平成27年度 京都府サービス管理責任者研修 事前課題「記入の手引き」(児童分野) この研修では、限られた時間を有効に活用し、有意義な内容とすることを目的に、事前課題の作成を 課しています。演習で使用する事例(分野ごとに異なります)を充分に読み込み、手引きに従って事前 準備をして分野別演習に参加してください。分野別演習は、すべての受講者が事前課題を作成、準備し ていることを前提に進めます。 【事前課題 1 について】 1.事例の読み込み まずは、各分野別で示された演習事例を充分に読み込んでください。サビ管研修では、事業(所)を想 定した個別支援計画を作成していきますが、生活の全体像や人物像、これまでの生活やこれからの生活 など、総合的に生活を把握する視点で事例を読み込んでください。 ◎事例の確認のポイント ・マーキングやアンダーラインをひきながら読み込む →できているところとできていないところ、強みと苦手、得意と不得意等を色分けしてもいい ・主語を明確にし、意識する → 誰のことば、思いなのか ・事実と思いを分ける ・全体と部分の両方を押さえる ↓ 「課題(ニーズ)の整理」につなげる (H27年度サービス管理責任者等指導者養成研修【児童分野】資料より抜粋) 2.利用者のストレングス 個人および環境のもつストレングスを書き出します。つまり、個人のストレングスとしては、本人の 持つ強み、できること、持っているもの等を、環境のストレングスとしては、環境の持つ強さ、生活す る上での有利な条件、キーパーソンを含む人的環境の存在などを書き出してください。 その際、事例の中に出てくるキーワードや本人の言動、場面などを抜き書きすることを基本に、事例 から類推できること(根拠が必要)についても合わせて書き出してください。 3.本人の望む生活(本人の望みと家族の意向) 事例から読み取れる「本人の望む生活」について書き出します。ただし、事例の中には「○○のよう な生活をしたい」とは明確に現れない場合がありますので、本人の望む生活(実現したい具体的な項目) を書き出してください。児童分野については、利用者の特性上ご家族の意向の反映が前提にもなります ので、本人の望みと平行して、家族の意向についても書き出してください。他分野については、家族の 意向を書き出しても構いませんが、例えば( )書きで(母)と明記するなど、本人ではなく家族の意 向であることが分かるように記入してください。 その際、上記 2.同様、事例の中に出てくるキーワードや本人の言動、場面などを抜き書きすることを 基本に、事例から類推できること(根拠が必要)についても合わせて書き出してください。 1 4.サービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)を目指す私として気になること この項には、事例の読み込み、ストレングス、本人の望む生活や家族の意向(つまり上記 1.~3.を通 じて整理したこと)を踏まえ、サビ管(児童管)の立場から考えた時に気になることを書き出します。 例えば、事例に文字としては現れていない隠れた要望やニーズ、予想される状況の変化やその時に生じ るであろうニーズ、明確には示されていないが推測される家族の意向や反応(行動や態度)など、ケー スを把握し、計画を立て、支援を実施していくことを想定した際に気になること、留意しておいたほう が良いと思われることについて書き出してください。 尚、この項目については、共通講義その他で学んだ「サービス管理責任者の役割と責務」や「サービ ス提供のプロセス」を踏まえて作成して下さい。 【事前課題2について】 1.別紙の事前課題 No.2に、貴事業所の現状と課題を記入してください。 (必ず各項目を記入してください) 貴事業所の評価や方針等、昨年度の事業報告や今年度の事業計画の内容に沿うことを記入してくだ さい。一方では、事業所内のスタッフと検討を重ねたうえで、記入していただく必要がある項目も ありますので、個人的な思いだけにならないようにしてください。 直接児童関係の事業所に所属していない場合は、協力して頂ける事業所を訪れ、その事業所の評 価を児童発達管理責任者と共に行ってください。また、これから事業を開始する予定の場合は実施 予定の内容を記入してください。 