平成27 年 5 月号 厚生年金に加入していた方が退職後、厚生年金の適用事業所へ再就職する場合は、引き続き厚 生年金に加入しますが、それ以外の 20 歳以上 60 歳未満の方は国民年金への加入手続きが必要と なります。なお、厚生年金に加入していた方に扶養されていた 60 歳未満の配偶者についても、 同様に国民年金への加入手続きが必要となります。 退職後の年金加入 年齢 こんな場合 ・再就職する 加入する年金制度 参照項目 厚生年金 A ・自営業者となる ・短時間のパート、アルバイトで働く 60 歳未満 ・無職の方 ・自営業者等で国民年金に加入している方の 国民年金 B (第 1 号被保険者) 配偶者となる ・厚生年金(共済組合)に加入している方の 被扶養配偶者となる ・再就職する (第 3 号被保険者) A 国民年金(任意加入) D 厚生年金 A ・公的年金の受給資格期間が不足している 国民年金(任意加入) D ・公的年金の受給資格期間が不足している 厚生年金(任意加入) E ・満額の老齢基礎年金が受けられない 70 歳以上 C 厚生年金 60~64 歳 ・公的年金の受給資格期間が不足している 65~69 歳 国民年金 ・再就職する A.厚生年金の適用事業所へ再就職した場合 厚生年金の適用事業所に再就職する方の加入の手続きは、事業主が行いますので、年金手帳を 事業主に提出する必要があります。なお、厚生年金に加入するか、加入しないかの判断基準は、 給料の額ではなく、勤務時間と勤務日数で判断されます。その目安は、1 日または 1 週間の勤務 時間と 1 ヵ月の勤務日数のそれぞれが、同様の仕事をする正社員と比べて、おおむね 4 分の 3 以 上の場合に加入することになります。 B.国民年金の第 1 号被保険者になった場合 日本国内に住んでいる 20 歳以上 60 歳未満の方で、厚生年金や共済組合に加入している方(第 2 号被保険者)および第 2 号被保険者に扶養されている配偶者(第 3 号被保険者)以外の方は、 全て国民年金の第 1 号被保険者となります。 C.国民年金の第 3 号被保険者になった場合 厚生年金や共済組合に加入している方(第 2 号被保険者、ただし、65 歳以上 70 歳未満で老 齢年金の受給権を有する人は除く)に扶養されている 20 歳以上 60 歳未満の配偶者は、国民年 金の第 3 号被保険者となります。 第 3 号被保険者の認定基準 第 3 号被保険者になるには、第 2 号被保険者(扶養する方)によって生計が維持されている ことが条件となりますので、収入のある方が第 3 号被保険者として認定されるためには、以下 の①・②の認定基準により判断されます。 ① 認定対象者の年収が 130 万円未満(一定の障害がある場合は 180 万円未満)で、かつ第 2 号被保険者の年収の半分未満であれば、原則として第 3 号被保険者になります。 ② 第 2 号被保険者と別居している場合は、認定対象者の年収が 130 万円未満(一定の障害があ る場合は 180 万円未満)で、かつ第 2 号被保険者からの援助額より少ないときに第 3 号被保 険者となります。 D.国民年金に任意加入する場合 60 歳以上で老齢年金の受給資格期間(原則として公的年金に 25 年以上加入する必要があり ます)を満たしていない方や受給資格期間は満たしているが国民年金保険料を納付した月数が 少なく老齢基礎年金の満額(40 年間保険料納付分,平成 27 年度は年額 780,100 円)が受けら れない方は、65 歳になるまで国民年金に「任意加入」することができます。 なお、昭和 40 年 4 月 1 日以前生まれの方で老齢年金の受給資格期間を満たしていない方は、 特例措置として 70 歳になるまでの間、受給資格期間を満たすまで「特例任意加入」することが できます。 E.厚生年金に任意加入する場合 厚生年金は 70 歳になるまで加入することができますが、70 歳以上になっても老齢年金の受 給資格期間を満たしていない方で、事業所に勤めている方は受給資格期間を満たすまで「高齢 任意加入被保険者」として厚生年金に任意加入することができます。 国民年金保険料の納付 平成 27 年度の国民年金保険料は月額 15,590 円ですが、あらかじめ一定期間分(半年分、1 年分、2 年分)の保険料を一括納付すると保険料が割引になる前納制度や、口座振替で納付する と保険料が割引になる早割制度があります。 第 1 号被保険者(保険料免除を受けている方、国民年金基金加入中の方は除く)と任意加入 (特例任意加入は除く)をしている方は、付加保険料(月額 400 円)を納付すると老齢基礎年 金とあわせて付加年金が受けられます。付加年金の年金額(年額)は「200 円×納付月数」で計 算されますので、付加保険料を払った分については 2 年で元が取れることになります。 なお、国民年金保険料の納付が困難なときは、保険料免除制度(法定免除・申請免除)があ ります。退職により保険料の納付が困難なときは、失業を理由として国民年金保険料の免除申 請をすることができますので、住所地の市区町村役場の国民年金窓口にご相談ください。 *執筆 特定社会保険労務士 和田 満*
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