もしも野菜に異常が発生したら 解決 今なら間に合う ! 〈 第11回 〉 間に合わない ? (タキイ種苗開発部) 野菜は一つとして同じ生育をたどるものはありません。低温 します。そこから対応できることもあれば、もはや手遅れな ・高温、乾燥・過湿、曇天・日焼け、多肥・肥切れetc、一 場合もあります。このシリーズでは回復可能な事例はその対 度バランスを崩した野菜は、トラブルとなってその症状を現 処例を、無理な場合は次回の対策等を紹介します。 本号のテーマ 夏秋露地キュウリの主枝の成長点が急に しおれて焼けてしまった(芯焼け) 対応可能な処理 対応不可能 対策 ●ケース:成長点がしおれ焼けて生育が止まった。 ○ 近年、異常高温や長期間の低日照で が一時的に極度に不足した状態になる でに高温であれば、マルチは「タイ 真夏の野菜栽培が難しくなっています。 ことがあります。こうなると、根から ベックマルチ」や白色・銀色など、 今回は夏秋露地キュウリで6~8月に 遠い位置にある成長点や近辺の葉から 地温抑制タイプの種類が根張りには 起こりやすいトラブルと対策を紹介し 焼け、生育が止まってしまいます。 有利です。 ます。 ◎予防方法 写真のように焼けてしまった成長点 は元には戻りません。 ・発根促進剤の施用:毎年芯焼けが多 ほ いく ①根をしっかり張らせる い圃場では、根張りを促進する 「育 ・根張りのよい台木品種を使う:高温 王」 などを定植時に潅注しましょう。 おう 期の定植には、耐暑性にすぐれ、発 ②蒸散量を抑制する 根も旺盛な 「スターク」 がおすすめ ・ 「トレエース」 :蒸散抑制効果があ り、葉面散布での施用で葉からの水 です。 分ロスが軽減できます。 タキイ トレエース 施用 無処理区 ↑耐暑性にすぐれ、 発根力も旺盛な 「スターク」 。 芯止まり状態になったと考え、その 付近で伸びの早い側枝の中の1本を 主枝に見立て、主枝更新の形で誘引 します。その側枝が伸び始めるまで の時間のロスはありますが、トラブ ル発生前とほぼ同じ状態で栽培を継 続できます。 ◎原因 ↑「スターク」の根。 【採取3時間後】 ・定植は適期苗で:定植後にスムーズ ・葉水を打つ:しおれの兆候が見られ に根を張らせるため、根が白く根鉢 たらハス口などで葉水を打つだけで がほどほどに回った苗で定植し、老 も、葉面温度を下げ、しおれが軽減 化苗定植にならないようにします。 できます。 ・十分な潅水:序盤は手潅水、途中か らは潅水チューブなどで十分に潅水 し、雨頼みにせずに根張りの促進を 心掛けます。 ・地温抑制:日中の気温が30℃を超え 定植後に高地温や曇天続きで根張り るような高温期には、畝の上に敷き が不十分な時、生長した地上部の蒸散 わらをすると地温抑制効果があり、 量に吸水量が追いつかず、株内の水分 根の保護になります。定植時期がす ↑「ら〜くらくスーパーホワイト」のハウス 使用例。 53 2015 タキイ最前線 夏号
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