1軸制御シングルドライブベアリングレスモータの 受動安定方向の回転子

The Murata Science Foundation
1軸制御シングルドライブベアリングレスモータの
受動安定方向の回転子振動の低減
Reduction of Rotor Vibration in Passively Stabilized Direction
in Single-Drive Bearingless Motor
H26海自23
派遣先 14th International Symposium on Magnetic Bearings
(オーストリア・リンツ)
期 間 平成26年8月8日~平成26年8月19日(12日間)
申請者 東京工業大学 大学院理工学研究科 助教 杉 元 紘 也
よりも多くの情報が収集できる点においても非
海外における研究活動状況
常に重要な国際会議である。さらに、期待さ
研究目的
れる効果として、ISMB14での発表とディスカッ
1軸制御シングルドライブベアリングレスモー
ションから得られた成果を基に、論文を執筆
タは、能動的に制御する軸数を削減すること
し、JSME Mechanical Engineering Journal、あ
で、ベアリングレスモータのコストを大幅に低
るいはSAGE Journal of Systems and Control
減できるため、冷却ファン、ブロア、小型ポ
Engineeringなどの国際ジャーナルに投稿する
ンプなど幅広い応用が期待されている。一方、
予定である。
能動的な制御軸数を減らしたため、受動安定
ISMBは、隔年開催のベアリングレスモータ
方向の振動が大きくなり、回転速度の高速化
や磁気軸受に関する国際会議であり、世界中
が困難となる課題がある。本研究の目的は、
のベアリングレスモータの専門家が出席してい
受動安定方向の振動の原因と低減方法を明ら
る。ベアリングレスモータの研究開発は、日本、
かにすることである。
米国以外にスイス、オーストリア、ドイツ、フィ
ンランドなど、欧州で盛んに行われている。特
海外における研究活動報告
にスイス連邦工科大学では、1990年代からベ
1.発表の目的および意義
アリングレスモータの研究開発が行われてきた。
The 14th International Symposium on Magnet-
大学発ベンチャー企業のLevitronix社では、半
ic Bearings(ISMB14)での発表の目的および意
導体製造装置用の超純水や特殊薬液用遠心ポ
義は、1軸制御ベアリングレスモータについて、
ンプ、人工心臓用遠心ポンプなどのベアリング
多くのベアリングレスモータの専門家とディス
レスモータを応用した製品が開発され、一部
カッションすることで、本研究の新たな課題を
商品化されている。
見出し、今後の研究の発展に繋げることであ
ISMB14が開催されたオーストリア、リンツ
る。また、ISMBは、ベアリングレスモータの最
のヨハネスケプラー大学では、1軸制御、2軸制
新の研究動向について、他のどんな国際会議
御、5軸制御ベアリングレスモータの研究開発
─ 411 ─
Annual Report No.29 2015
が行われている。特に、最近、冷却ファン用
タの実機展示やデモンストレーションがあり、
の小型1軸制御ベアリングレスモータの研究が
試作機にも関わらず、どれも非常にきれいに作
行われている。本研究と方向性やモータ構造
られていることに驚いた。コントローラも上手
などに類似点がいくつかあるため、研究発表を
にパッケージングされており、製品に近い形で
聞き、実際に携わっている研究者とディスカッ
あると感じた。デモンストレーションのレベル
ションすることは非常に重要である。
が高く、見習わなければならないと思った。ま
た、1軸制御ベアリングレスモータの研究者と
2.研究発表およびディスカッション
性能の評価方法や今後の課題についてディス
8/13に3相インバータ1台のみで浮上制御と
カッションを行った。直接話ができたことで、
回転制御を行う1軸制御ベアリングレスモータ
本研究の優位性が明らかになり、今後の研究
のセッションで“Reduction of Rotor Vibration
の発展のための有益な情報が得られた。
in Passively Stabilized Direction in Single-Drive
Bearingless Motor”という題目で研究発表を
4.本派遣における成果
行った。受動安定方向の振動の原因として以
ベアリングレスモータの一流の研究者たちと
下の2点を考えた。
(1)軸方向の振動の干渉に
ディスカッションを行い、本研究の優位性や
よる半径方向の振動、
(2)永久磁石の着磁バラ
課題が明確になった。また、ヨハネスケプラー
つきによる半径方向の振動。さらに、振動を
大学の実機展示やデモンストレーションを見
低減する方法として、回転角度検出誤差を低
て、試作機の作り方や見せ方が参考になった。
減し、軸方向の振動を低減することで、半径
本派遣は、今後の本研究の発展に非常に効果
方向の振動が低減することを理論と実験結果
的であった。
で示した。会場から、組立誤差が及ぼす振動
この派遣の研究成果等を発表した
への影響についてなどの質問があり、非常に有
著書、論文、報告書の書名・講演題目
意義なディスカッションが行われた。
Reduction of Rotor Vibration in Passively Stabilized
3.研究室見学
Sugimoto, S. Tanaka, and A. Chiba, in Proc. 14 th
Direction in Single-Drive Bearingless Motor, H.
ヨハネスケプラー大学のAmrhein教授の研究
室見学が行われた。8種類のベアリングレスモー
International S ym posium on M agnetic Bearings
( ISMB14), pp.127-131, August 11-14, 2014 Linz, Austria
─ 412 ─