物理学序論2 (電磁気学入門) 第2講 151009 クーロンの法則 ガウスの法則(導入) 3 重ね合わせの原理: (重要な法則) 複数の電荷の作る電場は、個々の電荷の作る電場の重ね合わせ (ベクトル和) (成り立たない例:水素原子に働く力: 2原子間は引力、3原子間には力が働かない。) 重ね合わせの例:2個(3個)の電荷の作る電場 連続分布の極限 r(r): 電荷密度 クーロンの法則:全空間における電荷分布が分かれば、 r 地点にある電荷qに及ぼす力は 電場に対する マクスウェルの方程式 の一般解 電場の導入:ある地点での電場がわかれば、その地点の電荷に働く力がわかる。 静電場を解くためのマクスウェル方程式 4 クーロンの法則:例1: 重力でも成立した法則 (再証明はあとで) 1)球対称性のある電荷分布 1a)一様に帯電した球殻もしくは球が,外部に及ぼす力は, それらの電荷が中心の一点に集まったときの力に等しい 1b)一様に帯電した球殻の内部に及ぼす力の合力はゼロに 等しい. 2)重力はポテンシャルから微分で導ける 。 5 クーロンの法則:例2: 線積分の例: 直線電荷分布による電場。 微小線素 Dz→dzにある電荷の寄与を 計算し足し上げる。(重ねあわせの原理) 対称性を使えば z 方向の成分は相殺して消える h 方向の成分のみ足せばよい。 応用例では, どんな対称性があるか? を見極めることが重要 6 例題1: 計算のまとめ *2) ldz が電荷の次元を持つので, 線電荷の単位は[C/m]である. 7 クーロンの法則:例3: 面積分: 円盤状面電荷分布による電場 dq:微小電荷,s:面電荷密度, 単位 :[C/m2] 全電荷 Q = spR2 無限大の平面電荷分布の作る電場 8 9 一個の電荷による 10 電場と電位(ポテンシャル) 電場ベクトルをつなげた線 を電気力線という. 電圧(ポテンシャル)(後述) はスカラー場.等高線で描く 11 +2q電荷からは 2倍の電気力線が出て、 半分が -qに吸い込まれる (電気力線は交わらない。) 電気力線の本数: N=Q/e0 電場の強さ =電気力線の密度 点電荷から距離 r 離れたところでは: 12 電磁気学で遭遇する最初の難関! S1: S2: S3: S4: 面上の全ての点で電場は外向き。 EndS は正。ガウス積分は正 面上の全ての点で電場は内向き。 EndS は負。ガウス積分は負 面内に電荷が無いので Q=0。 外向き成分と内向き成分が打ち消す。 面内にある総電荷はゼロ。外向き成分と内向き成分の和はゼロとなるはず 13 ポイント1: 公式を暗記するのではなくその組み立て方を理解しよう. 例: リーマン積分の作りかた 14 ( 微小面積要素 ベクトル )← とりあえずスキップ 図では S → A 青線は電気力線 15 ポイント2: 電気と数学2面攻略を避け,知っている現象(絵)で数学を書き直す ベクトル場を流体の速度ベクトル場とみなすと,物理的イメージが理解しやすい 上から見たときの流速度線 (v) で表すベクトル場 電気力線 本数 電場の強さ E 電荷 水源, 流体の速度ベクトル, 流束( フラックス:単位時間の流量) (電束*という) = 電気力線密度 流束密度 ← これをフラックスと言うこともある Q/e0 : 単位時間の湧き出し水量 (負の源は吸い込み口) En = 電気力線密度の面に垂直な成分 面を通る単位面積単位時間あたりの流量(流速密度の定義) * 専門用語として電束密度 D = e0 E がある.ここでの電束定義とは e0 だけ異なる. 16 ガウスの法則 の流体解釈 (a) 水源 (source) が中にある場合 閉曲面を通り流出する総水量は, 閉曲面の形や大きさにかかわらず 水源の放出する総水量に等しい 泉=湧き出し口 池 池 (b) 水源が外にある場合 閉曲面を出入りする総水量はゼロ. (流入量=流出量) 水源池 点状の湧き口からの流体が,流線に沿った流管を通るときの速度ベクトルの変化を理解する 水源池 長い管(1次元空間)を通るとき (v = 一定で平行) 平面(2次元空間)ならば,円状に広がる (v ∝ 1/r). (川幅が狭ければ急流 3次元空間ならば球状に広がる (v ∝1/r2) 広ければゆっくり流れる大河) 上図の全てにおいて,流量保存則は( v1dS1=v2dS2 )と表される . dS1/R1=dS2/R2 (中図) → v ∝ 1/r) , dS1/R12 = dS2/R22 (右図) → v ∝1/r2) 17 ポイント3:類推の試行: 流体の従う基本原則を頭に入れる. フラックス: 流れに垂直な面を通る単位時間あたりの流量を 流束(フラックス)という.