コロンビアアイスフィールド・アイスエクスプローラーツアー英語ガイド全訳

コロンビアアイスフィールド・アイスエクスプローラーツアー英語ガイド全訳
コロンビア大氷原とは氷河が大規模な範囲で山脈を覆っている場所を指します。コロンビア大氷原は広
さが325平方キロメートル、名古屋市とほぼ同じ大きさで氷が山脈を覆っています。
コロンビア大氷原からは氷が川となり6箇所に流れだし、その内3番目に長い「アサバスカ氷河」がハイ
ウェイの比較的近くまで流れ出しています。
アイスエクスプローラーツアーでは特殊車両に乗ってアサバスカ氷河の中程まで行くことが出来ます。
所要時間は1時間30分です。
それでは氷河期の世界に出発しましょう!!
注)雪上車観光ではガイドによってガイド内容に違いがございますのでご了承ください。以下のガイド
内容はブリュースター社のガイドマニュアルに沿って全訳いたしました。
シャトルバスでの説明(約7分間)
シャトルバスが出発すると、このツアーで最も危険な場所を通過します。・・・・ハイウェイを横切り
ます。。
皆様がバンフ、ジャスパーから通ってこられた93号線を横切り、氷河観光専用の道へ入ると道が二手に
分かれていますが、右への道の入り口に1890と書かれている石碑がご覧頂けます。1890年には、現
在、皆様の右手前方に見えている、アサバスカ氷河の先端が、その石碑のところまであったということ
を示しています。
連絡バス専用道路に入って間もなく、左手に背の低い木の森林がございます。この木の樹齢はなんと約
250~350年です。氷河の影響であまりにも気候が厳しい為、木の一年間の成長日数は30日から90日ほ
どしかありません。そのため成長が非常に遅く年輪は虫眼鏡で覗かないと確認できません。木をご覧い
ただきますと、木の枝がバスの進行方向とは逆側にしか伸びておりません。前方にはコロンビア大氷原
とアサバスカ氷河から「カタバック風」と呼ばれる冷たい風が年間を通して吹き下ろします。まるで人
間が冷たい風に背を向けるように、木も冷たい風の方には枝が伸びません。この木は旗が風になびいて
いるようにみえることから「フラッグ・ツリー」と呼ばれています。皆様の右手アサバスカ氷河の向こう
にある三角形の形をした森林帯はアルバータ州で最も古い森林帯で、樹齢は700年~800年と言われて
います。
右に座っている方にはご覧いただきにくいのですが、左側に大きな山がございます。この山は標高
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3,491mのマウント・アサバスカです。登山に大変人気があり、頂上からはコロンビア大氷原が一望でき
ます。この山に登るには氷河がありますので、氷河用の特別な装備が必要です。通常、往復10時間の登
山です。
道路の右側には大きな土手のようなものが続いています。これらの土砂は、この専用道路を作る為にど
かされた土砂ではありません。全て自然に作られたものです。この土砂は氷河が運んできた土砂で「モ
レーン」と呼んでいます。氷河が前進するときに氷河は先端両脇の土砂を押しのけながら進みます。そ
の結果、氷河の前方と両端にはこのような土砂の山が出来上がります。右側に見えているこのモレーン
はアサバスカ氷河が前進する際に横に押し分けられたモレーンで日本語では“側面堆積土砂”英語では、
”ラテラル・モレーン“と呼ばれています。側面堆積土砂の向こう側は、アサバスカ氷河が広がっていま
す。
連絡バス到着直前に未舗装道に入ります。どうして急に舗装道路がなくなってしまったかというと、こ
の氷河観光を行っている会社、ブリュースター社の予算がなくなったというわけではありません。実は
この砂利道の辺りから現在でも氷河野影響を受け地盤が動いているからです。もしここにアスファルト
の舗装道路を作っても、氷河が道路の下の土砂を動かし、ひびが入ったり、陥没したりしてしまいま
す。
ではそろそろ前方に雪上車乗り換え地点が見えてきましたので、降りる準備をして下さい。
雪上車での説明(往路25分)
いよいよこれから雪上車でコロンビア大氷原の上にご案内いたします。
雪上車出発地点から昔使われていた雪上車がご覧頂けます。現在皆様にご乗車いただいている雪上車
は、氷河観光が始まって三代目の雪上車です。黄色のカブトムシ型をしたものが一番始めに使われた初