2 平成27年度 京都府サービス管理責任者研修 (児童分野)事前課題 受講番号: 事業所名: No.1 氏名: 課題:事前に提示された演習事例を読み込み、以下の表の空欄部分を埋めてください。尚、事前課題は グループメンバーで共有しますので、8部をコピーして当日持参してください。 ※8部の内2部は講師及び事務局保管用です。 利用者のストレングス(強み、できること、持っているもの等) 個 環 人 境 本人の望みと家族の意向(実現したい具体的な項目) 本 家 人 族 の の 望 意 み 向 「児童発達支援管理責任者を目指す私」として気になること 3 情報提供 1 相談受付とプロフィール *(H27年4月の時点でのプロフィール 6歳10ヶ月時) 氏名 M・S 性別:男 診断名 自閉症スペクトラム 医療情報 特記事項なし 身長:112.3㎝ 生年月日:平成20年6月 体重:16.6㎏ 頭囲:50.5㎝ 胸囲:53.2㎝ 生育暦 妊娠時:早期破水。在胎36週 体重1680g 身長42㎝ 頭囲31㎝、未熟児、保育器90日、定頚0:4 座位0:11 始歩1:6 家族構成 母、兄、姉の4人家族。 家族状況 母親について:悩みがあるとすぐに誰かに話をすることがで き、やり方や方向性が決まるとサービス利用の手続きなど、 すばやく対応する。一つのことが気になると、納得いくまで多 くの人に尋ねていくのだが、却って混乱してしまうところがあ る。おしゃべりし出すと長くなるため、少々敬遠気味になる他 の子の母親はいる。本児の普段の様子などは、細かく観察し ており、しかも嬉しそうに報告する。 会社員。正規での就労。およそ、10時から大体18時までの 就労。休みは月曜日。家事は苦手!とのこと。 兄について:中学二年生。中学一年の秋くらいから、学校へ の行きしぶりが出てきて、時々休んでいる。登校しても、別室 で過ごすことは多いとのこと。高校には行かずに働く!と言っ ている。母親の心配の種であり、何とか進学はさせたいと思 っており、よく口げんかにはなるとのこと。 姉について:小学校三年生。大人しく、内気なところがある。 一人で遊びに行くことはなく、親と一緒に行動したがる。母親 としては、自分と違って何でもさっさと行動できないことが、じ れったいとのこと。事業所スタッフは、何度か会って話したこ とはあるが、今はよくしゃべり、むしろ明るく外交的なイメージ を持っている職員もいる。 父親について:本児が就学する前に離婚。とにかく仕事が忙 しく、毎日のように午前様の帰り。休みの日もない状態であっ た。 4 利用状況 他機関の 利用や、 連携につ いて 家庭環境 週3日(火・水・金)、学校の放課後等デイサー ビスを利用。送迎は事業所の車を利用。(学校に 迎えに行き、家まで送っている。) 一年生から利用している。日課としては、水分補 給・室内自由遊び⇒二グループに分かれて、散歩 (地域の公民館・公園)または、室内ゲームか絵 画⇒子どもごとに選択できる活動タイム(パソコ ン、クッキング、粘土遊び(土)、感覚運動遊 び)⇒片づけ・掃除⇒帰りの会 所沢相談支援専門員とは就学してからの付き合い。 母親の信頼は厚い。兄・姉の相談にも乗ってもらって いる様子。 〇〇障害者療育センターには、2歳のころから二カ月 に一回通い、PTの訓練を受けているが、連れて行って もMくんは車から降りようとしないことも多く、「いつまで 行った方がいいのでしょうか?」と母親は言っている。 就学まで外来療育で利用していたG児童発達支援セ ンターでは、二カ月に一回ある親向けの相談会に行く こともあり、そこのH言語聴覚士にもよく相談している。 就学前は、そのセンターの保育所等訪問事業も利用 してきた。通っていたW保育園にも、時折親子で顔を出 しに行くとのこと。 貸家。二階立ての3DK。Mくんは、一階で主に過ごし、 寝室兼、遊び場となっている。二階は一つは兄の部屋。 一部屋は姉とのMくんの部屋としているが、姉も一階 で過ごし、一緒に寝ているので、物置代わりになって いる。Mくん用の玩具はそこそこあるが、祖父母が買っ たものがほとんどで、Mくんが楽しめるものはあまりな いとのこと。あちこちに柵や、鍵が施され、柱などには クッション・パットを設置。安全面には気を遣ってきた様 子。庭はあるが、先日訪問した時も草がよく生えており、 そこで遊べる雰囲気ではない。住宅街だが、玄関前は 車の通りは決して少なくはない。 