1 【第36 問】解答例 以下,次の略称を用いています。 ①

平成27年度司法書士試験記述式解答例
東京法経学院
【第 36 問】解答例
☞ 以下,次の略称を用いています。
① 答案作成に当たっての注意事項→注
② (平成 27 年○月○日○○から聴取した内容〕→聴取内容
③ 〔事実関係に関する補足〕→補足
第1欄
登記の目的
所有権移転 →甲土地甲区2番で登記
登記原因及びその日
付
申請人の氏名又は名
称
平成 26 年 11 月 7 日相続 ←別紙4,民 882,
添付情報
ケ,オ,<▽カ>
☞ 登記原因証明情報(不登 61,不登令別表二十二・添)
☞ 「カの民事光太郎の戸籍の一部事項証明書」は不要であると解するが,記載し
ても減点対象としないことを希望する。
キ<×ク>
☞ 住所証明情報(不登令別表三十・添ロ)
,注2⑵(不登令9)
・⑷の指示
<×代理権限証明情報(民事三郎の委任状)>
☞ 不登令7Ⅰ②,注2⑶の指示により記載不要
登録免許税額
金 69 万 9,700 円<×金 69 万 9,732 円>
☞ 金 1 億 7,493 万 3,000 円<×金 1 億 7,493 万 3,900 円>(聴取内容1)×4/1000
☞ 課税価格(不動産の価額,登録税 10Ⅰ)に「1000 分の4」の税率を乗じて計算
した額を登録免許税とする(不登規 189Ⅰ,登録税別表第一・一・
(二)イ)
。
☞ 課税価格は,
「1,000 円」未満を切捨てる(四捨五入しない)ことに注意(国税
通則 118Ⅰ)
。
☞ 登録免許税額は,
「100 円」未満切捨(国税通則 119Ⅰ)
相続人(被相続人 民事次郎) ←被相続人の住所の記載不要
☞ 注1⑴前段の指示により,申請人の資格を「相続人」と記載する(不登 63Ⅱ)
民事三郎 ←注1⑵の指示により,住所の記載省略,登記識別情報通知(不登 21 本
文)
<×民事光太郎> ←養子縁組前の養子の子(民 887Ⅱただし書,727)
,別紙4
第2欄
⑴ 1 番目に申請すべき登記
登記の目的
2番<×共同>根抵当権変更<×(付記)>
☞ 甲土地乙区2番付記1号,乙建物乙区2番付記1号で登記(不登 66,不登規3
②)
。常に付記登記で実行(∵登記上の利害関係人なし)
☞ 甲土地と乙建物につき一括申請可(不登令4ただし書)
,補足4の指示
登記原因及びその日
付
変更後の事項
平成 26 年 11 月 7 日相続 ←別紙4,民 882
債務者(被相続人 民事次郎)
東京都中央区日本橋人形町六丁目6番6号
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平成27年度司法書士試験記述式解答例
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民事三郎
☞ 抵当権と異なり,被相続人の氏名をかっこ書する。
☞ 注1は,
「申請人の氏名又は名称の欄」に解答を記載するに当たっては,住所を
記載することを要しないとしているのみで,
「変更後の事項の欄」ついては,何ら
指示がされていないので,住所を記載すべきと考える。
申請人の氏名又は名
称
権利者 XYZ信用金庫
☞ 根抵当権者(不登 60)
,注1⑵の指示により,本店及び代表機関の資格及び氏
名の記載省略,
義務者 民事三郎
←甲土地の根抵当権設定者
株式会社東京ホテル ←乙建物の根抵当権設定者
添付情報
ケ,オ,<▽カ> ←登記原因証明情報(不登 61)
,共同申請ゆえ報告書様式のもので
も可
サ ←民事三郎の甲土地甲区2番の登記識別情報(不登 22 本文)
セ ←株式会社東京ホテルの乙建物甲区1番の登記済証(不登 22 本文)
ツ,ト ←民事三郎及び株式会社東京ホテルの代表者の作成後3か月以内(不登令 18
Ⅲ,注2⑸)の印鑑証明書を添付する(不登規 49Ⅱ④→48Ⅰ⑤→47③イ⑴
かっこ書)
ア ←資格証明情報(不登令7Ⅰ①)として,作成後3か月以内(不登令 17Ⅰ)の株
式会社東京ホテルの履歴事項一部証明書(別紙3)を添付する。注2⑵の指示に
より添付省略の処理はしない(不登令7Ⅰ①かっこ書,不登規 36Ⅰ①)