単位面積あたりの流量を流速密度という. 側面壁 ST vn = 0 vn = -v Dx 図中の左の断面を通る流束は vDS,右断面を通る流束は v’nDS’ であるが 両者は等しい. 面を傾けたときは法線成分をかける. 流線に沿った流束管を考えると,側面では vn=0 となる. この場合,流束管を囲む全閉曲面Sを通過する全流束はゼロとなる. 閉曲面内に流体の湧き出し口があれば右辺はゼロでない. とりあえずスキップ 流束保存を(微小距離 Dx に適用して) 式で書くと 1次元: v’=v→ v(x+Dx)=v(x) → ∂v/∂x=0 3次元に拡張→ 18 心構えができたところで,本番に挑戦しよう ガウスの法則とクーロンの法則は数学的に同等であることの証明 1)ガウスの法則からクーロンの法則を導く 電荷Qを中心とする半径 r の球面をガウス面として選ぶ 電場は面に垂直であり,かつ対称性により球面上で一定値をとる (図参照) 2)クーロンの法則からガウスの法則を導く 19 ガウスの法則をクーロンの法則から導く ステッップ (2-1a) ガウスの法則を流体イメージでとらえるため,流管として電荷を始点とし 流線(電気力線)に沿った四角錐を二カ所で切断した四面体を考える. 20 ガウスの法則をクーロンの法則から導く ステッップ (2-1b) 閉曲面 S に囲まれた 体積 V 電荷が閉曲面の外にあれば四角錐と 面Sで囲まれる部分 DS について面積分は0 面Sで区切られる微小四角錐の集合で 体積Vを作れば 閉曲面は微小四角錐体の入り口と出口の 総和なので面積分は0 21 ガウスの法則をクーロンの法則から導く ステップ(2-2) 電荷が閉曲面 S の中にあるときは, S を S1 と S2 に分ける. S2=S+S1 の寄与は上と同じく0 S1 の寄与はクーロンの法則を使えば ステップ(2-3) 電荷が多数あるとき(ie: 電気力線が曲がっているとき) 重ねあわせの原理により,左辺と右辺が足し算されるのみ 注1: ガウスの法則は万有引力を含む任意の逆二乗法則で成り立つ. 注2:電場を決めるには,体積内の電荷と外の電荷分布両方が必要であり, 一般的にはガウスの法則のみから決めることはできない. しかし,対称性の良い場合には決められることがある. 22 ガウスの法則とクーロンの法則は数学的に同等である証明(まとめ) 1)ガウスの法則からクーロンの法則を導く 電荷Qを中心とする半径 r の球面をガウス面として選ぶ 電場は面に垂直であり,かつ対称性により球面上で一定値をとる (図参照) 2)クーロンの法則からガウスの法則を導く (2-1) 一個の電荷が閉曲面の外にある場合 (a) 閉曲面を貫く微小四角錐体部分の面積分は0になる . (b) 閉曲面Sを包む体積Vを微小四角錐体の集合に分ければ, 閉曲面は微小四角錐体の入り口と出口の総和なので面積分は0. (2-2) 一個の電荷が閉曲面の中にある場合 閉曲面 S を電荷を中心とする小球面 S1 とそれ以外の S2 に分ける 閉曲面 S2 の面積分は (2-1)により0 閉曲面 S1 の面積分は (2-3) 重ねあわせの原理により,任意の電荷分布 (ie 任意の電気力線分布)で成立 注1: ガウスの法則は万有引力を含む任意の逆二乗法則で成り立つ. 注2:電場を決めるには,体積内の電荷と外の電荷分布両方が必要であり, 一般的にはガウスの法則のみから決めることはできない. しかし,対称性の良い場合には決められることがある. 23 立体角:2次元の角度 y 極座標の場合 24
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