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さ く ら ん ぼ
~やさしく・かしこく・たくまし く~
N0.3
平成 27年6月29日発行
山口大学教育学部附属幼稚園
URL:http://www.ymg-kg.yamaguchi-u.ac.jp
今月は、保育参加・保育アシスタント、ピーマンJr.の会があ
りました。実際に一緒に遊びながら、お子さんが、園でどんなふう
に過ごしているか新しい発見も多かったことと思います。また、ピ
ーマンJr.の会では園庭の清掃をありがとうございました。今回
の“さくらんぼ”は、園生活に慣れてきた風組さん花組さんが、友
達のしている楽しそうな遊びに加わったりまねたりし
ている姿と星組さんが大人に支えられて体験を積み重
ねていく姿、
「絵本に出会うとき」についてお届けしま
す。
楽しいことが広がって
梅雨に入り外遊びができない日も多くありますが、
子どもたちは、
室内でも楽しい遊びを見つけています。
風組 1 では、
「私、パン屋さんがしたいの」と言った子どもに、
先生が「いいわね」と一言。すると、周りにいた子どもが「私も」
と一緒に色画用紙を丸めてパンづくりが始まりました。
「塩パンが作
りたい」
「クロワッサンもあるよ」
「長いパンも(フランスパン)
」
「顔
のかいてあるパンも」など次々思いつき、たくさんのパンができま
した。パンを種類別に並べるとままごとのレジとお持ち帰りの袋を
用意し、さぁお店が始まります。気づいた子どもが、次々やってき
てお買いものをしていきます。花組さんも誘い買いに来てもらいま
した。するとパン屋に来た風組2の子どもが、店員はコックの帽子
とエプロンをつけ、トレーとトングを用意し、お客さんが来やすい
ようにテラスにパン屋を開いていました。
遊戯室では、思いっきり体を動かして遊ぶように、色々な運動遊
具をつなげたサーキットの場ができました。自分の背丈より少し高
い台からセーフティマットにジャンプし、
「やった」とばかりにっこ
り笑っています。胸の高さくらいの台に手をついて跳びあがる子ど
もがいると、
よじ登っていた子どもも跳びあがるようになりました。
「できるかな?」と思うことも、友達がしていると「おもしろそう」
「やってみたいな」という気持ちに変わるのでしょう。次々と子ど
もが増えてチャレンジしていました。幼稚園に慣れてきた花組さん
は、
パン屋さんに来たころから、
「風組さんにおもしろいことがある」
と思ったようで、遊戯室ものぞき、そのまま加わるようになりまし
た。今では先生が花組用に、小さ目のジャンプ台を用意して部屋で
同じ遊びが楽しめるようにしています。
星組さんが、遊戯室で「しっぽ取りゲーム」をしていました。星
組がいなくなったとき、いつもステージでダンスをしていた風組の
子どもたちがしっぽ取りを始めました。ダンスをしながらも楽しそ
うに盛り上がる星組の様子をしっかり見ていて、ルールも守って遊
んでいます。
新年度から 2 か月たち、風組は、進級新入児入り混じって遊び、
楽しそうな場ができると次々子どもが加わるようになってきていま
す。楽しそうなことは、よく見てまねて自分の遊びに取り込んでい
るようです。また、園に慣れて行動範囲が広がりつつある花組さん
も、歳の近い風組さんの楽しそうな様子をまねて遊ぼうとする姿が
見られるようになってきています。これからも楽しく遊ぶ姿が、子
どもたちの中にたくさん広がっていくようにと願っています。
(髙見)
子どもと保護者と保育者と園の協力者と共に
梅雨の晴れ間に星組は大学の附属農場でジャガイモを収穫しま
した。少しぬかるんだ畑の土にまみれながら子どもたちはスコップ
で、アシスタントのお母さんとお父さんは鍬で掘って、ジャガイモ
を探しました。掘り出したジャガイモはお店で売られているような
大きさや形のものばかりではありません。掘る途中でチョップして
しまったものや石ころかと思うような小さなものまで宝物のように
