5.自社の現状把握の仕方

5.自社の現状把握の仕方
「自社の現状把握」の勘所は以下の3点です
第1. 自社の内部だけでなく、外の環境にも目を向ける
ことです。
第2. 経営活動を一つの面だけでなく、複数の視点から
多面的に見てみることです。
第3. オーナーとしてリーダーシップの発揮の程度を知る
こと です。
1.自社の内部だけでなく、外の環境にも目を向ける
(1) 経営環境次第で、現在の長所が短所に変わることもあります。
例えば、優良な大得意先から毎年安定した仕事の依頼を受けていると
いう長所は、その得意先に万一のことがあったら、受注の急落に直面
するという短所に変わってしまいます。
(2) 自社を取り巻く外部環境が今後5年間でどのように変化するかを
考えてみます。
例) 得意先の売上は安定して推移し続けるか。
仕入の量が急減したり、単価が急騰しないか。
自社の近くに強力なライバルが進出してくる可能性はないか。
法律等が変わって自社の事業が大きく影響を受けないか。
これらの外部環境を自社に有利な状況と逆に不利な状況に分けて
みる。不利な状況が多い場合は自社の現状の対外的な側面は
厳しいと認識する必要があります。
(3) 5点法で、平均的を3点とし、良いを4~5点、不十分を1~2として
自己採点します。
2.一つの面だけでなく複数の視点から多面的に見て
みる
(1) 自社の内部を客観的に見る順番
①自社の財務状態はどうなっているかを見ます。
借入金は総資産の4割以下ですか。借入金は10年、永くても15年で返済できますか。
②マーケットに目を向けます。
自社の差別化商品の魅力度が低下していたり、商品がライフサイクル上の成熟期
から衰退期にさしかかっているようなことはありませんか。
③自社の社内業務が効率的に行われているか否かを他社と比べます。
コストダウンやリードタイムの短縮についての努力は「コスト」、「品質」、「納期」等の
面で効果を発揮していますか。
④企業の将来像を明確に示した「ビジョン」はありますか。
(2)(1)の4つの項目は原因と結果の関係にあります。
企業のビジョンの浸透は社員のやる気を高め業務の効率化にプラに作用し、その結
果得られた高い品質等は市場での有利な戦いを支えてくれます。市場での有利な戦
いは間違いなく良好な財務状態を実現してくれます。
(3) 第一の勘所のときと同様、5点法で総合評価をしてみましょう。
3.オーナーとしてリーダーシップ
(1) 戦いの場には今昔東西常に自軍の目指すところを明示した「軍旗」
がありました。企業間競争においても「軍旗」(「ビジョン」)は必要で
す。
(2) 今日の成熟した経済社会においては、戦後のような「経済的充足」
が働く唯一の目的では無くなってきています。
社会的責任を自覚した企業の「ビジョン」は働く者に深い精神的な
共感をもたらし、現状を見据えた明確な未来像の存在は、社員の
意欲を高めます。
(3) オーナーのリーダーシップは十分でしょうか。
① 社員の共感を得られる企業の未来像をビジョンとして明示する
② ビジョンを具体化した「単年度プラン」を立てて、その実現に向けて
社員と日常的な対話を積み重ねていく。この2点に集約されます。
(4) この勘所の採点が自己評価なので一番難しいと思われますが、前
出の勘所と同様、5点法で採点してみて下さい。
15点満点ですが、採点の結果、合計が10点未満でも決して悲観する
には当たりません。大きな前進の可能性を示唆しているとさえ言えます。