源泉所得税の納期の特例、 「常時」の考え方

○ Zeimu information
July
2015
源泉所得税の納期の特例、
「常時」の考え方
7月は、源泉所得税の納期の特例による、半年に1度の源泉所得税
の納付時期です。今回は、この特例についてお届けします。
源泉所得税の納期の特例
給与を支払う事業者は、原則としてその給与を支払う際に源泉徴
収を行い、支払った月の翌月10日までに源泉徴収税額を納めなけれ
ばなりません。しかし、その給与の支払を受ける者が常時10人未満
である場合には、申請書を提出することで、支払った月の翌月10日
までではなく、それぞれ次の期間内の源泉徴収分について、それぞ
れ次の納付期限にまとめて納めることができる制度があります。こ
の制度のことを「源泉所得税の納期の特例」といいます。
源泉徴収期間
納付期限
1⽉1⽇ 〜 6⽉30⽇
7⽉10⽇まで
7⽉1⽇ 〜 12⽉31⽇
翌年1⽉20⽇まで
この制度の対象となるのは従業員等への給与、退職手当の他、税
理士や弁護士等に支払う報酬・料金に対して源泉徴収した所得税及
び復興特別所得税になります。そのため、たとえば株主へ配当を支
払う際の源泉徴収は、この制度の対象になりません。
「常時10人未満」の考え方
たとえばこの制度を適用している事業者が、繁忙期の11月と12
月にアルバイト2名を雇ったことで、給与の支払を受ける者が11月
と12月に10人となった場合、11月と12月の給与支払に係る源泉徴
収について、この制度を適用できるでしょうか。
給与の支払を受ける者の数(人)
15
12
9
6
3
0
10⽉
11⽉
12⽉
1⽉
2⽉
このケースであれば、11月と12月についても制度の適用を受け
ることができます。「常時」とは “平常の状態”をいい、臨時的
な雇用による一時の増加は、適用に影響を及ぼしません(所基通
216-1)。ただし、その後もアルバイト2名を雇い続けて給与を支
払う場合には、臨時的な雇用が常態化していることになりますの
で、この制度を適用することはできません。
松川会計事務所