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小集団グループ 活動報告
~スチールカート改善~
取組テーマ:スチールカートの工数削減
目標値 : 1.012h/台→0.82h/台に短縮させる。
取組期間:12/21~3/20
1.背景 2.現状把握 3.課題設定
4.取組計画 5.活動内容 6.まとめ
所属部門名
本社製造部組立課
□取組背景
スチールカートは、大量生産で低価格設定している。
製造としてコスト要求に応えることが必要であり、組立工程
の工数を大幅に削減することが必要になった。小集団の課題
として本体と扉の2チームを編成し、対応することにした。
□現状把握 -基準時間の割り出し-
受注No.22679のスチールカートの加工時間は、1.012h/台
そのうち、本体は0.69h/台 扉は0.32h/台
この比率で目標工数0.82h/台を配分すると、
本体は0.56h/台 扉は0.26h/台
□現状把握 -初回ロットで決めた要点の整理-
要点&注意点(溶接箇所・仕上レベルetc)
本体
天蓋中
・四隅は正面扉と同様。半自動も忘れず。
・角の勝ち負けに注意すること。
・足踏みスポットはバリを出さないこと。
ピッチを綺麗にそろえること。
・特殊チップを用意しておく。
・表のキズチェックすること。 ・角の面取りあり。
天蓋前
・ナットは自動機で打つ。
・四隅は正面扉と同様。半自動あり。
・扉の勝ち負けを見ておく。
扉
・表は仕上をしないが、キズがないかチェックする。
正面扉
あった場合はメタコンをかけておく。
・最初に補強をスポットしておく。
・角の面取りをする。
・四隅はTIG溶接で開き止めをする。(面出しをすること)可動棚
・角の勝ち負けに注意すること。
・開き止め溶接はなし。
・根元側は追加で半自動溶接をしておく。
・ほんの少し凹ませる感じでスポットを打つ。
・半自動溶接のところはハッピートップで仕上げ。
・表仕上げなし。バリはださないこと。
(バフなどかけないのできれいに磨ること)
角度調整棚
・ついでに角を軽く面取りする。
・ピンは二箇所スポット。なるべく蝶番の腹のところ
・表のスポット跡はメタコンをかける。キズチェックして
でスポットすること。
おくこと。
・スポット後のバリもとっておくこと。
・ボスは裏から半自動溶接。しっかりとつけておくこと!
・表のスポット跡はメタコンで消す。傷がある場合も
ついでにメタコンをかける。
前準備
・側板の溶接→面出ししてTIG
・天板の溶接→開き止めwg。面出ししてTIG→
バラの段階でサンダー仕上げ
・本体梁と錠かかり板をスポット。均一に打つこと。
ここまでが前準備
左右側スポット→本体スポット→本体溶接→キャスター
補強取りつけ→グラインダー仕上げ→積込み
□課題設定
・どうすれば無駄のない加工ができるか全員で考える。
□取組計画
・全ロットが終了するまで(2月)に目標時間に近づける。
・各ロット終了後にミーティングを設け、意見交換、
問題点の抽出、対策の決定を図る。
□活動内容
・ロット毎のデータ収集
・各工程のものの流し方の改善
・課員の配置の最適化
○ミーティング 実施日
本体:12/21、12/23、12/25、12/29、1/6、2/11
扉: 12/11、12/22、1/6、1/16、2/11 計5回
計6回
◇改善例①
ものの流し方の効率化
本体
ここでキャスター補強
の溶接を行う。
置
く
置く
ここで本体のCO2溶接
を行う。
ここで本体のスポ
ット溶接を行う。
人の移動をほとんどなくし、常に加工している状態を作るため、移動距
離の少ない物の流し方を考えた結果、この流し方になった。100台だと場
所が大きく取られる為、このような形になった。仕上げにはスポット工
程が終わった後裏本さんが入る。各工程で手の届く位置に部材を配置。
◇改善例②
部材の最適配置
扉 仕上げ工程
台車をみんなの持っていきやすいところに置く。
場所の都合でこの状態が取れないときは、まとめて作業台
車に取って、持って行くことにする。
◇改善例③
作業の集約による効率化
本体天板の前段取り
これまでは一個ずつ天板を溶接
していた。そのため前段取りでも
結構な時間を消費していた。
これからは扉と同じようにまとめ
て溶接することにした。これで段
取りが若干早くなる。
◇改善例④
役割分担による効率化
ここでメタコン仕上
・歪取りを行なう。
本体 CO2溶接
溶接時に上部を溶接する人と下部(底)
を溶接する人に分かれる。
これによって1人で溶接するよりも効率
よく溶接できる。
本体 仕上げ
はじめ2人が仕上げ工程を
しており、それぞれが1台ご
と仕上をしていた。
