計画段階環境配慮書のあらまし(2015/9/11)

市原火力発電所建設計画
計画段階環境配慮書のあらまし
市原市の花:コスモス
平成 27 年 9 月
市原火力発電合同会社
はじめに
平素より皆様には、当社の事業活動につきまして、格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申
し上げます。
東日本大震災以降、エネルギーを巡る環境は大きく変化しており、エネルギー需給構造が脆弱
な我が国においては、長期にわたる低廉な電力の安定的な確保が大きな課題となっています。
こうした中、最新の国の「エネルギー基本計画」(平成26年4月11日閣議決定)において、石
炭は「安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として再評価されており、高
効率石炭火力発電の有効利用等により環境負荷を低減しつつ活用していくエネルギー源」と位置
づけられ、「利用可能な最新技術の導入を促進し、環境負荷の低減と両立した形で利用していく
必要がある」とされています。
このような状況の中、東燃ゼネラル石油株式会社と株式会社関電エネルギーソリューションは、
東燃ゼネラル石油株式会社千葉工場(旧極東石油工業合同会社千葉製油所)構内において、化石
燃料の中で最も経済性や供給安定性に優れた石炭を燃料とした発電事業を実施するため、共同出
資により市原火力発電合同会社を設立し、長期にわたる低廉な電力の安定供給確保に向けて取り
組むこととしました。
今回の事業計画においては、製油所の効率化計画の一環として実施する石油タンク撤去の跡地
及び構内既存設備を最大限有効活用すると共に、最新技術である超々臨界圧(USC)発電設備の
導入により、従来の石炭火力発電所に比べて高効率化を図り、低炭素化に資することとします。
また、最新鋭の脱硝装置、脱硫装置、集じん装置を導入することで、地球環境及び地域社会への
環境負荷低減を図ることとします。加えて、京葉臨海部での電源立地により、電力需要地である
首都圏への送電ロスが少なく、さらなる低炭素化に資するとともに、地域経済の活性化にも貢献
ができるものと考えております。
このたび、環境影響評価法に基づき「計画段階環境配慮書」(以下、「配慮書」といいます。)
を作成いたしました。この小冊子は、配慮書のあらましをとりまとめたものです。
皆様にご一読いただき、本事業へのご理解・ご協力を賜りたく、お願い申し上げます。
千葉市
N
事業実施想定区域
市原市
袖ケ浦市
0
5
10㎞
凡 例
事業実施想定区域
石油タンク撤去予定地(発電所予定地)
〔
「空中写真」
(平成18年撮影、国土地理院)より作成〕
0
500
1,000m
対象事業の概要
対象事業の名称
事業実施想定
区域の所在地
配置計画の概要
市原火力発電所建設計画
千葉県市原市千種海岸1番地他
(東燃ゼネラル石油株式会社
千葉工場構内)
原動機の種類
汽 力
出 力
約100万kW
石炭灰貯蔵設備
燃 料
石 炭
煙突
放水口
取水口
発電設備
貯炭設備
揚炭桟橋
凡 例
事業実施想定区域
発電設備等
0
500
1,000m
〔「5万分の1地形図」(国土地理院)より作成〕
発電所の設備の概要
凡
例
給水
蒸気
海水
空気
排ガス
石炭
石炭灰
煙
突
ボイラー
電気
脱硝装置
蒸気タービン
バンカ
脱硫装置 集じん装置
発電機
空気予熱器
G
押込通風機
主変圧器
ポンプ
F
P
送電線
復水器
微粉炭機
P
海水
循環水ポンプ
石炭灰
貯蔵設備
石炭灰
貯炭サイロ
石炭
工事工程(予定)
主な工事
全体工程
土木・建築工事
設備工事
試運転
2019年
2020年
2021年
2022年
2023年
2024年
(平成31年)(平成32年)(平成33年)(平成34年)(平成35年)(平成36年)
着工
運転開始
海水
配慮書事業特性
・発電所予定地は、周辺の住居地域から約1.6㎞離れた場所に計画しています。
・ばい煙については、脱硫装置、脱硝装置及び集じん装置により適正に処理した後、排出します。
・石炭は貯炭設備(密閉式サイロ)に貯蔵し、石炭粉じんの飛散防止対策を施した密閉構造のコンベ
ア等によりボイラーへ輸送します。
・復水器の冷却方式は、深層取水、水中放水による海水冷却方式を採用し、取放水温度差は7℃以下
とします。
・地盤沈下の原因となる地下水の汲み上げは行いません。
・
「工場立地法」等に基づき、必要な緑地等を整備します。
・景観の保全については、「景観法」等に基づいたものとし、建屋の色彩等は周辺環境との調和に配
慮します。
・産業廃棄物については、石炭灰をセメント原材料等として全量を活用するなど、発生した廃棄物の
有効利用に努め、有効利用が困難なものは法令に基づき適切に処理します。
・温室効果ガス(二酸化炭素)については、利用可能な実績のある発電技術である超々臨界圧
(USC)発電設備を採用し、従来の石炭火力発電所に比べて高効率化を図り、低炭素化に資するも
のとします。
なお、本事業で計画している発電設備は、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議とり
まとめ(平成25年4月25日 経済産業省・環境省)」における「BATの参考表(平成26年4月時点)
」
の「(A) 経済性・信頼性において問題なく商用プラントとして既に運転開始をしている最新鋭の発
電技術」以上の技術を採用することとしています。また、電気事業者及び新電力による「電気事業
における低炭素化社会実行計画」が平成27年7月に公表され、本事業においても、この計画の枠
組に沿う形で事業を進めていくこととしています。
複数案の設定
煙突高さによる大気質及び景観への影響を把握するため、複数案を設定しました。
【 A案:煙突高さ180m、B案:煙突高さ200m 】
計画段階配慮事項として選定した項目
計画段階配慮事項は、「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並び