。注2⑶
の指示により,XYZ信用金庫の登記事項証明書は記載不要
<×代理権限証明情報(XYZ信用金庫の代表者,民事三郎及び株式会社東京ホテル
の代表者の各委任状)> ←記載不要
登録免許税額
金 2,000 円<×金 1,000 円>
☞ 1,000 円×不動産「2個」
(甲土地・乙建物)<登録税別表第一・一 (十四) 変
更登記>
⑵ 2番目に申請すべき登記
登記の目的
<×2番根抵当権元本確定>
☞ 前件の申請により,登記記録上元本の確定は明らかであるから(民 398 の8
Ⅳ)
,補足4の指示により登記申請省略
2番<×共同>根抵当権一部移転
☞ 弁済額が極度額を超えるが,被担保債権の一部の代位弁済であるから,
「一部」
移転とする。
☞ 甲土地と乙建物につき一括申請可(不登令4ただし書)
,補足4の指示
☞ 甲土地乙区2番付記2号,乙建物乙区2番付記2号で登記(不登規3⑤)
登記原因及びその日
付
平成 27 年6月 5 日一部代位弁済
☞ 別紙5,聴取内容2・3,民 500,501,502Ⅰ,398 の7Ⅰ後段
変更後の事項
なし<▽弁済額 金 6,534 万 5,566 円 >
☞ 本来は「弁済額」を記載すべきであるが(不登 84,不登令3⑬・別表五十七・
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申)
,これは「変更後の事項」
(不登令3⑬・別表二十五・申参照)として提供す
る申請情報ではないので,注3の指示に従って「なし」と解答したが,弁済額を
記載したとしても減点されないものと考える。
申請人の氏名又は名
称
権利者 一般社団法人XYZ保証基金 ←登記識別情報通知
義務者 XYZ信用金庫
添付情報
イ ←登記原因証明情報(不登 61,不登令別表五十七・添)として,代位弁済証書(別
紙 5)を添付する
ス,タ ←XYZ信用金庫の甲土地乙区2番の登記識別情報及び乙建物乙区2番の登
記識別情報(不登 22 本文)
<×XYZ信用金庫の代表者の印鑑証明書>
☞ 提供不要(不登規 49Ⅱ④→48Ⅰ⑤→47③ハ)
<×資格証明情報(一般社団法人XYZ保証基金及びXYZ信用金庫の登記事項証明
書> ←記載不要
<×代理権限証明情報(一般社団法人XYZ保証基金の代表者及びXYZ信用金庫の
代表者の委任状)> ←記載不要
<×住所証明情報(一般社団法人XYZ保証基金の登記事項証明書)> ←提供不要
(不登令別表五十七・添)
登録免許税額
金 10 万円<×金 130,600 円>
☞ 5,000 万円(極度額)<×6,534 万 5,000 円>×2/1000(登録税別表第一・一 (六)
ロ,登録税 13Ⅰ)
☞ 代位弁済額が極度額以上の場」には「極度額」を課税価格とすることに注意。
⑶ 3番目に申請すべき登記
登記の目的
登記不要 ←注3の指示に従って「登記不要」と記載する
登記原因及びその日
付
変更後の事項
申請人の氏名又は名
称
添付情報
登録免許税額
第3欄
⑴ 1 番目に申請すべき登記
登記の目的
<×1番共同根抵当権移転>
☞ この登記を先に申請した方が登録免許税は安くなるが(補足4の指示)
,変更契
約は株式会社ABC銀行との間で締結されている(別紙6,聴取内容5前段)の
で,根抵当権移転の登記を先に申請することはできない。
☞ したがって,極度額の変更と債務者・債権の範囲の変更との一括申請は不可
1番共同根抵当権変更<×(付記)>
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☞ 「共同」の文字の記載を忘れないように(民 398 の 17Ⅰ)
☞ 甲土地と乙建物につき一括申請可(不登令4ただし書,不登規 35⑩)
,補足4
の指示,
☞ 甲土地乙区1番付記1号,乙建物乙区1番付記1号で登記(不登 66,不登規3
②)
,常に付記登記で実行(∵登記上の利害関係人の承諾書の添付が必要的)
登記原因及びその日
付
平成 27 年7月3日変更 ←別紙6,聴取内容4・5前段,補足3,民 398 の5,398
の 17Ⅰ
