研究テーマ 形や色、イメージについての思考が深まる図画工作科の指導

研究テーマ
形や色、イメージについての思考が深まる図画工作科の指導
提案者
Ⅰ
研究テーマについて
1
テーマ設定の理由
坂
井
貴
文
形や色、イメージとは図画工作科において重要な要素である。小学校学習指導要領解説図画工作編
では〔共通事項〕として表現及び鑑賞の活動を通して指導していくと述べられている。形や色、イメ
ージについての思考が深まることで、造形的な創造活動の基礎的能力が、より働くようになると考え
る。形や色、イメージについての思考が深まることとは、形や色から多様なイメージをもち、それを
基に自分の考えを更新させていくことである。例えば青色の三角のような形や色から、氷山、船、魚
など、多様なイメージをもち、それを基に、表したい世界について考えを更新させていくことである。
これまでの実践では、自分と友人との間、自分と作品との間、自分と材料や用具との間で行われる
コミュニケーションを大切にしてきた。自分と友人との間では、友人と共に学ぶことのよさを生かせ
るように、ある形や色から一緒に見立てを行って、イメージをもてるようにしたり、友人の表現を自
分の表現に生かして形や色を考えたりしてきた。次に自分と作品との間では、自分の活動や作品の価
値を感じることができるように、作品の形や色に込められた思いや願い、自分の形や色の表し方の変
化について振り返ることを行ってきた。そして自分と材料や用具との間では、材料や用具の特性を感
じることができるように様々な方法を試して、様々な形や色をとらえてきた。これらのコミュニケー
ションを大切にすることで、形や色、イメージについてよく考え、自分なりのイメージをもつ児童の
姿が見られた。その一方で、自分の考えを更新できずに、活動が停滞する児童の姿も見られた。
そこで本研究では、児童がどのように形や色からイメージをもち、考えを更新させていくのかにつ
いて着目し、友人との学び
合いを重視していく。重視
する理由は、児童が一人で
は思い付かないような考え
をもつようになり、自分の
考えを更新していくのに効
果的であると考えるからで
ある。友人との学び合いと
は、例えば、夜の街を表そ
うとしている児童が、友人
の表した形や色を目的をも
って見る。そうすることで
自分では考えられなかっ
た、夜空の色の組合せにつ
いて考えるようになった
り、夜の街に現れる動物に
ついて思い付くようになったりするということである。
具体的な指導としてはまず、教師が実際に表す場面を見せ、題材の魅力を話す。そして、題材の可
能性について友人と話し合う。そうすることで、題材ならでは
の形や色について考えるようにする。次に活動の写真を貼った
「アーティストたちの足あと」を活用する。教師が学級全体に、
児童の活動や表した形や色のよさを示し、自分の考えに生かす
ようにする。次に児童の作品を基に、活動の過程で考えていた
ことを、学級全体で話し合う「なるほどタイム」を設定する。そ
うすることで形や色について考えるきっかけにする。そして、
児童が表したものを基にした参考作品を展示した「5-1ミュ
ージアム」を設置する。教師が、児童の状況に合わせ、友人が
表した形や色をどう生かすか対話して、多様なイメージをもて
るようにする。このようにして自分の考えを更新するようにし
ていく。
以上のような理由で、上記の研究主題を設定した。
2
テーマにせまるための方策
テーマにせまるために、次のような視点及び手立てを講じ、実践を通して検証を試みる。
視
点
友人と学び合うことによって、形や色、イメージについての思考が深まるようにする。
〈手立て〉
(1)
「アーティストたちの足あと」の活用
友人と学び合うために、活動の写真を貼った「アーティストたちの足
あと」を活用して、教師が
学級全体に、これまでの児童の活動のよさや、 表した形のよさを示す。
(2)
(第4~7時)
「なるほどタイム」の設定
友人と学び合うために、作品を基に、活動の過程で 考えていたこと を授業の初めに、学級全体
で話し合い、形やイメージについて考える
きっかけをつくる「なるほどタイム」を設定する。
(第4~7時)
(3)
「5-1ミュージアム」の活用
友人と学び合うために、児童が表したものを基にした参考作品を展示した「5-1ミュージアム」
を設置する。そこで児童の状況に合わせて、友人が表した形を、どう生かすか対話する。
(第4~7時)