情報提供 2 事例の説明 *小学二年生 6歳10ヶ月、平成27年4月時点の状況を、演習では初回のアセスメントとします。 事例について 1歳半健診後に発達の遅れを指摘され、すぐにG児童発達支援センターを紹介された。すぐに外来療育等指導事 業を週一日のペースで開始。1歳10か月の時に公立の保育園に入園。卒園後は、地元の小学校の特別支援学 級に就学。当事業所は、昨年一年生の4月から利用。今年度で2年目。 支援体制 について 当事業所送迎車を利用。事業所の利用者は、日々10~15名。契約者は50名。(小38名、中9名、高3名で、 契約のみの人は2名だけ。)日々の直接支援スタッフは、4~5人。(常勤は必ず3名以上。後はパート職員)日 曜・祭日は休み。 事例における 当事業所を利用 するまでの状況 平成26年度 4月における 母親からの要望等 G児童発達支援センター及びW保育園の職員、相談支援専門員とともに、一昨年10月に当事業所を見学。市内 のいくつかの事業所を見て回ったとのこと。当事業所が、保護者との懇談の機会を随時設定していること、保護 者向けの有識者を招いての勉強会や、集いが充実していること、常勤職員が多くいること、設備も整っていること、 何より子どもへの接し方が、とても良かったとの感想をいただき、放課後は当事業所を中心にスケジュールを組 んでいきたいと、相談支援専門員から翌年一月には伝えられた。 当事業所の方針により、週に三日以下の利用としているため、(就労支援も大切だが、子育ちの支援をメインとし ていきたいため、また一事業所で抱え込まず、他事業所とも連携して支援していくため。)利用日は昨年から、週 に三日としている。 当事業所の利用が決まるまでは、相談支援専門員を中心に3度個別支援会議が実施され、そのうちの一度は、 参加した他の放課後等デイサービスも含め、事業所の自己アピール(プレゼンテーション)の機会があった。また、 お試しとして、計5回昨年三月までに受け入れを行った。 年に四回、保護者の方からのご要望等を確認しているが、今回は次のような話があった。 *家に帰ってからも、「すらり」を利用した時は落ち着いている。ある事業所の帰りは、不安定な時もある。ここの 利用を増やせないのか。 *Mくんの兄や姉のことでも悩みがある。特にお兄ちゃんのことでは、中学校の先生とは話し合いをするたびに落 ち込んでしまう。 *W保育園で過ごした子どもは、みんなMくんのことをよくしてくれた。小学校では、思ったより交流する機会がな いため、残念に思っている。昨年度の秋に、特別支援コーディネーターの先生に、特別支援学校に転校する方が Mくんのためではないかと言われ、今のままでお願いしますと伝えたところ、納得してもらったが、まだそのことは 整理できておらず、悔しい気持ちが残っている。 5 情報提供 3 事例の発達の状態 項目 日常生活 の技能 健康 体調 運動 機能 認知 理解の 仕方 状 態 状 態 食事は、まだ手づかみが目立っている。食べることができるものが限られている。着衣について、ファスナーの開閉が上手になってきたが、完全に は一人で開けきれない。排泄については、事業所では職員の手を引いて一緒にトイレに行こうとする。関心のあるものを見つけると、さっと走り出す ことがあり、外出の時は目を離さないようにしている。 とても元気で、学校、事業所共にまず休むことはない。水分の補給は、事 業所では定時に勧めている。事業所内の設備はほぼ頭に入っているよう で、転倒することもなく、壁伝いに歩くこともなく、元気に走り回る場面もよ く見られている。 三輪車にまたがって、床をけって前に進む。ジャングルジムに はよじ登ることはできるが、あまり高いところまではいかない。 降りるときは、足首を直接持って誘導することが必要。 積み木つみ=3~4個は可能。最高5個!設置された太めの針 金におはじき(穴付き)を通していくことは、針金の先がよく見えて いるかのように、スムーズに通していく。 「お片付け」「ゴミ捨てて」「カバンをかけます」といった声かけにさっと 反応することはある。公園に行くときは写真を見せているが、何度か 写真を手に取って眺め、靴を履こうとしないことがあった。そこに行く 気分ではなかったと解釈はしている。 対人 関係 学校では運動会などの練習でも、笑顔で過ごしており、たくさん の子どもに囲まれることを、楽しんでいるとのこと。