ACTS-CC試験結果のアップデート - cancer therapy.jp:コンセンサス癌

Gastrointestinal (Colorectal) Cancer
米国臨床腫瘍学会 2015
FLASH REPORT
Poster
Session
# 3 570
会期 : 2015年5月29日∼6月2日 会場:McCormick Place, Chicago, Illinois
Stage III結腸癌に対する術後補助化学療法としてのTS-1:ACTS-CC試験結果のアップデート
S-1 as adjuvant chemotherapy for stage III colon cancer: Updated outcomes of ACTS-CC trial
絹笠 祐介 静岡県立静岡がんセンター大腸外科
石黒 めぐみ 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科応用腫瘍学講座
*試験実施体制:ACTS-CC試験は公益財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター(TRI)
が、大鵬薬品工業株式会社と研究資金提供に関する契約を締結し、実施した臨床研究である。
背景・目的・方法
●Stage III結腸癌に対する術後補助化学療法としてのTS-1とUFT+ロイコボリン
(LV)
を比較したACTS-CC試験(図1)では、主要
評価項目である3年無病生存率(DFS)
に関して、TS-1群のUFT群に対する非劣性が証明された1)。
●今回はDFS・全生存率(OS)のアップデート、およびDFSのサブグループ解析の結果について報告する。
1)Yoshida M, et al. Ann Oncol 2014;25:1743
結果
●358施設から1,535例を登録し、有効性解析対象集団はTS-1群758例、UFT/LV群760例、年齢中央値はそれぞれ66.0歳、
65.5歳、観察期間中央値は63.5ヵ月であった。
●5年DFSはTS-1群70.2%、UFT/LV群66.9%、ハザード比(HR)は0.88(95%信頼区間[CI]0.74-1.06、p=0.177)で
あった(図2)。
●サブグループ解析では、乳頭腺癌/管状腺癌に対し低分化腺癌/粘液癌/印環細胞癌でTS-1群のDFSが良好であったほかは、
ベースライン時の患者特性と、両群のDFSとの間の有意な交互作用はみられなかった。
●5年OSはTS-1群86.0%、UFT/LV群84.4%、HRは0.92(95%CI 0.72-1.17、p=0.488)であった(図3)。
●全体の70%以上を占めるStage IIIB(TNM分類 第7版)の患者のうち、T3N1およびT2N2aの転帰はその他と比較して良好で
あった
(図4)。
●再発はTS-1群189例、UFT/LV群204例に認められ、そのうち再発に対する初回治療として外科的切除が行われたのはそれ
ぞれ42.9%、41.2%であった(表1)。
図1 試験デザイン
図3 OS
全生存率︵%︶
R
層別化因子
・リンパ節転移(N1/N2)
・施設
対照群
試験群
TS-1群
UFT/LV群
TS-1:体表面積(BSA)に基づいて
80、100、または120 mg/日
分2、連日投与
Day 1-28、6週毎×4コース(24週)
UFT:BSAに基づいて300-600 mg/日
LV:75 mg/日
いずれも分3、連日投与
Day 1-28、5週毎×5コース(25週)
93.4%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
TS-1群 UFT/LV群
5年OS
3年OS
pStage III結腸癌患者
・治癒切除
・20-80歳
・PS 0-1
86.0%
(95%CI 83.2%-88.3%)
92.4%
84.4%
(95%CI 81.6%-86.8%)
HR 0.92(95%CI 0.72-1.17)*
p=0.488
0
Patients at risk
758
TS-1群
760
UFT/LV群
1
2
3
4
観察期間(年)
747
742
729
721
697
685
656
629
5
6
541
519
59
64
*リンパ節転移(N1/N2)で補正
表1 再発に対する治療
図2 DFS
観察期間中央値 63.5ヵ月(範囲1.8-77.3ヵ月)
無病生存率︵%︶
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
5年DFS
3年DFS
75.3%
70.2%
(95%CI 66.8%-73.4%)
72.3%
TS-1群 UFT/LV群
66.9%
(95%CI 63.4%-70.4%)
HR 0.88(95%CI 0.74-1.06)*
p=0.177
0
Patients at risk
758
TS-1群
760
UFT/LV群
*リンパ節転移(N1/N2)で補正
1
2
664
651
602
580
3
4
観察期間(年)
562
534
517
481
5
6
345
312
24
30
再発患者数
TS-1群(758例)
UFT/LV群(760例)
189例
204例
再発に対する治療(重複あり)
81(42.9%)
84(41.2%)
肝
40
39
肺
20
26
外科的切除
腹膜
9
6
局所
11
14
その他
8
8
化学療法
107(56.6%)
122(59.8%)
放射線療法
5(2.6%)
4(2.0%)
その他
5(2.6%)
5(2.5%)
14(7.4%)
16(7.8%)
無治療/BSC
BSC:best supportive care
この資材は学会の最新情報を掲載しています。
掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。
Gastrointestinal (Colorectal) Cancer
# 3 570
FLASH REPORT
Poster
Session
米国臨床腫瘍学会 2015
会期 : 2015年5月29日∼6月2日 会場:McCormick Place, Chicago, Illinois
図4 T・N因子別にみた5年DFS・5年OS(両群の統合データ)
5年OS
5年DFS
T1
T2
T3
T4a
T4b
N1a
N1b
N2a
N2b
88.6%
84.2%
100%
−
(63例)
IIIA
(20例)
(0例)
(92例)
(45例)
(13例)
76.9%
33.3%
78.4%
75.7%
59.2%
48.1%
77.8%
(359例)
55.2%
84.0%
(5例)
(309例)
57.2%
(140例)
46.2%
(35例)
58.6%
47.7%
NA
100%
(7例)
T2
T3
IIIB 71%
37.6%
(66例)
(24例)
IIIC
IIIA
14% 15%
(54例)
(133例)
T1
IIIB
(3例)
(119例)
(29例)
Stage(TNM分類 第7版)
患者の分布
T4a
IIIC
(2例)
T4b
N1a
N1b
N2a
98.4%
100%
100%
(5例)
(0例)
95.3%
92.3%
100%
68.3%
(63例)
91.1%
IIIA
(20例)
(92例)
(45例)
(13例)
90.7%
91.1%
78.9%
(359例)
82.5%
(309例)
77.4%
(140例)
70.6%
N2b
−
(3例)
(54例)
54.0%
(119例)
(133例)
(66例)
(35例)
75.9%
62.5%
57.1%
100%
(29例)
(24例)
(7例)
IIIB
IIIC
(2例)
まとめ
●Stage III結腸癌術後補助化学療法としてのTS-1は、UFT/LVに対するDFS・OSにおける非劣性が長期観察によっても確認
され、主にStage IIIA、T3N1・T2N2aにおいて、治療オプションの1つとなり得る。
●5年OSが約85%と良好であったことは、40%を超える高い再発巣の切除率が関連していると推察される。
この資材は学会の最新情報を掲載しています。
掲載されている薬剤の使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。