研究紀要 「自分の思いや考えを伝え合うことができる子の育成」 草加

平成 26・27 年度草加市教育委員会研究委嘱
「自分の思いや考えを伝え合うことができる子の育成」
~単元を貫く言語活動を通して~
研究紀要
草加市立瀬崎小学校
研究全体構想図
研究主題
国語科:自分の思いや考えを伝え合うことができる子の育成
めざす児童像
自分の思いや考えをもつことができ、それらを伝え合い、学び合うことができる子
平成 22 年度
平成 24 年度
自分の思いや考えを
もつことができる
音読、並行読書
7つのかぎ、10 の観点
好きな場面の紹介
本の紹介
単元を貫く言語活動
(物語文)
平成 25 年度
平成 26 年度
伝え合うこと
ができる
平成 28 年度
伝え合い、学び合う
ことができる
単元を貫く言語活動
(説明文)
自分の思いや考えをもつことができる
伝え合うことができる
仮説2
仮説1
課題やテーマの設定を工夫し、相
手に考えや思いを伝えたい意欲を
高めれば、わかりやすく表現する力
が身に付くだろう。
低学年の取組
指導事項:C 書くこと
自分の考えや思いを伝え合うことができれば
(低)相手のよさに気付くことができるだろう。
(中)一人一人の感じ方に違いがあることに気付くこと
ができるだろう。
(高)自分や受け手の思いや考えをさらに広げたり深
めることができるだろう。
単元構想図
時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読むこと
単元を貫く言語活動:自動車の図鑑を作成し、調べたことを紹介し合う。
第1次(1時間)
第2次(5時間)
【単元を貫く
【「じどう車くらべ」
言語活動を知る】
を読む】
・教師自作の「自動車 ・教材文に出てくる5
図鑑」の紹介を聞き、 つの働く自動車の
「し
活動の見通しをもつ。 ごと」と「つくり」に
① ついてまとめる。
②③④⑤⑥
第3次(4時間)
第4次(2時間)
【並行読書を通して
図鑑づくりを行う】
・紹介したい働く自動車の
「しごと」「つくり」を読み
取り、その自動車の説明文を
書く。
⑦⑧⑨⑩
【調べた自動車を紹介し合う】
・自分で選んだ自動車の「しご
と」と「つくり」を、自動車図
鑑を用いて紹介し合う。
・感じたり考えたりしたことを
伝え合う。
⑪⑫
並行読書: 働く自動車の図鑑
・興味関心
・見通し
・説明文の構成
の読み取り
・「しごと」と「つくり」の
読み取り
・説明文の構成
・感想の伝え合いの仕方
身に付けさせたい力:事柄の順序を考えながら必要な情報を読み、文章の中の大事な言葉や文を
書き抜き、必要な事柄についてまとめて伝える力
中学年の取組
単元構想図
指導事項:B 書くこと
文章の内容を的確に理解し、構成や段落相互の関係に注意しながら、
文章を書くことができる。
単元を貫く言語活動:大事な言葉や中心文に気をつけて読み、自分の読み取ったことを
文章で友達に伝える。
第1次(2時間)
第2次(5時間)
第3次(5時間)
第4次(4時間)
【単元を貫く
言語活動を知る】
・
「食べ物のひみつブ
ック」を作って友達
に「へえー」と言わせ
ようとする学習計画
を立てる。
①②
【
「すがたをかえる大豆」
の構成を確認する】
・「食べ物のひみつブッ
ク」には、どんな文章を書
いたらよいか考える。
・出てきた食品について
整理する。
③④⑤⑥
【取材したものから、一
つを選び、
「へえー」と
言わせるように工夫し
て文章に書く】
・
「へえー」と言わせる文
章にするには、どんな工
夫があるか考える。 ⑦
【食品の工夫につい
て自分で本を探し
て読む】
・大豆にほかにどんな
食品がすがたを変え
ているのでしょう。
⑧
・自分の考えの伝え方
・構成や表現の工夫
・興味のある本を選
んで読む
並行読書:加工食品に関する本
・興味関心
・見通し
・文書構成の
確認
身に付けさせたい力:文章の内容を理解し、自分の考えを友達に伝える力
高学年の取組
単元構想図
指導事項:B 書くこと
引用したり、図表やグラフなどを用いたりして、
自分の考えが伝わるように書くこと。
単元を貫く言語活動:図表やグラフを用いて自分の考えを表現し、
パネルディスカッションを通して説明する。
第1次(1時間)
第2次(3時間)
第3次(5時間)
第4次(4時間)
【単元を貫く
言語活動を知る】
・資料を用いた説明
文を書いて交流する
活動をすることを知
り、単元計画の見通
しをもつ。
①
【「天気を予想する」
を読む】
・説明文中の3つの
問いの答えを説明す
る際の資料の効果を
考える。
②③④
【テーマに対する自分の
考えを整理する】
・あるテーマに対する自
分の考えを説明するのに
効果的な資料を探し、そ
れを添付した説明文を書
く。
⑤⑥⑦⑧⑨
【パネルディスカッションをする】
・資料が添付された説明文
をもとにパネルディスカッションを
する。
・友達の説明の仕方の効果
について考える。
・資料添付のよさについて
考える。
⑩⑪⑫⑬
・興味関心
・見通し
・効果的な説明
のしかた
・事実と意見の区別
・構成や表現の工夫
・友達の考えの根拠
・自分の考えの伝え方
身に付けさせたい力:資料を用いて、自分の考えを効果的にわかりやすく表現する力
調査結果
研究授業の前後で児童アンケートを実施、主な結果は以下のようになった。
●低学年ブロック●
・ペアを変えて繰り返し交流学習を行ったことにより、自分から発言することに慣れたり、自分の思
いを伝えることに楽しさを感じている児童が多かった。
・本を読むことが楽しいと感じている児童が増え、図書室を利用する児童が増えた。
●中学年ブロック●
・話を聞いたり、意見を言ったりする活動を多く取り入れたことにより、友達の考えを知ることに興
味が出て、自分の考えと比較することができるようになった児童が増えた。
●高学年ブロック●
・教材以外の説明文を読む機会を多く設定したことにより、児童の知的好奇心を伸ばすことができた。
・ペア学習や小集団での話し合いの機会を多く設定したことにより、友達に自分の考えを伝えたり、
友達の考えを知ったりすることが好きな児童が増えた。
成果と課題
◎成果◎
・児童が学習活動の見通しをもつため、今の時間の学習内容が何のためなのかを把握している。
・活動内容がしぼられているため、児童は集中し楽しそうに学習している。
・児童は紹介し合ったり、教え合ったりする活動に楽しさを感じるようになった。
▲課題▼
・つけたい力を身に付けるための最適な言語活動の選び方、学習計画の立て方を探究していきたい。
・共通教材で学んだことを並行読書に活かすための手立てを探究していきたい。
・話し合い活動の進め方について校内での系統性を探求していきたい。