ペーパー仕上・メタコン仕上
・歪取りと3つの工程をこな
しているため、時間がかか
る。
そこで1人がペーパー仕上
をして、もう一人がメタコン・
歪取りをする。
役割分担をすることで、サ
ンダーの持ち替え時間を短
縮することが出来る。
ここでペーパ
ー仕上のみを
行なう。
◇改善例⑤
扉 スポット溶接
補強はこちらに置く。
どちらか早く手待ちになっ
た人が本体にセットする。
役割分担、同時進行による効率化
部材の本体はスポット
作業者が銅版にセット
する。
スポットの終わったもの
は こ ち ら の台車に載せ
ていく。台車の片側がい
っぱいになれば、動かし
て反対側に載せていく。
スポットとバリ取りを同時
進行で行なう。
◇改善例⑥
工程の削減
本体 積み込み工程
歪取りまで終わった本
体は一旦2Fで入口前
に最後に全員でパレッ
トに積込む。この滞留し
ている本体を直接パ
レットに積めれば最後
の積込みの工程がなく
なるのではないか。
パレットを先に置いて、
歪取りが終わればダイ
レクトに載せる段取りに
してみる。
扉 天蓋中
アングル取付
(足踏みスポ
ット)
本体 スポット溶接時の梁
この部品をアルゴンで仮止めして
いたが、仮止めをせずに次工程
に流すことにした。次工程の手が
止まることなく作業できるので、作
業効率が上がる。また、スポット
工程が早く終わることで裏本さん
が仕上の工程に入る時間が早く
なる。
特殊な電極が必要のため、PJ専用とした
。これでチップの交換時間がゼロになる。
1ロットにつき10分の短縮。
◇改善例⑦
冶具、道具による作業時間短縮
本体CO2溶接
[冶具使用]
溶接工程では角度を決めることになるが、ひと
つずつスコヤを当てながらやるのは時間がかか
りすぎるため、治具を使用して一発で角度が出
るようにした。
これで角度を出す時間が短縮される。
扉 四隅の溶接
[ターンテーブル使用]
扉の隙間も一気に確認・調整出来るため
、効率がよい。回転させられるため、人が
移動することもない。
◇ロット毎の最終データ
受注No.
目標値
24960
24961
24962
24963
24964
24965
24966
24967
24968
24969
24970
24971
平均
合計
0.82
1.37
1.02
0.96
1.02
0.97
0.96
0.92
0.93
0.98
0.96
0.86
0.88
0.95
本体 扉一式
0.56
0.26
0.96
0.41
0.68
0.34
0.68
0.28
0.68
0.34
0.69
0.29
0.61
0.35
0.61
0.32
0.62
0.31
0.64
0.34
0.64
0.32
0.59
0.27
0.56
0.32
0.64
0.32
単位:h/台
1.6
1.4
扉
本体
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
・初回ロットの基準時間1.012h/台
に対し、平均0.95h/台に短縮
できた(最短で0.86h/台)。
・本体の最終ロットで目標値を達
成できた。
良かった場合の要因(前述の改善例以外)
共通:作業者の慣れ。
本体:キャスターの溶接工程から溶接の盛りをもっと減らしてほしいとの声があったので、盛り過ぎない
ように注意しながら溶接した。これによって、サンダーでの研磨時間が短縮された。
扉:組立加工の前の段階で曲げの精度が良かった場合。扉の四隅はアルゴン溶接で止めることになってい
るが、曲げの具合により隙間が開いているものから金型の当たりがきつくて凹んでいるものまで様々
ある。この部分の曲げが良いと、角の溶接がスムーズに行われるだけでなく、後の工程の面出し・
CO2溶接や仕上にも影響してくる。→機械科に品質の安定を依頼した。
まとめ
□成果
・初回ロットの基準時間1.012h/台に対し、平均0.95h/台に短縮
できた(最短で0.86h/台)。-目標値0.82h/台-
・多ロット製品での合理的なものの流し方を考えて実行した。
・予め課員で溶接箇所などを話し合って、作業の標準化をする
ことで品質を安定させることが出来た。
・課員がマメに情報を共有することで、小さな改善でもすぐに
実行できる体制に出来た。
・改善提案4件提出。
□振り返り
・今回の活動では目標には届かなかったが、初回ロットと比べ
るとかなりの短縮になった。その要因は色々あるが、副作業
(物の移動など)を極力減らして合理的に作業を進めたことが
ひとつ挙げられる。この考え方は他の作業にも応用できるの
で、活用していきたい。
・一つの製品に対して工数削減というテーマでじっくり考えら
れたのは良い経験になった。