子宮がんの治療について

子宮がん 治療に
子宮がんの治療について
広島市立広島市民病院 産科
産科・婦人科
婦人科
依光 正枝
<子宮頸がんの治療について>
療
手術療法
化学療法
同時放射線化学療法(CCRT)
<子宮体がんの治療について>
手術療法
化学療法
内分泌療法
子宮頸がん 治療に
子宮頸がんの治療について
て
<病期分類と治療法>
Ⅰ期
Ⅱ期
Ⅰa1 Ⅰa2 Ⅰb1 1b2 Ⅱa
Ⅲ期
Ⅱb Ⅲa
Ⅳ期
Ⅲb
Ⅳa
Ⅳb
手術療法
放射線(化学)療法
放射線 化学療法
放射線・化学療法
子宮頸癌の治療
宮頸癌 治療
手術療法
手
療法
同時放射線化学療法(CCRT)
化学療法
<主な術式>
子宮頸部円錐切除術
単純子宮全摘(膣式・腹式)
準広汎子宮全摘
広汎子宮全摘
広汎子宮頸部摘出術
( ボ ト支援下手術)
(ロボット支援下手術)
<子宮頸部円錐切除術>
子宮頸部異形成および子宮頸部初期癌に対して正確
病巣のひろがりならびに組織型を決定するために行う。
診断とともに症例によっては根治術となる。
根治術となるのは
CIN3(高度異形成 上皮内癌)
CIN3(高度異形成〜上皮内癌)
子宮頸癌Ⅰa1期
手術方法の種類
①コールドナイフ
①コ
ルドナイフ
②レーザーメス
③超音波メス
③超音波メ
④LEEP法(ル プ型電気メス)
④LEEP法(ループ型電気メス)
⑤電気メス
<シラーテスト前後>
円錐 除術
円錐切除術において注意すること
注意す
と
①子宮頸管短縮による頸管無力症の発生
①子宮頸管短縮による頸管無力症
発生
切除範囲の適切な設定
②術後出血
③頸管狭窄(閉鎖):子宮溜血症による下腹痛
産褥期の無月経期間は避けるのがのぞましい
④術後も定期検診が必要
<主な術式>
子宮頸部円錐切除術
単純子宮全摘(膣式・腹式)
準広汎子宮全摘
広汎子宮全摘
広汎子宮頸部摘出術
( ボ ト支援下手術)
(ロボット支援下手術)
<単純子宮全摘術>
子宮体部に沿うように各靭帯を結紮・切断する
良性疾患に対しても用いられる術式
<広汎子宮全摘術>
癌の浸潤・転移が考えられる各靭帯を骨盤に沿うように切断する。
基靭帯を広く切除するため尿管の剥離・移動が必要。
単純子宮全摘
子宮のマクロ? 単摘とRH
広汎子宮全摘
単純子宮全摘
腹腔鏡下広汎子宮全摘術が
鏡 広汎
子宮のマクロ? 単摘とRH
2014年12月より先進医療認定
をうけました
広汎子宮全摘
<主な術式>
子宮頸部円錐切除術
単純子宮全摘(膣式・腹式)
準広汎子宮全摘
広汎子宮全摘
広汎子宮頸部摘出術
( ボ ト支援下手術)
(ロボット支援下手術)
<広汎子宮頸部摘出術>
浸潤子宮頸癌のなかで妊娠の希望があり一定
の基準を満たした症例に対して施行している。
基準を満
症例に対
施行
る。
腫瘍径が2cm (-3cm)以下
明らかなリンパ節転移、遠隔転移なし
妊孕性温存の強い希望がある
年齢:40歳以下
組織型:扁平上皮癌、腺癌
明らかな不妊原因なし
CervixーParacervixーUpper vagina
C
i P
i U
i
(Resection & Reconstruction)
<広汎子宮頸部摘出術の問題>
妊孕性温存手術ではあるが、妊孕性や周産期
の予後はまだまだ課題が大きい
後はまだまだ課題が大き
不妊
流産
早産の問題
<広汎子宮頸部摘出術後の妊娠①>
報告者
Rodriguez(2001)
症例数
3
妊娠を試 妊娠した数