みんなで集めました。泥でぐちゃぐちゃになった長靴のまま用水路
に入り、水遊びがてら長靴を洗ったり、水をかけられたり、かけた
りして涼みました。それを楽しむ子どももいれば、泥や水で服が汚
れたことを気にし「すぐにでも着替えたいと」保育者に嘆く子ども
もいます。
「そのぐらいのこと気にしないでまだ遊ぶぞ」と保育者に
言われ、聞き入れてもらえないとアシスタントのお母さんに向かい
「大丈夫よ、すぐ乾くわよ」と言われ、次のお母さんにも「大丈夫
よ」と言われていました。そのままの姿で牛にえさをあげたり、ク
ワの実を食べたりして過ごしていました。お昼になり野菜レンジャ
ー(農場の技官さん)がみんなで掘ったジャガイモを蒸して食べさ
せてくださいました。いい汗をかいて、いい具合に服も汚れた子ど
もたちは手をきれいに洗って丸ごとのジャガイモをほおばりました。
服の汚れを気にしていた子どももそのままの姿で食べていました。
「家ではジャガイモ食べません」とお母さんが言われていた子ども
も、友達の姿につられたのか一緒に食べていました。
そのジャガイモの中から選りすぐった大きなジャガイモが園の
みんなで食べるカレーの材料になりました。保育アシスタントに見
守られながら、真剣な表情で包丁を使い、玉葱とかまどの煙で涙を
流し、120人分のカレーをみんな
で力合わせてつくりました。
「星組さ
んごちそうしてくれてありがとう」
という年下のクラスから称賛を浴び、
星組の 1 学期の「つくって食べること」の花形行事を終えました。
このようにカレー作りまでに、子どもたちは友達とのかかわりと
たくさんの大人に支えられながら、体験を積み重ねています。同じ
体験をしていても子どもごとに楽しさや難しさを感じるところには
違いがあります。
そこにはその子どもにとって必要な気づきがあり、
その子どもにとってのチャレンジがあります。このような様々な人
とのかかわりとゆったりとした生活体験を通じて、その子どもらし
くその子どもの必要感で学び育っていくことを願っています。
(高田)
絵本と出会うとき
子どもの時に絵本を読んでもらった記憶はみなさんの中にどれ
だけ残っていますか?私は思い返す時、感情をこめて読んでくれた
母の声や、しっかりと私を抱いて読んでくれた祖父のごつごつした
手の力強さや、ポロシャツについたタバコの匂いを思い出します。
全ては覚えていませんが、何度も好きで読んだもらった絵本や寝る
ときに読んでもらった情景などは思い出せます。
1冊の絵本は短く、
絵本を読んでもらうのは1日の数分の出来事ですが、その数分が大
人になった今でも深く心に残っています。大好きな人が自分のため
に読んでくれている、満たされた幸せな時間は短くても残っていく
のかもしれません。
幼稚園の降園前の集まりの時間、どれだけのことが残っていくの
だろうと思いながらも、絵本のもつメッセージやユーモアや絵のお
もしろさなどを伝えたいと思い絵本を手に取ります。子どたちは絵
本を聞きながら、驚いて一緒に声をあげたり、手をたたいて笑った
り、友達と目をあわせたり、隣にいる友達を感じながら楽しんでい
る様子が見られます。
そんな魅力的な絵本が集まった場所が幼稚園の図書コーナーで
す。図書部さんが子どもたちのために整理整頓してくださっていま
す。図書コーナーで行われる図書部さんの読み聞かせは子どもたち
が毎回楽しみにしています。お母さんたちが読んでくれることは、
普段、保育室で読んでもらうのとは違い、特別で、楽しみなのだと
思います。どのお母さんが読んでくれるの?どんな絵本を読むの?
子ども達は読んでくれるお母さんたちの様子もよくみています。
子どもたちは、膝の上でじっくり読んでもらったり、たくさんの
友達と一緒に読んでもらったりしながら、絵本と出会うとき絵本の
世界だけでなく、絵本を通して、側にいる大人や友達にも出会って
いくのだと思います。
ぜひ幼稚園の図書コーナーも利用してみてください。いろいろな
絵本に出会って、お子さんとの時間を楽しんでくださいね
(図書担当:辻村)
(第 3 号編集:髙見)