代の雪上車です。1960年代に使用され、エンジンはフォード製、11人乗りで屋根をスライドさせ
開け、そこから顔をだして観光していたそうです。タイヤはキャタピラを使用していました。
二代目の雪上車は、観光バスにキャタピラを付けた物で、窓が開かず夏は大変暑くしかもゆれがひどく
“Shake’n & Bake” ,(北米のから揚げ粉のブランド名)と、呼ばれていました。この雪上車は1971年
から1983年まで使用されていましたが、キャタピラが氷河を削り、氷河が早く溶けてしまうという
理由で使用中止にとなり、現在のこの雪上車のようにゴム製のタイヤになりました。
雪上車が出発して間もなく、すごい急坂を下ります。さて、この坂はいったい何度くらいあると思われ
ますか?この坂道の斜度はおよそ18度です。実際よりもずいぶん急に感じますが、以上より3m程高
い場所から地上を見下ろしていますので、特に急坂に感じてしまうのです。
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ドライバーさんはなんと、この急坂にもかかわらずアクセルを踏みながら坂を下ります。普通、急坂を
下る時はブレーキを踏みながら下っていきますが、この雪上車はトランスミッションロックアップと呼
ばれる特殊なギアを使い、アクセルを離すと停止する仕組みになっています。急坂を下るために大変安
全に設計されています。
無事に坂道を降りると廻りは砂利ばかりで氷河の姿は見る事ができません。実はこの砂利の下はすでに
氷河です。この下30cm~50cm掘ると氷河の氷が現れます。このように、砂利の下に氷河の氷が
あるものを、“アイス・コア・モレーン”(Ice Core Moraine)といいます。このモレーンは、太陽光線が
直接氷河に当たらないように断熱材の役目をしています。直接太陽光線があたる氷河と、断熱材の砂利
が乗っている氷河とでは溶ける量が変わります。直接太陽が当たる氷河はもっと低い位置にあります。
アイスコアモレーンからさらに坂道を下るといよいよ雪上車は直接氷河の上を走行します。
アイス・コア・モレーンを越え雪上車は氷河の上を走っています。今、皆様は”コロンビア大氷原“のな
かでも”アサバスカ氷河”と呼ばれる部分にいます。この“アサバスカ氷河”は”コロンビア大氷原“のほんの
一部分でしかありません。では、”コロンビア大氷原”の大きさは325平方km。東京23区と同じ位の
大きさ、名古屋市と同じくらいの大きさです。また、カナダのバンクーバー市と同じ広さです。”コロン
ビア大氷原“の大部分は、皆様がいらっしゃいますこの”アサバスカ氷河”のずっと前方、正面の3段の氷
の滝の向こう側に広がっています。
”コロンビア大氷原”は、3500m級の6つの大きな山々に囲まれています。6つ山にかこまれた、盆
地状になっている場所に氷が溜まるように存在します。
地球には大きな氷河期が3回~4回訪れています。今現在残っている氷河は一万年前に終わった“ウィス
コンシン氷河期”のなごりと言われています。“コロンビア大氷原“は大量の積雪によって形成されまし
た。降り積もった雪は底の方から上の雪の重さで圧縮され氷となりコロンビア大氷原が発達しました。
氷河は年間を通して雪が降る量が溶ける量よりも多い場所に作られます。氷河のある場所は積雪が増え
る一方です。雪が30メートル以上積もると上の雪で下の方の雪が重さで圧縮され氷が出来ます。つま
り氷河の氷は雪が圧縮されて作られます。
日本にも万年雪が存在します。万年雪も底雪を調べると上の雪に圧縮され氷に変わっています。しか
し、万年雪の氷は氷河とは呼びません。氷河の氷と万年雪の氷の違いは氷河は流れているという点で
す。氷が大きく発達すると氷が低い方に流れ始めます。
氷はたとえ地球上の温度がマイナス100だとしても固体としては非常に高温で存在しています。冷蔵
庫から出した氷と氷を押し付け合うとくっつきます。この現象を焼結と呼んでいます。つまり焼け付い
てしまうのです。氷は真っ赤に熱した鉄のような性質を持っています。あまりにも氷が巨大になると氷
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自身の重みに耐え切れずに外側や低い方へ流れ出していきます。これが氷河の流れる仕組みです。
