宮地プロジェクト-紙漉きの技術の継承と文化的景観の形成を目指すプロジェクト代表:下田 貞幸(建築社会デザイン工学科) 熊本県八代市宮地地区は江戸時代からの紙 漉きの里である。加藤家、細川藩の御用紙漉と なり、最盛期には 100 軒近くの紙漉き職人が居 住したと言われるが、明治以降、洋紙の普及に 従い手漉き和紙の厳しい時代が始まる。それで も昭和 30 年代までは数軒で紙漉きが行われて いたが、昭和 40 年代から宮田さん唯一人が生 業として伝統的な技術を継承して紙漉きを続 けられている。 紙漉きが当地で始められたのは当地を流れ る中宮川(水無川)の水質が紙漉きに適してい たとされる。中宮川から各紙漉き職人の居住す る地区へと細かく分岐しながら水路が引かれ ており、現在一部暗渠化されているものの暮ら しに溶け込んだ美しい水路景観をみることが できる。 ポスト宮田さんの紙漉きの伝統をどのよう に継承していくか、また、さらなる水路の暗渠化の要望が地元からあり、水路景観をいか に保全していくかという困難な課題があるが、本年度は外部からの補助制度を活用して、 まず、宮地和紙をより多くの人々に知っていただき、現代の生活文化に少しでも身近な存 在になるように以下の活動を計画している。①江戸時代からの紙漉きの手法をほぼ継承されて いる宮田さんの製作工程のビデオ記録。②八代市立博物館の協力による宮地和紙勉強会(講演会) の開催。③デザインの専門家をアドバイザーとする新しいデザインの開発。④デザインの外部評 価及び市外への発信として、試行的に従来からある宮地和紙製品を含む新しいデザイン製品をク ラウドファンディングにより PR する。⑤最後に成果品の展示会と活動報告会を行い、成果品の カタログを配布する。昨年度、宮地地区で学生の提案を地元の方に見ていただく等の意見交 換会を 3 回開催した。今年も引き続き地元の方々との話合いを続けながらこれらのことを 実施していきたい。 ■構成メンバー 宮田寛さん、下川和夫さん、畑中正人さん、矢壁政幸さん、平野吉茂さん、福山節子さん他宮地妙見地区 の方々/下田貞幸、森山学、勝野幸司、森下功啓(高専教員) 、磯田節子(高専客員)/森元千裕、水本修平、 光田ひかり、島田空(AC 科学生) (アドバイザー)高木淳二さん、澤治彦さん、田中尚人さん、原田和典さん、内山忠さん、岡田敏代さん (協力)八代市文化振興課、八代市立博物館、八代市宮地出張所、とら太の会 (連絡先)0965-53-1342(下田)[email protected]
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