 102 103 103 103 加熱用 他 4 0 4 4 4 4 4 558 569 575 619 649 649 649 計 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 家庭用については平成28年度に増区した需要量の増加を見込み算定、また、家庭用 以外については、直近年度の実績について需要家ごとに個別の積み上げにより算出して いることを確認した。 ○設備投資計画 (1)設備投資計画の概要 設備投資計画とは、導管設備の拡充・改良工事等の設備投資に関する計画であり、減 価償却費や事業報酬等の算定の基礎となる。 (2)申請の概要 (百万円) 実 績 実績見込 計 画 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 - 4 36 - - - - 建物 - 2 6 - - - - 機械装置 - 2 30 - - - - 40 32 48 110 43 59 51 導管 26 31 48 110 43 59 51 その他 14 1 - - - - - - 0 - - - - - 40 40 84 110 43 59 51 製造設備 供給設備 業務設備 計 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 供給計画等に基づき適正に算定し、導管延長数及び計画単価が妥当であることを確認 した。 - 4 - 1.労務費 (1)労務費の概要 労務費は、ガス事業を運営する従業員等の人員を雇用等するための費用であり、役員 給与、給料、雑給、賞与手当、法定福利費、厚生福利費及び退職手当の7営業費項目で 構成されている。 (2)申請の概要 (千円) 実績 申請 (H25-27平均)(H29-31平均) 役 員 給 与 2,899 2,447 給 料 19,144 24,405 雑 給 1,483 1,441 賞 与 手 当 6,225 7,773 法定福利費 5,109 6,538 厚生福利費 122 212 退 職 手 当 10,345 - 計 45,326 42,817 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 ① 役員数 2名。社長1名、監査役1名なので、役員数は妥当である。 ② 社内役員報酬の水準 指定職俸給表第4号俸(内部部局の長等)(年間収入17,501千円)を下回っている ことを確認した。 原価算定期間中に月41千円増額しているが、明確な根拠が無いことを確認した。 なお、役員の一般ガス事業の負担割合が30%は妥当である。 ③ 従業員1人当たりの年間給与水準 平成29年4月から新規採用を予定しているが、平成29年度の延べ調定数は平成27年 度の延べ調定数の伸び率で18%となる。平成27年度の部門別業務割合へ伸び率の18% を乗ずると、平成29年度の部門別業務割合は0.85人増える余地があることを確認した。 申請では原価算定期間中のベースアップ及び昇級は見込んでいない。残業手当を除 く1人当たりの年間給与額は4,445千円となることを確認した。 (ア)給与水準の査定の基本的な考え方 原価算定期間中の正社員は22名なので厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調 査」の10人~99人規模平均における企業平均値と比較する。 (イ)一般的な企業の平均値 全産業の年間給与が3,804千円であることを確認した。 (ウ)類似の公益企業との比較 電気業は5,515千円、水道業は4,810千円、鉄道業は3,551千円で、3業種の平均年 間給与は4,625千円と比較する。 (エ)地域補正 総務省「小売物価統計調査(構造編)-平成27年度分結果-別表4都市別指数」 の福島市 101.5%を用いて補正した。 (オ)基準外手当 基準外手当については、基準内賃金と基準外賃金の割合(基準外率)求めて、平 均を超える部分について合理的説明がなされない場合は、超える金額を減額する。 (カ)賞与 過去3年間の実績平均を上回る金額について合理的説明がなされない場合は、超 える金額を減額する。 - 5 - ④ 法定福利費 法定福利費については、社長、非正規職員1名を加えていることを確認した。 