みた数
(%)
3
1(33.3%)
出産した数
(%)
1(33.3%)
Palfaivi(2003)
妊娠率 19
19.5%
5%
21
5
3(60.0%)
出産率 16.5%
奥川(2010)
55
22
2(9.1%)
1(4.4%)
峰岸(2011)
128
67
13(19.4%)
12(17.9%)
合計
207
97
19(19.5%)
19(19 5%)
16(16.5%)
16(16 5%)
2(40%)
<広汎子宮頸部摘出術後の妊娠②>
報告者(年)
妊娠数 流産(%)
早産(%)
正期産(%)
Sheperd(2001)
14
5(35.7%)
7(50%)
2(14.3%)
Burnett(2003)
3
1(33.3%)
1(33.3%)
1(33.3%)
M h
Mathevet(2003)
(2003)
Bernardini(2003)
Schlearth(2003)
流産率
27・9%
27
9% 5(9.8%)
51
17(33 3%)
17(33.3%)
5(9 8%)
早産率
20%
22
4(18.2%)
6(27.3%)
52 1%
満期産 52.1%
29(56 9%)
29(56.9%)
12(54.5%)
4
2(50%)
1(25%)
1(25%)
Plante(2005)
46
10(20.8%)
8(16.7%)
28(58.3%)
合計
140
39(27.9%)
28(20%)
73(52.1%)
化学療法
子宮頸癌は多くが放射線に感受性の高い扁平上皮癌であるた
宮頸癌 多く 放射線 感受性 高 扁平
癌 あ
め、放射線療法や手術療法が治療の中心である。この30年多く
の臨床試験がおこなわれているが化学療法が標準治療になるま
でには至っていない。
治療法
Clinical question
ⅠB〜Ⅱ期(SCC)に対しての
Ⅰ
Ⅱ期(
)に対しての
①術前化学療法(NAC) NACは推奨されるか?
②術後化学療法
(根治手術後)
記載なし
③補助・維持化学療法
③補助
維持化学療法 維持療法として経
維持療法として経口抗がん剤
抗がん剤
(CCRT後)
や免疫療法は推奨されるか?
推奨グレード
C1
C2
C1:エビデンスは十分とはいえないが、日常診療で実践する際どちらかといえば推奨する。
C2:エビデンスは十分とはいえないので、日常診療で実践する際どちらかといえば推奨しない
子宮頸癌は多くが放射線に感受性の高い扁平上皮癌であるた
宮頸癌 多く 放射線 感受性 高 扁平
癌 あ
め、放射線療法や手術療法が治療の中心である。この30年多く
の臨床試験がおこなわれているが化学療法が標準治療になるま
でには至っていない。
化学療法に関しては新たな治療は開発されて
治療法
Clinical question
推奨グレード
いないが 分子標的治療薬の導入の試みがあり
いないが、分子標的治療薬の導入の試みがあり、
ⅠB〜Ⅱ期(SCC)に対しての
Ⅰ
Ⅱ期(
)に対しての
①術前化学療法(NAC)
NACは推奨されるか?
C1
進行子宮頸癌に対しベバシズマブ(アバスチン)
②術後化学療法
を使用し生存期間が延長すると報告された
を使用し生存期間が延長すると報告された。
(根治手術後)
記載なし
③補助・維持化学療法
③補助
維持化学療法 維持療法として経口抗がん剤
維持療法として経 抗がん剤
(CCRT後)
や免疫療法は推奨されるか?
