[第2回]発熱 - 行徳総合病院

こどもの病気【第2回】
発熱
Ⅰ.お子さんの平熱を知っていますか?
こどもの体温は一日のうちでも変動します。一般的には、朝が最も低く、夕
方に一番高くなり、その差は 0.5 から 1℃にもなります。年齢、季節などによっ
ても変わります。体温計の種類や測り方によっても変わります。一般には、
37.5℃くらいまでは平熱と考えていいでしょう。重要なのは、お子さんの平熱
を日頃から知っておくことです。
Ⅱ.熱は何のためにでるの?
細菌やウイルスといった感染症の原因物質は一般に平熱を好み、高温を嫌い
ます。発熱は、からだ本来の抵抗力を高め、原因物質の力を弱めるといったか
らだの防御反応であり、正常な反応です。安易に解熱処置をすることは間違い
です。39℃以下では、解熱処置はほとんど必要ありません。39.1℃~41℃の間
の場合は顔色が悪くグタッとしているときや呼吸が苦しそうなとき、その他何
か基礎疾患を持っているときなどは解熱剤を投与するなどの処置が必要になり
ます。42℃以上の高体温が続くと生命に危険が出てきますので積極的な解熱処
置が必要になります。しかし、あくまでも平熱にすることが目的ではなく、生
命的危険や苦痛から脱出させることを目指します。こどもは大人に比べ熱に強
く 38℃位まではわりと平気なものです。
Ⅲ.熱がでたらどうするの?
41℃以下の熱で頭がおかしくなるということはありません。また、熱が高け
れば病気が重いとも限りません。顔色も良く、機嫌も良くて水分が取れていて
他の症状がそれほど強くなければあわてる必要はありません。発熱に気づいた
らまず薄着にさせ、室温も少し低め(20~25℃)にしてください。夏場は、直
接風に当たらなければエアコンも効果的です。掛け物も薄くし水分を十分に与
えてください。小さな氷ちん(ビニール袋に氷を数個入れたもの)で脇の下や
脚の付け根、首の付け根などの血流の多い部分を冷やすのが効果的です。お母
さんのタイツを切っていただき、その中に氷ちんを 2 個入れて、たすきがけに
するなどの方法もあります。熱が上がってくる途中では、手足が冷たくなった
り、ガタガタと震えて寒気を訴えることがあります(悪寒戦慄)。このような時
は布団をかけたり、靴下を履かせたりしてあげてください。しばらくすると熱
がり汗をかくようになります。そうなったら積極的に冷やしてください。イン
フルエンザのときなどは使える解熱剤の種類が限られます。もし解熱剤を使用
するときは、適切な種類を適切な量で使用することが大切です。
Ⅳ.早めに病院に行ったほうがいいときはどんなとき?
意識がはっきりしないときや嘔吐が激しく水分が取れないとき、3ヵ月未満
の乳児の高熱などは比較的早期に病院を受診したほうがいいでしょう。長いけ
いれんや、けいれんを繰り返すときも受診したほうがいいでしょう(熱性けい
れんについては次回を予定しています)。
行徳総合病院小児科 佐藤俊彦