健康保険料(介護保険料を含む)、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金につい ては「平成28年9月分(10月納付分)「健康保険料・厚生年金保険料の保険料額表」 を用いて算定していることを確認した。 雇用保険料については 、「平成28年度の雇用保険料率」(厚生労働省・都道府県労 働局・ハローワーク)、労災保険率は「労災保険率、労務費率、第2種・第3種特別 加入保険料率 」(平成27年4月1日改定)(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監 督署)を用いて算定していることを確認した。 都市ガス企業年金基金については、基金の料率36.5/1000を用いて算定した。 保険料率を算定する際に対象が適正化かどうかを確認した。 ⑤ 厚生福利費 厚生福利費については、社長、非正規職員1名を加えていることを確認した。 保健・衛生については健康診断が含まれていたので、実績を加味して算定し、その 他については、慰安、娯楽、スポーツに係るもの及び従業員等の飲食代は対象外とし た。 なお、平成28年1月25日 日本経済団体連合会「第59回福利厚生費調査結果報告 平 成26年度(平成26年4月~27年3月)」の規模区分別法定外福利費(合計)の金額に原 価算定期間の月数を乗じて得た金額17,321円/人・月と比較し、超えていないことを 確認した。 ⑥ 雑給 雑給対象職員の勤務時間が一定していないため、3年間実績の平均時間数に、平成 28年9月の時間単価を乗じて算定することは妥当である。 《査定結果》 1.役員給与 明確な根拠が示されない原価算定期間中の月収41千円増額計上分については、料金原 価から減額する。 ・・・148千円(3年平均) 2.給料 新規採用者の人件費については、直近(平成27年度)の業務量と比較し、0.85人分を 超える金額については、料金原価から減額する。 ・・・793千円(3年平均) 3.賞与手当 合理的な説明が成されない原価算定期間中の増額計上分について、過去実績(平成25 ~27年度)の平均を超える金額については、料金原価から減額する。 ・・・75千円(3年平均) 4.法定福利費 雇用保険料の算定に社長が含まれていたので、その費用を料金原価から減額する。 ・・・2千円(3年平均) 5.厚生福利費 慰安、スポーツに係る経費のうち、ガス事業遂行のために必要と認められない費用に ついては、料金原価から減額する。 ・・・83千円(3年平均) 計 1,100千円料金原価から減額する - 6 - 2.原材料費 (1)原材料費の概要 原材料費は、ガス製造に直接要する費用であり、原料費(液化天然ガス、液化石油ガ ス等)、加熱燃料費及び補助材料費の3営業費項目で構成されている。 (2)申請の概要 (千円) 実績 申請 (H25-27平均)(H29-31平均) 原 料 費 62,655 39,000 加熱燃料費 801 620 補助材料費 - - 63,456 39,620 計 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 ① 原料の使用量 過去3年の販売量に減損量を加え、生産ガス量に対する原料の使用割合を計算し、 原価算定期間の生産ガス量(販売量+減損量)に乗じて原料使用量を算定した。 原価算定期間の減損量は過去3年平均の減損割合と平成27年度の減損割合を比較 し、低い平成27年度の減損割合を妥当とする。 なお、申請書では原料使用量を2,526トンで計算しているが、上記に基づいて算定 した使用量は2,447トンとなることを確認した。 ② 原料の購入価格 原料の購入単価は基準平均原料価格算定表に記載されている平成28年4月から平成 28年6月の購入単価(単純平均48.689円/kg)であるが、原料単価は46.318円/kgに より算定していることを確認した。 このため、原料使用量2,447トン×購入単価48.689円/kg=119,145千円を上回る額 を減額する。 ③ 調達コスト削減に向けた取組の実施状況 原料調達に当たっては4社から見積を徴収し、単価の一番安い1社から8割を調達 し、残りの2割を取引継続の観点から他の3社から調達していることを確認した。 ④ 加熱燃料費 加熱燃料費については、過去3年の全ガス量に対する加熱燃料使用量を算定し、原 価算定期間の全ガス量を乗じて原価算定期間の加熱燃料使用量(31トン)に原料購入 単価(単純平均48.689円/kg)を乗じて得た値(1,514千円)上回る額を減額する。 《査定結果》 加熱燃料費については、使用量を過大に算定していたので、再算定した数量により求 めた金額を超えるものについて、料金原価から減額する。 ・・・116千円(3年平均) 116千円料金原価から減額する - 7 - 3.設備投資関連費用 (1)レートベースの概要 事業報酬は、設備投資等の資金を調達するために要するコストであり、銀行等から借 入金や社債に対する支払利息や発行株式に対する配当金等を賄うもの。 ※レートベースとは、固定資産投資額、運転資本及び繰延資産の残高の合計額をいう。 (2)申請の概要 (千円) 申請 (H29-31平均) 固定資産投資額 運転資本 303,159 営業費等 14,980 製品、原材料及び貯蔵品 19,514 計 34,494 繰延資産の残高 - 合 計 337,652 (3)検討の結果 レートベース、減価償却費 (ア)固定資産関連費用 固定資産関連が、ガス事業者の運営にとって真に必要不可欠なものであるかにつ いて、先行投資設備、不使用設備、予備/予備設備、建設中の資産等を確認したと ころ、以下の項目についてレートベースから減額する。 (固定資産) ・業務設備の土地でガス事業で必要としない土地 ・使用見込みの無い、熱量変更時に使用した事務用機器等 上記の考え方に基づき、レートベースから減額した資産に係る事業報酬額、減価 償却費、固定資産除却費等の営業費用は、料金原価への算入を認めない。 (イ)運転資本 営業資本及び貯蔵品(導管材料等の貯蔵品であって一般ガス事業に係るものの年 間払出額に、原則として12分の1.5を乗じて得た額)については、算定省令に基づ き算定されていることを確認する。 このほか、設備投資や営業資本算定の前提となった個別の料金原価項目において 減額査定が行われた場合には、これに応じてレートベースから減額する。 ② 設備投資計画 設備投資計画は、製造部門、供給販売部門及び業務部門の設備の拡充・改良に係る 工事計画であり、減価償却費や事業報酬等の算定基礎となるもので、ガス事業者の運 営にとって真に必要不可欠なものであるかについて確認した。 《査定結果》 1.事業報酬(レートベース) 土地については、本社社屋敷地内の洗車場及び充電スタンドの用地を特定し、料金原 価から減額し、工具器具備品については、使用見込みが無い熱量変更時に使用した事 務用機器等を、料金原価から減額する。 ・・・34千円(3年平均) 2.運転資本 算定誤りによる過大計上分については、料金原価から減額する。 ・・・163千円(3年平均) 計 196千円料金原価から減額する - 8 - 4.事業報酬率 (1)事業報酬率の概要 ① 総括原価方式による料金規制 公共料金による規制は、国民生活上の必要財について ・ その財の安定的な供給の維持・確保を図るために、その供給に要する費用の回 収を確実にする一方で、 ・ 当該供給事業者が過度の利益を得ることを防止することにより使用者の利益を 保護するという両面の観点から行われている。 ② 適正な利潤(事業報酬) (ア)事業を継続的に実施するには、かかる費用を適切に回収するのみならず、資金 を円滑に調達する必要があり、この資金調達に要するコストが「資本コスト」で ある。一般ガス事業者は、この資金を調達するための費用を何らかの形で料金か ら回収できなければ、資金調達に支障が生じるため事業を継続することができな くなる。 (イ) 企業は、1)銀行等からの借り入れや社債の発行による調達(他人資本)、2) 株式の発行等による調達(自己資本)のいずれかの手段により資金調達を行うが、 銀行・社債等の債権者にとっては負債利子率、株主にとっては自己資本利益率以 上の収益率が見込まれれば、企業は継続的かつ円滑に資金調達を実施することが 可能となるため、ガス事業法においては、これらの収益率に相当する額を「適正 な利潤」(事業報酬)として料金による回収を認めている。 (2)申請の概要 算定省令及び審査要領を踏まえ、自己資本報酬率及び他人資本報酬率を実績に基づき 算定し、35:65で加重平均することにより算定している。 一般ガス事業者においては、東日本大震災前7年間の一般ガス事業者のβ値の平均値 (0.40)により算定した事業報酬率(需要家数30万戸未満の事業者:2.29%)となって いる。 ① 事業報酬率 事業報酬率は、審査要領上、算定省令第6条第3項の規定により算定されているか 否かにつき審査するものとされている。 (ア)自己資本報酬率 全ての一般ガス事業者を除く全産業の自己資本利益率の実績率に相当する率(以 下「全産業自己資本利益率」という。)を上限とし、国債、地方債等公社債の利回 りの実績率(以下「公社債利回り実績率」という。)を下限として以下の算式によ り各年度ごとに算定した値の直近7年間の値を平均した値とする(全産業自己資本 利益率が公社債利回り実績率を下回る場合には公社債利回り実績率とする)。ただ し、β値については、東日本大震災前7年間の全ての一般ガス事業者のβ値の平均 値を用いるものとする。 自己資本報酬率=(1-β)×公社債利回り実績率+β×全産業自己資本利益率 β値:ガス事業の事業経営リスク、市場全体の株式価格が1%上昇するときのガス 事業の株式の平均上昇率 β値=ガス事業の収益率と株式市場の収益率との共分散/株式市場の収益率の分散 (イ)他人資本報酬率 需要家数30万以上の事業者にあっては、需要家数150万戸以上の一般ガス事業者 の直近1年間の有利子負債の実績額に応じて当該有利子負債の実績額に係る実績利 子率を加重平均した値とし、需要家数30万未満の事業者にあっては、平均実績有利 子負債利子率を社債利子率の格付による格差により補正した値を用いるものとす る。 (3)検討の結果 事業報酬率については、算定省令及び審査要領等に基づき算定されていることを確認 した。 - 9 - 5.修繕費 (1)修繕費の概要 修繕費は、固定資産の通常の機能を維持するため、部品の取替え、損傷部分の補修、 点検等に要する費用である。 (2)申請の概要 (千円) 実績 申請 (H25-27平均)(H29-31平均) 製 造 費 1,408 329 供給販売費 3,741 4,246 一般管理費 184 314 ガスメーター - - 5,333 4,889 計 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 資材・役務調達コストの削減及び効率化努力 役務調達コストの低減目標を設定しているものの、東日本大震災を起因とする資材費 単価や労務費単価の高騰により、被災地のガス事業者が効率化努力を進めることが困難 な状況であることを確認した。 《査定結果》 1.算定誤りによる過大計上分については、料金原価から減額する。 2.レートベースから減額した不使用設備(事務用機器)等に係る修繕費は、料金原価か ら減額する。 ・・・121千円(3年平均) 121千円料金原価から減額する - 10 - 6.公租公課 (1)公租公課の概要 公租公課は、公租公課は、各税法等(事業税、固定資産税、道路占用料、自動車税、 法人税、地方法人税等)にのっとり、設備投資や需要想定等の前提計画に基づき算定。 (2)申請の概要 (千円) 実績 申請 (H25-27平均)(H29-31平均) 事 税 1,899 1,889 固 定 資 産 税 1,865 1,959 道 路 占 用 料 1,270 1,270 自 動 車 税 他 275 277 税 16,568 - 住民税(法人税割) 3,028 303 計 24,905 5,698 法 業 人 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 算定省令及び各税法に基づき算定されていることを確認した。また、前提諸元等、他 費目の査定に伴うものを料金原価から減額する。 《査定結果》 自動車税他については、車両更新に伴う租税等及び電波利用に伴う課金を過大計上し ていたため、その額を料金原価から減額する。 ・・・15千円(3年平均) 計 15千円料金原価から減額する - 11 - 7.その他経費・控除収益 (1)その他経費・控除収益の概要 その他経費は、設備の運転又は点検、警備、業務のシステム化、データセンターの運 用、口座振替関連等を他に委託する費用である委託費や事務所建物等の賃料(借地借家 料)等に係る費用である賃借料など15項目に分類される。 控除収益は、ガスを使用する場合に用いられる設備のリース、設置、運転又は保守並 びにガス漏れ警報器の販売又はリースに係る収益である営業雑益や支払期日を超えて支 払われるガス料金に係る遅収加算金等の雑収入に分類される。 