研究主題 自ら学び,ともに追究し,高め合う子の育成

研究主題
自ら学び,ともに追究し,高め合う子の育成
∼コミュニケーション能力を生かすことを通して∼
主題設定の理由
子供たちを取り巻く環境は年々複雑・多様化している。核家族化が
進む中、ゲームやパソコン、携帯電話に興じるなど、直接人とのかか
わりを持つ機会が少なくなってきている。その影響からか、自分の気
持ちをうまく伝えられずに感情的、衝動的な行動をしてしまう子供や
自分の考えに自信が持てず、言われたことはできるが、自ら考えて行
動することが苦手な子供を目にすることが多い。
そこで、私たちは、子供たちが自分の周りの人や物事と主体的にか
かわり合いながら学んでいく必要があると考え、研究主題を『自ら学
び、ともに追究し、高め合う子の育成』と設定した。
また、子供たちが主体的にかかわり合うとは、自分の考えを進んで
他人に伝えたり、他人の考えを積極的に受け入れたりすることであり
この活動を通して、自分たちの考えを高めたり、深めたりすることが
できると考えた。すなわち、研究主題に迫るには、子供たちのコミュ
ニケーション能力を高め、生かしていくことが必要であると考え、副
主題を『コミュニケーション能力を生かすことを通して』と設定した。
コミュニケーション能力
私たちは、コミュニケーション能力を、『互いの立場を尊重しなが
ら、適切に考えや思いを伝えたり、相手の考えや思いを正確に理解し
たりする力』と捉え、そこには、『伝える』『聞く』『かかわる』の
3つの要素があると考えた。
具体的なコミュニケーシ
ョン能力
そこで、この3つの力を発達段階に応じて、次のようにコミュニケ
ーション能力を具体化した。
つけたい力
レベル
1
(低)
レベル
2
(中)
レベル
3
(高)
伝える
聞
く
相手によく分かる
ように話すことが
できる
相手の話を最後
まで聞くことが
できる
相手の立場を尊重
しながら、自分の
考えや思いを伝え
ることができる
周りの人の考えや
思いにふれること
で、自分なりの考
えを深めて伝える
ことができる
相手の考えや思
いを理解しなが
ら聞くことがで
きる
自分の考えとか
かわらせながら
周りの人の意見
を聞くことがで
きる
そして、次のようにめざす子供像を設定した。
かかわる
かかわり合いを通し
てふれあい、自分に
目を向けることがで
きる
かかわり合いを通し
て認め合い、相手の
立場や考えに目を向
けることができる
かかわり合いを通し
て高め合い、新たな
考えを創造すること
ができる
めざす子供像
≪低学年≫
自分の考えを分かりやすく伝える子
≪中学年≫
考えや思いの違いや共通性が分かる子
≪高学年≫
考えや思いを関係付けながら高め合う子
≪特別支援学級≫他者を意識して活動する子
しかし、コミュニケーション能力を高めるには、単に技術的な面だ
研究仮説
けに焦点を当てるのではなく、子供たちの内面に着目し、心を開き、
耕す必要があると考えた。すなわち、子供たち一人一人の道徳性を高
める必要がある。そして、その中でこそ、コミュニケーションは発揮
されるものであると考え、研究の基盤を、『心の通い合う学級』とし
次のような研究仮説を設定した。
①
②
構成的グループエンカウンターやソーシャルスキルを取り
入れるなど、子供たちの道徳性を高める取り組みを積み重
ねていけば、子供たちは互いに認め合い、心を通い合わせ
ることができるであろう。
協同的な学習の場で子供たちをかかわらせたり、学級の枠
を超えた場で主体的に活動させたりすれば、子供たち一人
一人が活躍でき、コミュニケーション能力が活性化され、
自ら学び、ともに追究し、高め合う子を育てることができ
るであろう。
研究構想図
自ら学び、ともに追究し、高め合う子の育成
∼コミュニケーション能力を生かすことを通して∼
≪ め ざ す 子 供 像 ≫
低 学 年 :自分の考えを分かりやすく伝える子
中 学 年 :考えや思いの違いや共通性が分かる子
高 学 年 :考えや思いを関係付けながら高め合う子
特別支援学級:他者を意識して活動する子
≪広がる活動≫
≪協同的な学習≫
ペア学習
グループ学習
コミュニケーション能力が
活性化した授業
異年齢交流
委員会活動
岡崎聾学校
との交流
コミュニケーション能力の
高まり
≪子供の実態把握≫
Q−U
ソーシャルスキ
ルアンケート
≪ふれあい活動≫
エンカウンター
ソーシャルスキル
心の通い合う学級
教師の願い
子供の実態
地域の実態
研究の手だて
ふれあい活動
(1)がんばりタイム、月1回の活動について
○がんばりタイムの活動
〈月曜日〉全校集会
〈火曜日〉ふれあいタイム
ふれあい活動(エンカウンターやソーシャルスキルの
ショートエクササイズ)を行う。
〈水曜日〉ドリル学習(漢字・計算)
〈木曜日〉読書(一人読み・読み聞かせ)
〈金曜日〉ボール体操
※第4金曜日に委員会の集会活動を行う。
○月1回、学級や道徳の時間にふれあい活動(ロングエクササイ
ズ)を行う。
○内容について
・子供の実態や教師の願いに応じて、エクササイズ資料集や昨年の
紀要などを参考にエクササイズを選定し、実践する。
・教師主導のものだけでなく、子供が考えた活動も取り入れる。
・心を通わせる時間と考え、エクササイズをする時間だという捉え
方をしない。
・ふりかえりの場を設ける。
○記録について
・月1回のふれあい活動の様子を背面掲示板に掲示し、自分たちの
活動のふりかえりの手助けにする。
全校ふれあい活動
(2)全校ふれあい活動について
○集会委員会が中心に全校ふれあい活動を行う。(学期に1回程度)
○たてわりふれあい活動を学期に1回行う。火曜日(計画する日を
入れ学期に2日)
○委員会ごとの集会活動を年1回程度行う。(第4金曜日)
子供の実態把握
(3)子供の実態把握について
○学期末にアンケートを行い、学級や子供の実態を把握する。
・Q−Uの実施(1学期)
・ソーシャルスキルアンケートの実施(2学期)
めざす授業
≪協同的な学習≫
(4)めざす授業
≪協同的な学習≫
○かかわり合いを通して、学び合い、高め合う授業を行う。
○授業では、あくまでも教科の目標が第一である。そのために、単
元のどの段階で協同的な学習 ( かかわりをもたせること ) を位置
付け、どのような手だてが有効であるかを追究する。
○授業スタイル
①実態把握
②全員の子が自分の考えを持ち、伝え合う場の設定
③グループや学級でかかわりを持ち、高め合う場の設定
④ふりかえりの場の設定
○コの字型の机配置を活用する。(全体でかかわりを持つ場)
○子供同士の相互評価を積極的に取り入れる。 ( ふりかえりの場 )
その他
(3)その他
○指導案の検討の方法について
①4週間前:授業者が構想を練る
②3週間前:低中高特学年部会審議 (研究企画委員、教科主任も参加)
単元構想、展開の具体的な検討
③2週間前:指導案4部提出(校長・教頭・教務・研究主任)
単元の構想、展開の再検討
④1週間前:指導案完成(教務へ)
※授業者の先生から、各部会の先生に声をかけて進める。
○研究授業の進め方
・授業の検討や協議は低中高特学年部会を中心に行い、記録につい
ても部会で分担する。(ビデオ、写真など)
・授業者は参観の視点を示し、参観者はその視点から参観する。