事業所では、 よくスタッフの膝に座るなど、スキンシップを求めてくる。 興味 関心 水遊びは大好き。音楽をかけながらのペープサートや、歌を歌いな がら見せていく絵カードの時は、着席も良く、自由時間に本人から やってくれと手渡してくることもある。車の通りの多い道路を歩いてい ると、道路に向かってピョンピョン跳んで、嬉しそうにしている。 その他、 特記事項 項目 平成27年4月時点の状況 感覚 ブランコでは揺らしている途中で手を放すことがあったため、 あまり大きく揺らさないようにしているが、前後の揺れは好き な感覚。回転系になると、すぐ降りてしがみついてくる。泥、ス ライム粘土遊びは大好き。 道具 の 操作 砂場遊びの時、小スコップを使って、バケツに砂を入れて いく。ボタンタッチで回す光るコマが好きで、何度もやりた がる。回して開ける鍵の操作ができだした。注意が必要。 移動 外出の時は手をつなぐようにしている。以前は手を振り払うこともあった し、道路に座り込むこともあったが、今は少なくなった。信号待ちの時、 待てないところがあり、職員がしゃがみ、膝の上に座らせている。 表現の 仕方 有意語は特にない。涙を流して泣く時も、ほとんど声になっていない。 やってほしいことがあると拍手をすることは多い。このところ、しつこく訴え てくることが出てきたが、袋・箱を持ってきて開けてくれと要求すること以 外では、何をどうしてほしいかわかってあげられないことも多い。 集団 参加 事業所で行う小集団でのルールのある遊びには参加できないが、わりと 決まったところに座って、その雰囲気を楽しんでいる様子は見られる。集 いの場面では、声をかけるとしばらく一緒に座っていることはできる。 好きなタ イプ・嫌い なタイプ ダイナミックに関わってくれる男の人は好んでいる。手荒にくすぐっ たり、じゃれ合うと、もっとやってくれと付きまとっていく。指示の多 い人、しつこく声をかけてくる人は、どうも苦手な感じではある。 外出中は、その時にMくん自身がその都度のメンバーで、一番頼りにするスタッフに寄り添って歩く。急な飛び出しなどはない。不思議と、ちょっとし た段差につまづくことはないが、ボンヤリとしか見えていないはずということなので、今後も注意は必要。特に慣れない場所で、テンションが上がって いる時は、要注意。 6 提供情報 4 発達の評価 平成27年4月時点の状況 使用検査:KIDS 乳幼児発達スケール(TYPE T) 記入日 H27年 4月○日 記入日:平成27年4月〇日 H20年 生年月日 6月 ○日 領域 運動 操作 理解言語 表出言語 概念 対子ども 社会性 得点 20 17 12 8 1 4 発達年齢 1歳10ヶ月 1歳6ヶ月 1歳0ヶ月 0歳8ヶ月 1歳3ヶ月 1歳6ヶ月 得点合計 92 1歳4ヶ月 総合発達年齢 6歳10ヶ月 生活年齢 対成人 社会性 しつけ 食事 14 3 13 1歳3ヶ月 1歳7ヶ月 1歳1ヶ月 総合発達指数 20 「KIDS」について スクリーニングタイプで、「母親記入式」であるが、当事業所で記入。事業所での姿を見ながら各項目を評価したが、チェックできなかったことについては、 母親及び、他事業所、学校の担任の先生、相談支援専門員に尋ねている。 その他:補足 特別支援学級(知的障害)に在籍。担任1名と教育支援員という方が二人おり、1年生二人・本児・4年生・6年生の計5 人の児童が在籍。交流の機会は、職員の手がある時に、一年生の時と同様、給食、体育、音楽には参加させるという話 が母親にはあったようだが、1年生が二人入学することもあり、当面は様子を見て交流の機会を再開しますとのこと。授 業中、教室から飛び出すことはないが、校内の移動中に、いつの間にかいなくなり、姉の教室に入っていたことが数回 あるとのこと。 学校の長期休暇中は、他の事業所は朝から夕方まで対応しているが、当事業所は9時から12時、あるいは13時から17 時としているため、他のサービスとの併用が必要になる。 保護者学習会の時などの時は、できるだけ母親は仕事をやりくりして、参加している。気付いたことや、聞きたいことが ある時は、仕事の休み時間などを利用して、よく連絡してくる。 7
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