C2
C1:エビデンスは十分とはいえないが、日常診療で実践する際どちらかといえば推奨する。
C2:エビデンスは十分とはいえないので、日常診療で実践する際どちらかといえば推奨しない
子宮体がんの治療
手術療法
化学療法
内分泌療法
子宮体がんの治療
手術療法
化学療法
内分泌療法
子宮内膜異型増殖症
類内膜腺癌G1(子宮内に限局)
良性
悪性
<子宮内膜増殖症の治療方針>
<高用量MPA療法>
挙児希望のある患者が対象
黄体ホルモン療法
作用機序
①受容体を介するエストロゲン阻害作用
②
②DNA RNA合成障害による細胞増殖抑制作用
合成障害による細胞増殖抑制作用
③腫瘍の血管新生抑制作用
④ステロイドスルファターゼ阻害作用 など
奏功率
奏功率:86%
% CR率:66%
率
% 再発率:14%
再発率
% と良好な成績
投与量 100〜800mg/日→600mg/日の報告が多い
黄体ホルモン投与上の注意:重篤な血栓症のリスク
・手術後1週間以内の患者
・脳梗塞・心筋梗塞・血栓静脈炎などの血栓性疾患、またはその既往歴のある患者
脳梗塞
筋梗塞 血栓静脈炎など 血栓性疾患 また そ 既往歴 あ 患者
・心臓弁膜症・心房細動・心内膜炎・重篤な心不全等の心疾患のある患者
・ホルモン剤(黄体ホルモン、卵胞ホルモン、副腎皮質ホルモン)と投与されている患者
・重篤な肝障害のある患者
重篤な肝障害のある患者
子宮体がんの治療
手術療法
化学療法
内分泌療法
主な治療は手術
<子宮体がんの進展方式>
子宮全摘+両側付属器切除
子宮
摘 両側付属器切除
(+後腹膜リンパ節廓清)
子宮全摘:単純子宮全摘
(準)広汎子宮全摘
後腹膜リンパ節廓清(骨盤 傍大動脈)
後腹膜リンパ節廓清(骨盤・傍大動脈)
摘出方法:開腹
摘出方法
開腹 腹腔鏡
(ロボット支援下手術)
子宮全摘+両側付属器切除
子宮
摘 両側付属器切除
(+後腹膜リンパ節廓清)
子宮全摘:単純子宮全摘
(準)広汎子宮全摘
腹腔鏡下子宮体癌根治術
が2014年4月1日より保険
適応となりました
後腹膜リンパ節廓清(骨盤
傍大動脈)
後腹膜リンパ節廓清(骨盤・傍大動脈)
摘出方法:開腹
摘出方法 開腹 腹腔鏡
(ロボット支援下手術)
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)
腹腔鏡下
宮悪性腫瘍手術( 宮体がん 限る)
の施設基準
①産婦人科または婦人科を標榜している保険医療機関である
②産婦人科または婦人科に いて合わせて5年以上の経験を有し 開腹の子宮
②産婦人科または婦人科について合わせて5年以上の経験を有し、開腹の子宮
悪性腫瘍手術について20例以上実施した経験、腹腔鏡下膣式子宮全摘につい
て20例以上実施した経験および当該療養について術者として5例以上実施した
経験を有する常勤の医師が1名以上配置されている。
験 有
名
置
③当該手術を担当する診療科において、常勤の医師が2名以上配置されている。
④常勤の麻酔科標榜医および病理医が配置されている。
⑤子宮悪性腫瘍手術が1年に合わせて20例以上実施されている。
⑥緊急手術体制が可能な体制を有している。
⑦関係学会から示されている指針に基づき、当該手術が適切に実施されている。
ロボット支援下手術
(婦人科領域
(婦人科領域での保険適応は現在のところない)
保険適応は現在 と ろな )
<婦人科手術の主な合併症>
合併症
尿路系合併症
特徴
膀胱機能麻痺
尿意鈍麻・排尿困難などを呈する
尿管瘻
管瘻
尿管への栄養血管の損傷・炎症など
管
養血管 損傷
症
膀胱瘻
膀胱剥離の操作により生じる
尿管狭窄
尿管の剥離など
尿路感染
カテーテル留置
カテ
テル留置 膀胱機能麻痺による残尿
直腸機能障害
便秘を認めることが多い
骨盤死腔炎
骨盤内の死腔への感染
リンパ路障害
性交障害
リンパ浮腫 リンパ漏
膣の短縮 支配神経切除 心理的要因
化学療法
・子宮体がんにおける化学療法は進行・再発癌に
対し 行われる
対して行われる
・術後(中〜)高リスクに対して術後化学療法が
施行される
プラチナ製剤:シスプラチン カルボプラチン
アンスラサイクリン系製剤:アドリアマイシン エピルビシン
タキサン製剤:パクリタキセル ドセタキセル
Take home message
<子宮頸癌>
主治療は手術 放射線化学療法
新たな話としては 2014年12月より腹腔鏡下広汎子宮
子宮全摘術が先進医療になった
進行がんに対し今後アバスチンが導入される可能性
<子宮体癌>
主治療は手術
新たな話としては 2014年4月より腹腔鏡下早期子宮
体がん根治術が保険適応になった