小規模な氷河や氷原から流れ出した部分を氷河、英語ではグレーシャーと呼びます。山脈を覆うように
大きく発達した氷を大氷原、英語ではアイスフィールドと呼んでいます。また、大陸を覆うように発達
した氷河を氷床、英語ではアイスシートと呼びます。氷床はグリーンランド氷床などが有名です。
“コロンビア大氷原”からは、6つの氷河が流れ出しています。今、皆様がいらっしゃいますアサバスカ
氷河全長6キロメートル平均幅1キロメートルでコロンビア大氷原から流れ出す氷河の中で3番目に長
い氷河です。それでも325平方kmあるコロンビア大氷原と比べるとたったの2%しかありません。
コロンビア大氷原がいかに巨大かがうかがえます。
コロンビア大氷原から流れ出す他の5つの氷河は、“コロンビア氷河”“サスカチュワン氷河”“ドーム氷河
”“スタットフィールド氷河”そして“キャッスルガード氷河”があります。その中で最も一番大きいのは全
長13km“サスカチュワン氷河”です。
今皆様がいらっしゃいます“アサバスカ氷河”も現在流れています。流れているのが分かる方はいらっし
ゃいますでしょうか?では、どれくらい動いているかと申しますと、コロンビア大氷原本体から滝とな
って流れ落ちている部分で、一年間約125m流れています。これら皆様に降り立っていただ雪上車の
折り返し地点で1年間25m動いています。アサバスカ氷河付け根から流れ出した氷河が一番下の先端
までたどりつくのには約150年かかります。
氷河は水と同じような動きをします。急斜面は早く、なだらかな場所はゆっくり流れます。また氷河の
真ん中と端では流れる速さが違います。氷河の両端は山々の岩の抵抗により流れが遅くなり、真ん中は
抵抗がないので端よりは早く流れていきます。
氷河の上にはクレバスと呼ばれる深い氷の裂け目が生じます。氷河上部30メートルは雪が完全に圧縮
されていないので空気を多く含み非常にもろい氷です。氷河が流れると表面に裂け目が生じそれをクレ
バスと呼んでいます。
クレバスは登山家にとって非常に危険です。特氷河の上に雪が多いところではクレバスの入り口が雪で
ふさがれ落とし穴になります。氷河の上を歩くには救出方法など専門的な技術が必要です。
雪上車が出発して15分ほど雪上車を走らせると左側にマウント・アサバスカ、左手前方にマウント・ア
ンドロメダが見えます。どちらの山にも大きな氷河が見られます。氷河を大まかに分類すると5種類の
タイプに分けられます。アサバスカ氷河からはそのすべてタイプの氷河を見ることができます。
1つ目は、左手の前方のマウント・アンドロメダ中腹にぶら下がるようにアンドロメダ氷河が見えます。
このタイプの氷河は山にぶら下がって見えることから、“ハンギング氷河”、日本語では「懸垂氷河」と呼
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ばれています。
2つ目は、「ハンギンググレーシャー」上方に小さな氷河が見られます。この氷河は山肌を半円状、削り
ながら進んでいます。このような氷河を“サークグレイシャー”「盆地型氷河」、「円形氷河」と呼んでいま
す。
3つ目は、アンドロメダ氷河の左に独立した氷河が見えます。氷河の上部に氷原持たずに、谷間を流れ
ている氷河で、このような氷河を“アルパイングレーシャー”「山岳氷河」と呼んでいます。
4つ目は、今皆様が走っているアサバスカ氷河です。この氷河は源流に氷原を持ち、氷原から氷が押し
流されてきており、“アウトレットヴァレイグレーシャー氷河”「流出型氷河」と呼ばれています。
そして最後5つ目は、皆様の右手にマウント・スノードームという山の山頂を覆うように氷河があり、
まるで帽子のようにかぶさってみえることから、“アイスキャップ氷河”、「帽子型氷河」とよばれていま
す。
それでは、まもなくアサバスカ氷河雪上車観光の折り返し地点に到着します。
氷河の上はいくつかの注意点があります。雪上車の後ろには行かないでください。雪上車のドライバ
ーからは全く後ろが見えません。また、整地された場所から出ないで下さい。クレバスが口を開けてい
る可能性がありますので大変危険です。
雪上車での説明(復路25分)
さて、雪上車氷河の厚さはどれくらいあったかと思いになりますが?皆様が歩いていた所は、何と厚