【その他経費 (具体的な内訳)】 ① 電力料 支払電力料 ② 水道料 支払水道料 ③ 消耗品費 潤滑油、作業用消耗品、文房具等の事務用消耗品、消耗工具器具備品等 ④ 運賃 支払運送料 ⑤ 旅費交通費 ガス事業の運営にとって必要な会議等出席に用いる旅費等 ⑥ 通信費 電信・電話料、郵送費 ⑦ 保険料 火災保険、運送保険等の損害保険契約に基づいて支払う保険料等 ⑧ 賃借料 事務所建物等の賃料である借地借家料、事務機器等のリース料等 ⑨ 委託作業費 外部の者に設備の運転、保守及び事務作業を委託した場合の費用等 ⑩ 試験研究費 試験研究のための材料費、外部委託試験研究費 ⑪ 教育費 ガス事業に用いる技術能力向上を目的とする研修費や社員の基礎的能力の向上を目 的とする研修費等 ⑫ 需要開発費 ガスの新規需要開発及び使用合理化のための周知宣伝等の需要家サービス費用 ⑬ たな卸減耗費 原材料及び貯蔵品の保管又は運搬中に生じた破損、品質低下、陳腐化等による数量 損及び評価損 ⑭ 貸倒償却 ガスの供給販売において発生した債権の貸倒額及び貸倒引当金を計上した額 ⑮ 雑費 会議費、諸会費、交際費等他の費用に属さないもの - 12 - (2)申請の概要 (千円) 実績 申請 (H25-27平均)(H29-31平均) 実績 申請 (H25-27平均) (H29-31平均) 電 力 料 1,928 2,209 営業雑益 1,034 13,610 水 道 料 47 45 雑 収 入 1,468 1,468 消 耗 品 費 7,073 7,593 計 2,501 15,078 賃 5 - 旅費交通費 806 1,151 通 信 費 483 365 保 険 料 1,080 1,194 賃 借 料 5,865 5,824 委託作業費 13,374 4,209 試験研究費 - - 費 486 568 需要開発費 20,227 1,959 たな卸減耗費 81 - 貸 倒 償 却 178 22 11,450 3,866 63,083 29,005 運 教 育 雑 費 計 ※単位未満の四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。 (3)検討の結果 ① 電力料 需給契約内容を確認し、過去実績の使用量を上回る部分の合理的な説明が出来ない 電力使用量を認めない。 電力料は、電力使用量に最新の単価により算出した値をもって確認した。 ② 水道料 契約済みの需給契約内容を確認し、過去実績を上回る部分の合理的な説明が出来な いものを料金原価から減額する。 ③ 消耗品費 資産計上しないガスメーターの修理について、検満取替計画及び新設取付計画によ り算定した結果から上回る部分を料金原価から減額する。 上記以外の費用は、過去実績を上回る部分の合理的な説明が出来ないものを料金原 価から減額する。 ④ 旅費交通費 旅費支弁に係る内規等を確認し、過去実績を上回る部分の合理的な説明が出来ない ものを料金原価から減額する。 ⑤ 通信費 当該費用の必要性を確認し、過去実績を上回る部分の合理的な説明が出来ないもの を料金原価から減額する。 ⑥ 保険料 現行の契約内容を確認し、現行契約を上回る部分の合理的な説明が出来ないものを 料金原価から減額する。 ⑦ 賃借料 土地建物賃借料でガス事業の運営上必要不可欠な施設であることの説明が出来ない ものを料金原価から減額する。 上記以外の費用は、個別の契約内容を確認し、現行契約内容を上回る部分の合理的 な説明が出来ないものを料金原価から減額する。 ⑧ 委託作業費 個別の契約書等を確認し、ガス事業の運営上必要不可欠な業務であることの説明が - 13 - 出来ないものを料金原価から減額する。 教育費 研修会、講習会の内容を確認し、過去実績を上回る部分の合理的な説明が出来ない ものを料金原価から減額する。 ⑩ 需要開発費 新聞、テレビ及びラジオCM等による広告については、需要家にとってガスの安全 に関わる周知といった公益的な目的から行う情報提供のみ原価算入を認めるが、ガス の販売を単純に拡大するための目的については、内容を確認の上、料金原価から減額 する。 ⑪ 貸倒償却 貸倒の回収努力を確認し、適正な貸倒額である場合は原価算入を認める。 ⑫ 雑費 寄付金、団体費及び飲食代等は、ガス事業の運営上必要不可欠な費用であることの 説明が出来ないものを料金原価から減額する。 ⑬ 営業雑益 平成28年度に増区した需要想定に基づいて適正に算定されていることを確認した。 ⑭ 雑収入 過去実績等に基づいて適正に算定されていることを確認した。 ⑨ 《査定結果》 1.電力料 直近(平成28年10月~12月)の電力料金レート(燃料費調整含む)により算定した結 果で、過大計上されている分については、料金原価から減額する。 ・・・826千円(3年平均) 2.消耗品費 ガスメーターに係る費用は、整備計画書の数量及び単価を精査した金額により、過大 計上分を料金原価から減額する。 上記以外に係る費用は、過去実績を上回る部分を料金原価から減額する。 ・・・2,476千円(3年平均) 3.旅費交通費 過去実績を上回る部分の合理的な説明が無いため、料金原価から減額する。 ・・・87千円(3年平均) 4.通信費 過去実績を上回る部分の合理的な説明が無いため、料金原価から減額する。 ・・・38千円(3年平均) 5.教育費 新規採用者向けの講習会等の内容が不明瞭且つ費用が過大計上されていたため、料金 原価から減額する。 ・・・107千円(3年平均) 6.雑費 団体費及び交際費等に係る費用については、「基本的な考え方(1)⑥」に示された 考え方に基づき料金原価から減額する。 ・・・1,272千円(3年平均) 計 4,806千円料金原価から減額する - 14 - 8.ヤードスティック査定 供給等約款料金を認可するに当たっては、料金原価に関し、ガス事業法第17条第2項 第1号に基づき、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたも のであること」が求められる。審査要領では、営業費については、「営業費項目ごとに、 料金認可時に原価として認めることが適当であるか否か、また、申請一般ガス事業者が適 切な効率化努力を行った場合における経営を前提として算定した額であるか否かにつき審 査するものとする」とされている。 (1)目的等 比較査定は、地域独占状態にあるガス会社に効率化努力を促すための競争環境を創出 させることを企図とした制度である。 (2)比較方法 各社の効率化への取組を原価算定期間中の単価水準(設備投資関連費用及び一般諸経 費の2つの原価項目群に区分し、それぞれの単価水準(円/m3))及び単価変化率(原 価項目群毎の単価水準の前回改定からの変化率(%))を総合的に勘案して、相対的に 評価し、効率化努力目標額としてふさわしい額を設定する。 (3)効率化努力目標額の設定 効率化努力目標額は、個別査定の結果、料金原価項目ごとの合理性・妥当性を検証済 みであることを踏まえ、ガス各社の一層の効率化を期待し、これにふさわしい額を次の とおり設定。 第Ⅰ類 原価算定期間における効率化への取組が相対的に大きい会社 →効率化努力目標額は設定しない。 第Ⅱ類 原価算定期間における効率化への取組が平均的水準にある会社 →対象原価の0.5%相当額を目標額に設定 第Ⅲ類 原価算定期間における効率化への取組が相対的に小さい会社 →対象原価の1.0%相当額を目標額に設定 (4)比較対象となる料金原価 ① 設備投資関連費用 減価償却費、事業報酬(固定資産に係るもの)、供給管費用(消耗品費に計上され ているもの)、賃借料、固定資産除却費、控除項目のうち償却費、支払利息等に相当 する項目 ② 一般諸経費 労務費、電力料、水道料、消耗品費(供給管費用を除く)、運賃、旅費交通費、通 信費、保険料、委託作業費、試験研究費、教育費、需要開発費、たな卸減耗費、貸倒 償却、雑費、控除項目のうち比較対象除外項目に相当するもの及び設備投資関連費用 としたもの以外のすべての項目 (5)比較査定 料金の低廉性と効率化の努力の双方を評価するため、単価の水準・変化率を総合的に 評価する。具体的には、審査要領に基づき算定する。 《査定結果》 個別査定終了後の料金原価を用い、一般ガス事業者間の効率化度合いを比較した結果、 相馬ガスは第Ⅲ類となった。 このため、自主効率化努力のうち設備投資関連費用として622千円、一般諸経費と して469千円を料金原価から減額する。 ・・・1,091千円(3年平均) 1,091千円料金原価から減額する - 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