トヨタ看護専門学校 名 推薦・社会人入学試験問題(小論文) 氏 問二 問一 右の文章についての、あなたの意見・感想を述べよ。(四百字以上五百字以内)(句読点も一字に数える) 右の文章中を二〇〇字以内で要約せよ。(句読点も一字に数える) (香山リカ『私は若者が嫌いだ!』〔KKベストセラーズ 全一頁中一頁 二〇〇八年〕による) が子ども時代に育まれなかったからではなくて、むしろ子どもっぽい自己愛を修正する機会が与えられなかったからではないか、と思われる。 この問題について簡単に結論を出すことはむずかしいが、これまでの議論を踏まえて考えると、彼らの自己愛が健全な状態になっていないのは、それ き」「嫌い」でしか人間関係を受け止められなくなっているのであろうか。 この説が正しいとするならば、今の若者たちはしかるべき時期に健全な自己愛を身につけることができなかったゆえに、大学生や社会人になっても「好 っぼい自己愛を持ち続けた結果が、 「大好き」「大嫌い」、「完璧に愛されている」「毛嫌いされている」という他者理解になってしまう、というのだ。 メージを抱くが、三歳から五歳にかけてこれがうまく形成されなかったために、逆に大人になってからも自己愛をうまく修正することができず、子ども この境界性パーソナリティ障害の人たちの根底には、深い自己愛の傷つきがあるという説がある。子ども時代は誰もが万能の自己という自己愛的なイ かったんだ。もう信用できない。死んでほしい」 「母だけは私の味方だと思っていたのに、朝、体調が悪くて横になっていたら、散歩にでも行ったら、と言われた。やっぱり私のことをわかってくれな 「彼から今日の午後、メールが来なかった。もう嫌われたかもしれない。どうしよう。苦しい。死んだほうがマシだ」 ネットの世界にあふれる境界性パーソナリティ障害と診断された人の日記には、こんな記述がよく見られる。 としたことで入れ替わってしまう。 り、そのあいだの関係(「世界でいちばん好きというわけではないが、大嫌いでもない」など)がない。しかも、この「大好き」と「大嫌い」は、ちょっ このパーソナリティ特徴を持つ人は、他人への評価も「100%味方」「完全に私を好きでいてくれる」か、「100%敵」「私のことが大嫌い」かであ 重なるものだ。 実は、この二分法、「好き」と「嫌い」の白黒思考でしか対人関係をとらえられない、というのは境界性パーソナリティ障害の人たちの特徴とそのまま といくら説明しても、若い社員たちは「あの上司に好かれているか、嫌われているか」という二分法でしか関係性を考えることができない、というのだ。 別であるはずなのに、彼らはそう受け取ってしまうのだ。同様の話は、企業で新人を教育する担当者からもよく聞く。「仕事の関係に好きも嫌いもない」 くなる学生もいる。後できくと、やはり「もう先生に嫌われたと思った」と言う。レポートに関する注意とその学生の人格をどう評価するかはまったく また、そういった学生に「このレポート、もっと文献のところをきちんと書いて」などと指導すると、それだけで落ち込み、しばらくゼミに出てこな 嫌われてるのかと思った」と安堵の表情を見せた学生もいた。 あん ど 指導したいと考えているので、「私のこと、嫌い?」という質問に面食らってしまい、「いや、嫌いではないけれど」などと答えると「ああ、よかった。 のことを嫌ってるの?」という質問を受けることがある。学生に対して嫌うも嫌わないもなく、とくにゼミの学生であればどんな学生でも責任を持って その説明の前に、私の具体的な経験をあげてみよう。私は大学で学生に授業をしたりゼミを担当したりしているのだが、学生からしばしば「先生は私 る。 という傾向もある。これは、後述するように境界性パーソナリティ障害の特徴として、一九八〇年代から精神科医らによって指摘されてきたことと重な 単純な要素でとらえる、ということがあげられる。さらに、ある具体的なことについて批判、注意しても、それを全人格的な「好き、嫌い」でとらえる、 二〇代、三〇代の若者にとって、対人関係はいつの時代も重要なテーマである。しかも、最近の若者の特徴として、人間関係を「好き、嫌い」という 次の文章を読んで、あとの問いに答えよ。 平成二十七年度 受験番号
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