横浜国立大学 出願特許概要シート(出願公開後) 整理番号: YNU09048B 発明の名称 分類 C21D 8/12、C22C 38/02、 C22C 38/02、B21B 3/02 結晶軸<001>の方位が制御された体心立法(BCC)構造の固溶体である金属材料およびその製造方法 出願番号 PCT/JP2011/054548 公開番号 発明者 福富 洋志、岡安 和人、小貫 祐介 技術名 無方向性電磁鋼板の製造方法 WO2011/105609A1 特許番号 技術概要 モータのロータやステータには、鉄損を低減させるために、いわゆる無方向性電磁鋼板が使用される。しかしながら、 体心立方結晶(BCC)金属であるFeについては、磁化容易軸<001>が鋼板の表面に平行かつ面内の特定方向 に偏ることなく、360°均一で密に配された、磁束密度が高く、鉄損の低い磁気特性に優れた電磁鋼板を得る製造 方法が存在しなかった。 本発明の目的は、磁化容易軸<001>が鋼板面に平行に、かつ360°均一に配された無方向性電磁鋼板を製造 する方法を提供することである。 解決すべき技術課題 Feについての従来の単軸圧縮加工では、優れた磁気特性を有する<001>の鋼板面に平行な配向をもたらす{10 0}だけでなく、<001>を板面内に配向させることができない{111}が共存するという問題がある。さらに従来の単 軸圧縮加工では板面内で{111}の方がより発達した状態が生じるので、板面内に<001>を配向させる電磁鋼板 の製造技術として単軸圧縮加工は利用されていないのが現状である。 単軸圧縮加工だけでなく他の加工方法でも、磁化容易軸<001>の方位を制御することが困難であった。そのため 磁化容易軸<001>が鋼板の表面に平行になるように制御され、磁束密度が高く、鉄損の低い磁気特性に優れた 無方向性電磁鋼板を得る製造方法が存在しなかったと言へる。 どのように解決したか 本発明者らは、{100}を得るべく研究を進めた結果、変形量を大きくすると、ひずみの増大とともに{100}が発達 し、やがて、{100}のみが存在する結晶配向になることを見出した。 そのメカニズムについて研究を進めた結果、この配向の変化は、変形により転位の量が増えると{100}方位の結晶 粒が{100}方位をはじめ他の結晶方位の結晶粒を流界移動によって消費して優先的に成長し、生ずるものであるこ とを実験的に見出した。 本発明者らは、磁束密度を増大するために必要な結晶粒径の粗大化と回転対称〈001〉配向を加工条件で制御でき ることを知見した。この知見に基づいて、従来の無方向性電磁鋼板の製造方法が冷間加工と熱処理、あるいは熱間 加工と熱処理を組み合わせているのに対し、熱間単軸圧縮加工のみで回転対称〈001〉配向の無方向性電磁鋼板 を製造できることを明確にして本発明を完成した。 効果 本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法によれば、磁化容易軸〈001〉が鋼板の表面に平行に、かつ鋼板面内の特 定方向に偏ることなく、360°均一で密に分布され、磁束密度が高く、鉄損の低い磁気特性に優れた無方向性電磁 鋼板が製造できる。 優位性・特徴技術 本発明は、熱間単軸圧縮加工のみで回転対称〈001〉配向の無方向性電磁鋼板を製造することを特徴とする。本発 明の要旨は、磁化容易軸〈001〉が鋼板の表面に平行に、かつ鋼板面内の特定方向に偏ることなく、360°均一で 密に分布された無方向性電磁鋼板の製造方法において、尐なくともSiを含有し、残部がFeと不可避的不純物からな るBCC単相固溶体をBCC単相となる温度域の温度に加熱し、この状態で、前記BCC単相固溶体に現れる溶質原 子雰囲気が転位の運動を支配し、かつ変形中に粒界移動が生ずる加工条件を保つことができるひずみ速度で前記 BCC単相固溶体に単軸圧縮加工を行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法にある。 代表図 本発明の製造方法に より製造された無方向 性電磁鋼板の結晶方 位分布関数(ODF)の オイラー角(φ 2)=0度 断面図 (結晶方位密度を示す 等高線を表し、数値は 平均値1に対する倍数 で表した方位密度を示 す。) 【本件問い合わせ先】 横浜国立大学産学連携推進本部 産学連携課知的財産係 TEL045-339-4450/FAX045-339-3057
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