変更後の事項
極度額 金4億円
申請人の氏名又は名
称
権利者 株式会社ABC銀行 ←根抵当権者,登記識別情報非通知
義務者 民事三郎
←甲土地の根抵当権設定者
株式会社東京ホテル ←乙建物の根抵当権設定者
添付情報
ウ ←登記原因証明情報(不登 61)として,根抵当権変更契約証書(別紙6)を添付
する
ナ,ニ ←登記原因についての第三者の承諾証明情報(不登7Ⅰ⑤ハ,民 398 の5)
として,
後順位の2番根抵当権者 XYZ 信用金庫と一般社団法人 XYZ 保証基
金の承諾書を添付する
サ ←民事三郎の甲土地甲区2番の登記識別情報(不登 22 本文)
セ ←株式会社東京ホテルの乙建物甲区1番の登記済証(不登 22 本文)
ツ,ト ←民事三郎及び株式会社東京ホテルの代表者の作成後3か月以内(不登令 18
Ⅲ,注2⑸)の印鑑証明書を添付する(不登規 49Ⅱ④→48Ⅰ⑤→47③イ⑴
かっこ書)
ア ←資格証明情報(不登令7Ⅰ①)として,作成後3か月以内(不登令 17Ⅰ)の株
式会社東京ホテルの履歴事項一部証明書(別紙3)を添付する。注2⑵の指示に
より添付省略の処理はしない(不登令7Ⅰ①かっこ書,不登規 36Ⅰ①)
。注2⑶
の指示により,株式会社ABC銀行の登記事項証明書は記載不要
<×代理権限証明情報(株式会社ABC銀行の代表者,民事三郎及び株式会社東京ホ
テルの代表者の各委任状)> ←記載不要
登録免許税額
金 40 万円<×80 万円,2,000 円>
☞ 1億円(増加額)×4/1000(登録税別表第一・一 (五),登録税 12,13Ⅰ)
⑵ 2番目に申請すべき登記
登記の目的
1番共同根抵当権移転
☞ 「共同」の文字の記載を忘れないように(民 398 の 17Ⅰ)
☞ 甲土地と乙建物につき一括申請可(不登令4ただし書,不登規 35⑩)
,補足4
の指示
☞ 甲土地乙区1番付記2号,乙建物乙区1番付記2号で登記(不登規3⑤)
登記原因及びその日
付
平成 27 年7月3日譲渡
☞ 別紙7第1条,聴取内容5後段・6前段,補足3,民 398 の 12Ⅰ,398 の 17
Ⅰ
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変更後の事項
なし ←注3の指示
申請人の氏名又は名
称
権利者 株式会社CDE銀行 ←譲受人,登記識別情報通知
義務者 株式会社ABC銀行 ←譲渡人たる原根抵当権登記名義人
添付情報
エ ←登記原因証明情報(不登 61)として,根抵当権譲渡契約証書(別紙7)を添付
する
ノ,ヒ, ←登記原因についての第三者の承諾証明情報(不登7Ⅰ⑤ハ,民 398 の 12
Ⅰ)として,根抵当権設定者民事三郎と株式会社東京ホテルの承諾書を添付する
シ,ソ ←株式会社ABC銀行の甲土地乙区1番の登記済証と乙建物乙区1番の登記
済証を添付する(不登 22 本文)
<×株式会社ABC銀行の代表者の印鑑証明書>
☞ 提供不要(不登規 49Ⅱ④→48Ⅰ⑤→47③ハ)
<×資格明情報(株式会社CDE銀行と株式会社ABC銀行の各登記事項証明商)>
←記載不要
<×代理権限証明情報(株式会社CDE銀行の代表者及び株式会社ABC銀行の代表
者の各委任状)> ←記載不要
登録免許税額
金 80 万円<×160 万円>
☞ 4億円(極度額)×2/1000(登録税別表第一・一 (六) ロ,登録税 13Ⅰ)
⑶ 3番目に申請すべき登記
登記の目的
1番共同根抵当権変更<×(付記)>
☞ 「共同」の文字の記載を忘れないように(民 398 の 17Ⅰ)
☞ 甲土地と乙建物につき,債務者と債権の範囲の変更登記の一括申請可(不登令
4ただし書,不登規 35⑩)
,補足4の指示
☞ 甲土地乙区1番付記3号,乙建物乙区1番付記3号で登記(不登 66,不登規3
②)
。常に付記登記で実行(利害関係人が存在しない,民 398 の4Ⅱ)
登記原因及びその日
付
平成 27 年7月3日変更
☞ 別紙7第2条・第3条,聴取内容6,別紙8,民 398 の4,398 の 17Ⅰ
変更後の事項
債務者
東京都中央区日本橋人形町六丁目5番5号
株式会社東京ホテル
☞ 注1は,
