平成 27 年度 建築学科オリエンテーション実施報告書 平成 27 年 6 月 2 日 舘林美術館の前にて、集合写真 建築学科1年生を対象として、下記の通りオリエンテーションを実施しましたのでご報告いたします。 【開催概要】 実施日:平成27年5月8日(金)、9日(土) 目 的:特定地域の建築および都市に関する優れた事例を見学しつつ、教員・新入生相互の親睦を深め、 後学に役立てることを目的とする。今年度は群馬県内を訪問地域に定め、著名建築を見学した。 参加者:84 名 学部 1 年生(56 名全員)、大学院 1 年(14 名)、院 2 年(1 名)、教員(11 名)、職員(2 名) 【見学地詳細】 ① 正田醤油株式会社 本社屋(住所:群馬県館林市栄町 3-1) ② 群馬県立舘林美術館(群馬県館林市日向町 2003) ③ 太田市立休泊小学校(群馬県太田市龍舞町 3816-3) ④ 群馬県立近代美術館(群馬県高崎市綿貫町 992-1 群馬の森公園内) ⑤ 高崎市美術館 旧井上房一郎邸(群馬県高崎市矢島町 110-27) ⑥ 鬼石多目的ホール(群馬県藤岡市鬼石 158) 【プログラム】 1日目 8 日 (金) 9:00 前橋工科大学 集合 10:00-12:00 ①正田醤油記念館(館林市)見学 (昼食:西の洞/館林市) 13:30-15:00 ②館林美術館(館林市)見学 15:30-16:30 ③休泊小学校(太田市)見学 17:30 つつじが岡パークイン(館林市)チェックイン 18:00-20:00 夕飯/施設内にてバーベキュー および教員紹介、懇親会 20:30-22:00 入浴 23:30 2日目 点呼・消灯 9 日 (土) 7:30-8:30 朝食 8:30-9:00 荷造り、チェックアウト 10:00-12:00 ④群馬県立近代美術館(高崎市)見学 (昼食:お弁当/ぐんまの森) 13:30-15:00 ⑤高崎市美術館 旧井上邸(高崎市) 15:30-17:00 ⑥鬼石町多目的ホール(鬼石町) 18:00 前橋工科大学 着。解散 【見学内容】 各所では約20分ほどのスケッチタイムを取り、生徒が思い思いの場所でスケッチを行った。この時間 は、モノづくりをするうえで大切な「手を動かす」行為が生徒の身につくように、昨年から取り入れて いる。 ① 正田醤油では、設計者である正田亨氏(北の木設計)に建物を解説していただいた。また、蔵をリノベ ーションした建築であるため、建物の保存という観点から、当大学の星学長からもお話を伺った。 ② 舘林美術館では行動をお借りすることができたため、そこで石田教授から意匠分野の、関教授から構 造分野、三田村准教授から設備分野のお話をじっくりと伺うことができた。一つの建物に関して、様々 な分野からの専門で黄なお話を伺うことは、総合的な視野を必要とされる建築設計の分野では大変重 要なことである。1年生にとって大変貴重な時間になった。 ③ 休泊小学校では、設計者である当大学の宮崎教授から設計の背景や設計意図を伺った。また、小学校 の校長および教頭両名からも休泊領学校の歴史や現在建物の空間がどのように小学生に利用されて いるのかを伺うことができた。建物の利用者によって空間の利用方法は変わっていくため、かならず しも設計者の意図通りに空間が使われない場合もあるが、それ以上に、自らの作った建物(空間)のよ りよい活用法を利用者が発見してくれる場合もあり、それは設計者にとってとても幸せなことだとい うお話を伺った。設計後、建物がどのように使われ、どのようなメンテナンスが必要か、設計をして 終わりではないことを学ぶことができた。 ④ 群馬県立美術館では、館長および学芸員の谷内氏から建物の解説、また、普段は入ることができない バックヤードを案内していただいた。美術館には、作品を展示して訪問者が歩き回る表の動線と、ス タッフルーム、そして作品を保管する収蔵庫などの裏の動線が存在する。そういった複雑な空間を、 シンプルに計画する工夫が必要である事をこの見学で学ぶことができた。 ⑤ 高崎市美術館所有の旧井上房一郎邸は、世界的にも大変著名な建築家であるアントニン・レーモンド が自邸兼事務所として設計した建物を模した建築として知られている。この見学は、著名な建築家が 考える心地よい空間の意匠・広さの作り方のテクニックを学ぶだけでなく、戦後の材料が乏しい中、 そこにある材料でより良いものを作る工夫を学ぶための見学であった。 ⑥ 鬼石多目的ホールでは、藤岡市の職員から、計画、コンペティション、市民との話し合い、施工、そ して現在の利用状況までを詳細にお話しいただいた。公共の施設というと、巨大な建物を思い浮かべ がちだが、この鬼石のホールは空間の半分を地下に埋めているため建物のボリュームが小さい。著名 な建築家による設計で町おこしの一助を、ということで計画された建替えであったが、現在は建物の 維持管理に膨大な費用が必要な事態となっており、ライフサイクルコストを考える点で大変参考にな る見学であった。 【見学の様子】 ① 正田醤油での設計者による解説/ロビーの見学/オフィスホール部分の見学 ② 舘林美術館見学の様子 ③ 休泊小学校での校長先生からのお話/メインホールの螺旋階段の見学 ④ 群馬の森県立美術館エントランスホールで館長からお話を伺う/作品保管庫の見学の様子 ⑤ 旧井上邸で学芸員の話を伺う/市立美術館館長からお話を伺う ⑥ 鬼石多目的ホールでの見学の様子 【改善点】 1)事前の勉強会で、カメラのアングルや撮影方法についてレクチャーする。 2)建物引率の担当者は見学先での撮影の可否について事前に確認しておく。 3)誘導係である院生がもっと積極的に働き、進行がスムーズにいくよう協力する。 【オリエンテーションのパネル課題について】 昨年と同様「建築学概論」の授業の一環として、オリエンテーションのパネルの作成課題を出題した。 【課題概要】 1)最も興味深かった建物をスケッチ・写真・文章を用いてA2サイズの用紙1枚にプレゼンテーショ ンすること。着色可、文字は手書きすること。 2)提出〆切 5月19日(火)18時 3)審査期間 5月25日(月)~29日(金) 4)表彰・講評 6月2日(火) 建築学概論第8回目の授業内で表彰および講評を行う。 ※教員は0~4までの5段階評価でパネルを審査し、最も総合得点が高かった者に最優秀賞が送られる。 5)パネル展示 審査後の2週間、全作品が 4 号館 3 階廊下に展示される。 6)審査結果 最優秀賞 木暮竜太、優秀賞 安藤樹姫也/平栁英利、佳作 7)優秀作品への副賞 渡部泰匡 上位入賞した生徒には、表彰及び副賞として図書カードが送られた。後学の役 に立つことを願っている。 最優秀作品に選ばれたパネル作品(作成:木暮竜太) 総括 オリエンテーションの下準備として事前に3度勉強会を開き、院生による見学先の建築物のレクチャ ーを行った。また、各所での自由見学の時間にゆとりがあったため、積極的に教員に質問をする生徒の 姿が多くみられた。開催後、教員からも「今年の1年生はとても建築に対して熱心だ」との感想が多く 出された。建築を学ぶ上で大切な「建築への興味」を十分に与えることができた見学会となった。 <謝辞> 両日とも問題なく進行し、無事終了することができました。ご支援を頂きました後援会の方々、なら びに大学関係者の方々には、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
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