さが300mもあります。東京タワーが333mですので、ここに東京タワーを持ってくると、タワーの上
の33mのアンテナの部分しか出ないということになります。コロンビア大氷原で最も氷が厚い場所は
365mです。
雪上車走行中、道の脇に大きな穴が開き大量の溶け水が流れ込んでいる所が見られます。これをミル
・ウェルと呼びます。コーヒーミルのミルと同じ意味で、ウェルは井戸という意味です。これは溶け水
が小さなクレバスなどに水が渦を巻いて流れ込み、大きな穴を開けます。ミル・ウェルの平均的な大き
さは2~3mで、深さは30mです。氷河の表面から下30mは比較的柔らかい氷です。その下には硬い
プラスチックアイスと呼ばれる氷があり、氷河に流れ込んだ溶け水はプラスティックアイスの上を氷河
の先端に向かって流れています。実は氷河の溶け水で表面を流れているのは、全体の30%だけで、残り
の70%は氷河の中を流れています。また、アサバスカ氷河の溶け水は夏になると、1分間にドラム缶
200本分の水が流れると言われています。
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アサバスカ氷河の横にあるマウント・スノードーム山頂では面白い現象が見られます。この山から流れ
る水は3つに分かれて北米を取り囲む大海へ流れていきます。
1つは、キャッスルガード氷河からコロンビア川となり「太平洋」へ流れていきます。1つは、サスカ
チュワン氷河からサスカチュワン川となり「大西洋」へ、そしてもう1つは、アサバスカ氷河からサン
ワプタ、アサバスカ川そして、マッケンジー川となり、「北極海」へと、流れていきます。世界でも珍
しく、三大陸分水嶺と呼んでいます。
雪上車は往路に下った急斜面を登ります。ここで使われている雪上車は世界でたった16台しかありませ
ん。雪上車はカナダ製、カルガリーの石油の掘削機械を作るフォアモーストという会社が、ブリュース
ター社から特注を受けて作っています。
雪上車はタイヤが6本、通常は四輪駆動で走り、この急坂を上り下りする時に6輪駆動で走ります。タイ
ヤは、高さが1、5m、幅が1m。タイヤ1本のお値段は約50万円もします。エンジンはディーゼルエンジ
ンで馬力は210~310馬力あります。値段の方は1台約3000万円くらいだそうです。
雪上車が急坂を登る途中、アサバスカ氷河先端部分に湖が見えます。この湖はサンワプタ・レイクとい
います。アサバスカの氷河の溶け水で出来た湖で、氷河の溶け水に含まれる大量の土砂が流れ込み毎年
形が変わっています。
シャトルバス帰路での説明(約7分間)
コロンビア大氷原の歴史について触れてみたいと思います。まず、1827年スコットランドから来た
植物学者“デビット・ダグラス”がこの近辺の峠を越えている時に、測量を間違え、6、000m級の山
が、この付近に2つあると発表しました。そしてこの情報を聞いたスタットフィールド探検隊が、この
地にやってきました。この探検隊は、5人で構成されていて、3人はイギリス人、2人はカナダ人でし
た。3人のイギリス人は“ノーマン・コーリー”“ハーマン・ウーリー”“ヒュー・スタットフィールド”。2
人のカナダ人は“ビル・ペイト”“ナイジェル・ハバサー”でした。
5人が6、000m級の山を発見できず諦めかけていた時に、高い山に登ればその6、000mもある
高い山も発見できるのではないかと考えました。
ノーマン・コーリーとハーマン・ウーリーの2人はマウント・アサバスカに登り6千メートル級の山の
代わりにコロンビア大氷原を発見しました。時は、1898年8月18日、コーリーとウーリーの2人
は、この偉大な発見に参加できなかったスタットフィールド隊長に同情して、コロンビア大氷原から流
れている氷河の1つに、スタットフィールド氷河と名付けました。この氷河はもう少しジャスパー方面
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に行った所で見ることが出来ます。
間もなくこのツアーが終了に近づいてきました。皆様残りのホリデイを十分お楽しみください。
この度はブリュースター・アイスエクスプローラーツアーにご参加いただき誠にありがとうございまし
た。
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