「変更後の事項の欄」の住所の記載については何ら指示していない
ので,記載すべきと考える。
☞ 追加変更の場合でも,変更後の全債務者を記載する
東京都中央区日本橋人形町六丁目6番6号
民事三郎 ←乙土地につき,利益相反(会 356Ⅰ③,365Ⅰ)
債権の範囲
銀行取引 <▽保証取引> 手形債権 小切手債権 電子記録債権
平成 27 年7月3日債権譲渡(譲渡人 株式会社ABC銀行)にかかる債権
☞ 別紙8⑵・⑷の定めは登記申請不可
☞ 保証取引は別途登記申請する実益に乏しく受理されないと解するが,問題の問
い方からして,記載したとしても減点対象とすべきでないと考える。
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☞ 登記記録は債権の範囲→債務者の順で記録される(平成 21 年通達記録例 466)
が,別紙1・2の記録が,債務者→債権の範囲の順となっているので(間違いだと
は思うが)
,ここは問題に合わせて解答した。
申請人の氏名又は名
称
権利者 株式会社CDE銀行 ←根抵当権者(追加変更)
義務者 民事三郎
←甲土地の根抵当権設定者
株式会社東京ホテル ←乙建物の根抵当権設定者
添付情報
エ ←登記原因証明情報(不登 61)として,根抵当権譲渡契約証書(別紙7)を添付
する
ヒ
←登記原因についての第三者の承諾証明情報(不登7Ⅰ⑤ハ,会 356Ⅰ③,365
Ⅰ)として,株式会社東京ホテルの取締役会議事録を添付する(別紙3,聴取内容
4,補足3)
。
サ ←民事三郎の甲土地甲区2番の登記識別情報(不登 22 本文)
セ ←株式会社東京ホテルの乙建物甲区1番の登記済証(不登 22 本文)
ツ,ト ←民事三郎及び株式会社東京ホテルの代表者の作成後3か月以内(不登令 18
Ⅲ,注2⑸)の印鑑証明書を添付する(不登規 49Ⅱ④→48Ⅰ⑤→47③イ⑴
かっこ書)
ア ←資格証明情報(不登令7Ⅰ①)として,作成後3か月以内(不登令 17Ⅰ)の株
式会社東京ホテルの履歴事項一部証明書(別紙3)を添付する。注2⑵の指示に
より添付省略の処理はしない(不登令7Ⅰ①かっこ書,不登規 36Ⅰ①)
。注2⑶
の指示により,株式会社CDE銀行の登記事項証明書は記載不要
<×代理権限証明情報(株式会社CDE銀行の代表者,民事三郎及び株式会社東京ホ
テルの代表者の各委任状)> ←記載不要
<×ナ,ニ> 後順位の2番根抵当権者 XYZ 信用金庫と一般社団法人 XYZ 保証基金
の承諾は不要(民 398 の4Ⅱ)
登録免許税額
金 2,000 円<×金 1,000 円,4,000 円>
☞ 1,000 円×不動産「2個」
(甲土地・乙建物)
(変更登記事項1個につきではな
い)<登録税別表第一・一 (十四) 変更登記>
⑷ 4番目に申請すべき登記
登記の目的
登記不要 ←注3の指示に従って「登記不要」と記載する
登記原因及びその日
付
変更後の事項
申請人の氏名又は名
称
添付情報
登録免許税額
⑸ 登記することができない債権の番号及びその理由
⑵ 根抵当権者と債務者との直接取引によらないで生じた債権を例外的に包括して被担保債権の範囲とする
ことができるのは,いわゆる回り手形,回り小切手及び回り電子記録債権だけであり,株式会社ABC銀
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行の株式会社東京ホテルに対する金銭債権を株式会社CDE銀行が譲り受けるとする債権譲渡取引に係
る債権を包括的に根抵当権の被担保債権の範囲に含めることはできない。←民 398 の 2Ⅱ・Ⅲ後段
⑷ 株式会社CDE銀行と株式会社東京ホテルとの間での銀行取引に関連してこれから生じる不法行為に基
づく損害賠償債権は,特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権とはいえないため,根抵当
権の被担保債権の範囲に含めることはできない。 ←民 398 の 2Ⅲ前段。
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