に当該計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価の手法に関する指針、環境影響評価の項目並び
に当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針並びに環境
の保全のための措置に関する指針等を定める省令」
(平成10年通商産業省令第54号)の規定に基
づき設定しました。
環境要素の区分
影響要因の区分
大 気 質
硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粒子状物質
施設の稼働(排ガス)
動物、植物
海域に生息・生育する動・植物
施設の稼働(温排水)
景 観
主要な眺望点及び景観資源並びに主要な眺望景観
地形改変及び施設の存在
計画段階配慮事項として選定した項目の予測及び評価結果
大気質(硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粒子状物質)
●将来予測環境濃度は、下表のとおり、環境基準の年平均相当値に適合しており、大気質への影響
は少ないものとなっています。
●最大着地濃度は、バックグラウンド濃度を踏まえた将来予測環境濃度と比べて低く、煙突高さの
違いはほとんどありません。
大気質の予測結果
項 目
(単位)
予 測
ケース
A案
二酸化硫黄 (180m)
(ppm)
B案
(200m)
A案
二酸化窒素 (180m)
(ppm)
B案
(200m)
A案
浮遊粒子状 (180m)
物 質
B案
(mg/m3)
(200m)
最大着地
濃 度
(a)
最大着地濃度地点の位置
バックグラウンド 将来予測 環境基準の
濃 度
環境濃度
年平均
(b)
(c=a+b)
相当値
0.003041
0.000041
0.021
0.003
0.003038
0.000038
0.011026
0.000026
0.028
0.011
0.000024
0.011024
0.000009
0.019009
0.036
0.019
0.019008
0.000008
最大着地
濃度地点
:煙突位置
:最大着地濃度地点
千葉市
東南東
約7.0km
東南東
約7.0km
東南東
約7.0km
東南東
約7.0km
東南東
約7.0km
東南東
約7.0km
市原市
袖ケ浦市
0
5
10㎞
注:1. バックグラウンド濃度は、発電所予定地から10km以内の一般環境大気測定局における平成21
~ 25年度の年平均値の平均値としました。
2. 環境基準の年平均相当値は、発電所予定地から10km以内の一般環境大気測定局の平成21 ~ 25
年度の測定値に基づいて作成した式に環境基準値を代入して求めました。
動物・植物(海域に生息・生育するもの)
●本事業による温排水3 ℃以上上昇域は海表面に出現しないことから、温排水が周辺海域に生息また
は生育する動物・植物の重要な種及び干潟への重大な影響は回避・低減されているものと評価します。
景 観
●本事業による主要な眺望点及び景観資源の直接改変はありません。
●主要な眺望点(養老川臨海公園、市原緑地運動公園、権現森公園、姉崎公園)から見た、発電所
煙突の垂直視角は5度未満となり、
「比較的細部までよく見えるようになり、気になる。圧迫感は
受けない」程度と考えられることから、施設の存在による景観への重大な影響は回避・低減され
ているものと評価します。また、煙突高さの違いはほとんどありません。
景観の予測結果
主要な
眺望点
発電所煙突
からの距離
(km)
養老川臨海公園
約3.4
市 原
緑地運動公園
約3.0
権現森公園
約2.3
姉崎公園
約2.9
垂直視角のイメージ
予 測
ケース
発電所煙突の
垂直視角
(度)
A案(180m)
B案(200m)
A案(180m)
B案(200m)
A案(180m)
B案(200m)
A案(180m)
B案(200m)
約2.4
約2.6
約2.7
約3.0
約3.5
約3.9
約2.8
約3.1
煙突
垂直視角(度)
眺望点
発電所
環境影響評価の手続きの流れ
国
事業者
計画段階環境配慮書の手続き
経済産業大臣
送付
意見
計画段階環境配慮書
住民・地方公共団体
県知事・ 関係市長
送付
照会
公告・縦覧
環境大臣
意見
意見
住民の皆様の
ご意見
意見
環境影響評価方法書
経済産業大臣
勧告
意見
住民の皆様のご意見
意見
現況調査・予測・評価
県知事・市長
環境影響評価準備書
経済産業大臣
勧告
意見
住民の皆様のご意見
意見
環境大臣
県知事・市長
環境影響評価書
事業の実施
配慮書の縦覧について
縦覧場所
千葉県
千葉県庁
市原市
市原市役所、五井支所、姉崎支所
千葉市
千葉市役所、中央図書館
縦覧期間、時間 等
平成27年
9月11日(金)~ 10月13日(火)
9:00 ~ 17:00
(土曜日、日曜日、祝日を除きます)
袖ケ浦市 袖ケ浦市役所、長浦行政センター、平川行政センター
市原火力発電合同会社(東燃ゼネラル石油㈱千葉工場内)
※千葉市中央図書館は休館日を除きます。
当社ホームページでも、平成27年10月13日までご覧になれます。(http://www.itpgeneration.co.jp)
ご意見の受付
配慮書について、環境の保全の見地からのご意見をお持ちの方は、書簡にて郵送によりお寄せ
ください。10月13日(火)消印有効とさせていただきます。
お問い合わせ先
市原火力発電合同会社
〒299-0108 千葉県市原市千種海岸1番地(東燃ゼネラル石油(株)千葉工場内)
電 話:03-6713-4046(お問い合わせ専用ダイヤル:土曜日、日曜日、祝日を除く9:00 ~ 17:00まで)
本書に掲載した地図及び空中写真は、国土地理院長の承認を得て、5万分1地形図及び空中写真を複製したものです。
(承認番号 平27情複、第422号)
本書に掲載した地図を複製する場合には、国土地理院長の承認を得る必要があります。